悲しみのはじまり
親父…もう、戦いたくないんだよ…
こんなこといつまで続けるんだよ――っ!!
「ハッ!?」
気づいたら滝さんは、俺の親父と貴志の親父さんと3人それぞれ違うベッドで朝まで寝ていた
(司令官に知らないうちにベッドに運ばれたのか俺は!? 敵にやられて、ベッドで寝込むなんて…)
滝さんは2人の眠っている顔を見て安堵した
(敵はどうやら来ていないようだな 司令官に礼を言わないと…)
滝さんはベッドから起き上がり、司令官がいるか間仕切りのカーテンを開けて確かめる
「司令官?起きていますか?」
滝さんが見た光景は、フードを外したクローク姿でない素の司令官がデスクで眠っている光景だった
「綺麗な銀髪…」
背中にはなんにもかかっていない状態で眠っていた
「司令官、このままじゃ風邪引きますよ」
掛け布団を司令官に掛けようとすると、司令官は目を少し開けた
「ん…」
「あっ司令官!起きましたか!?」
「ああ、滝…身体は大丈夫か…」
「少し寝れば、回復しましたよ 俺も寝不足だったようです」
滝さんは苦笑いをしていた
「そうか、まだ朝の4時、お前さんも寝てていいんだぞ」
「……じゃ、お言葉に甘えて」
滝さんは再びベッドに横になり、眠りについた
(? 滝に能力が感じられない? いや、そんなまさかな)
そして起床の8時
皆起きるのはバラバラだが、大体は8時に起きている
そして俺も
今朝は俺は見回り当番だった為、早めに起きていた
「おはよう、滝さん、 どうですか具合は」
滝さんは司令官室の扉の目の前にいた
「ああ、おはよ、もうすっかりいいみたいだ」
俺も滝さんの異変を感じた
(あれ? もしかして)
「滝さん、一休みしたら、組手お願いできますか」
「俺が? 組手なら、壮志でもいいだろ?」
「いや、あなたじゃなきゃダメなんです」
滝さんは頭をかきながら、
「俺は素手の格闘技苦手だから…仕方ないな やろう」
「すいません」
そうして、滝さんの仕事が一段落した昼
俺と滝さんは道場に向かった
「俺、素手の戦いは弱いんだ 智嬉にいつも稽古してもらっていたんだよ あいつはいつも、戦いの先陣を切っていた」
俺は空手の構えをする
「いいですよ滝さん、準備は出来ています」
「じゃ、やるか!!」
<挿絵>
いつも通り、俺は右から相手の顔目掛けてパンチを食らわせた
滝さんは上手く交わしながら、俺にキックをお見舞いしようとする
「うわっ!!」
「油断するなよ!」
再び構えて、俺もキックを滝さんに食らわせた
しかし、一向に滝さんから能力のオーラが感じられない
「滝さん? やっぱり…」
「ハッ!! え?どうした?」
滝さんの右ストレートを手のひらで受け止めた
滝さんの顔が近くで見える
「滝さん、あなた、力が出ませんか?」
「――!!!」
それは突然やってきた
能力者の終わりが、滝さんに迫ってきている
「いつも通り技を出してみる」
滝さんと俺と司令官は中庭へ向かい、滝さんは棍棒を使って技を放つ
「――"地よ砕け……天よ、我に力を!! "天華乱舞"!!」
竜巻はいつも通り発生したが、いつもより威力が小さい
周りの木々が、少し揺れる程度
いつもは周りの建物をも巻き込み、一瞬で崩れてしまう程の威力
滝さんはそれを見て驚愕した――
「そんな!! 力が出ない!?」
「今朝からなんか怪しいと思っていた、お前さんから、能力が感じられなくてな」
「司令官、俺も感じました」
2人の発言を聞いて、滝さんは草むらに座り込んだ
「滝さん!?」
「遅かれ早かれ、この時が来ると思っていた 分かっていた もう、自分には力がないって」
「滝さん……」
「その時を狙って敵が襲ってくるな お前に」
司令官がそう言ったそばからやはり敵が現れた
「――ハハハ!!待っていたよこの時を!!やはり私の技は効いたようだな!!」
「貴様、何をした!!」
俺は敵の技を喰らわないようにバリアを張った
「黙ってやられるわけにはいかないからな シルヴァ…
蒼山家を、やっと潰せる!!」
「リュザ!!もうやめてくれ!!俺はもう、戦いたくないんだ!!」
「滝さん…」
滝さんは自力で俺のバリアを破壊した
「ちょ、滝さんどういうことですか!?」
「なんの真似だ」
「戦えない俺なんて、もう無意味だ このまま生きていたら、ここに敵が沢山やってくる 俺を狙って だから、リュザの手で 俺を殺して」
滝さんは長い棍棒をリュザの目の前に突き刺す
「……その前に、もっと痛めつけてやろう お前を まだ死ぬには早い」
そう言って、リュザは瞬間移動で消えた
「リュザ!!」




