束の間の休息
「それは、滝自身の力だ」
「誰だ!!」
貴志の父親が振り向くと、そこには
滝さんの父親、蒼山貴明さんの亡霊がそこにいた
「……貴明さん…」
『滝…またしても…こんなになってまで…私のせい、だな…』
滝さんはベッドの上で静かに眠っていた
青白いオーラに包まれて、体中が眩しく輝いている
「これは、死んでなんか、ないよな?司令官…」
俺の親父も心配していた
「蒼山家は代々ずっと能力者の家系だ こんなことで挫ける滝ではないよ いつも死ぬ間際まで戦って、最後は立ち上がるんだ 本当に、不死身の戦士、という名に相応しい」
そしてゆっくり、滝さんは目を開けた
「ん……」
「おい、目覚めたぞ!!」
俺の親父達は安堵した
「ここは……?」
「目覚めたか、滝 無理して起き上がるな お前の力はまだ発動している お前が窮地に立たされたから、貴明が力をお前に与えたんだ」
司令官は滝さんの肩を支えて目をじっと見て話す
「ここは司令官室…… はっ、敵は!?敵は倒したのか!?」
俺の親父が口を開く
「安心しな、私の息子が敵を倒したよ それは見事な活躍だった 春希はとっさにお前さんに貫かれた剣を抜いて、敵にその剣を貫いた 見事な機転だった」
滝さんは俺の親父の話を聞いて顔を下に俯き、大きなため息を着いた
「はあ……」
「少し休みたまえ、お前はもう、限界なんだ」
「そのようです… 俺も、さすがに堪えました 今回の戦いは」
滝さんは右手を額にやり頭を抱えた
「ああ、その2人はお前の護衛を任せている なにかあったら伝えるといい」
「赤島飛鳥 だ ちゃんとあなたと話すのは、初めてですね」
「あなたが、春希の…」
そして、隣にいるのは
貴志の父親 緑原 哉太 だった
「はじめまして、滝くん 息子がいつもお世話になっているね 緑原 哉太です」
彼も緑がモチーフらしく、全身緑系の服装だった
「は、はじめまして……改めて、蒼山滝です」
「我々のことを警戒しなくていいよ、私たちは君の味方だからね 」
「かつて私たちも、カルテー二を倒そうと必死だった…… あの時は、こんなに長く戦いが続くと思っていなかった」
司令官は滝さんの目の前に椅子に座った
「この人たちは、貴明のライバルだった人達だよ」
「え、ええ!? じゃあ、親父をよく知ってるんですか!?」
俺の親父はくすくす笑う
「ああ、よく知ってるよ 誰も俺たちも、貴明が死ぬなんてことは全く考えていなかった あのまま、能力者の英雄になると誰もが思っていた」
親父がくすくす笑っている傍らで、貴志の親父さんは顔を下に俯いていた
「君も存じているように、あの戦いが来るまではな 本当に恐ろしかったよ あの日は、俺たちの仲間も皆、力尽きてバタバタ倒れていったんだ あいつが来てからな――」
司令官が貴志の親父さんの話を止めに入った
「やめてくれ 滝がまた、暴走を起こしてしまう」
滝さんの目には、涙が溢れていた
「――っ!! 」
「すまない、戦いが落ち着いたばかりなのに 君を泣かせてしまった ごめん」
貴志の親父さんは、滝さんを優しく抱きしめた
「あいつらは、無事か?」
「ん? あいつらなら、2階でみんな休んでいる 能力なしで戦った智嬉が心配だ 私も、2階の様子を見てくるよ 2人はそのまま、滝を頼む」
そう優しく滝さんに言うと、司令官は扉を締め2階へ向かった
「……本当に、あなた達を信用して、いいんですね?」
滝さんは疑り深く、問う
「ああ、大丈夫だ 私たちもカルテー二達には散々酷い目に遭っているんだ 君たちの仲間だ」
「どうして、あなた達が自分達の味方なんかに」
「……今は、寝ておきなさい 身体に響く」
疲れていたのか、滝さんは貴志の親父さんに言われるがままにベッドに横たわり、再び眠りについた
「……あの話は、滝くんにはかなりショッキングな話だ… 話すには、時間がいる」
亡霊である貴明さんも、心配そうにその様子を見つめていた




