能力者・春希
「俺は、本当に能力があるのか?」
戦闘モノが大好きなのは本当だ
だけど、今まで1度もそれらしい事がおきていない
親が能力者だからって、俺が力があるかは分からない
「上司、なぜ俺を指名したんですか」
「疑り深いね」
司令官室に中に入った
周りは書物ばかりで書斎のような雰囲気だ
「だって、俺は普通に学生時代を送ってきたんですよ!? いきなり能力者みたいなすごい技が出るとはありえない!」
「私の上司、司令官からのご指名なんだよ君は だから 間違いない」
上司と言い合いしていると、右側の奥の部屋からまた白いクローク姿の人物が現れた
「はじめまして、赤島春希くん 私が滝の上司、"シルヴァ・トラーズ"だ」
「か、顔が見えない!?」
その人は、顔が見えなくなるぐらいフードで顔を隠していた
「君の顔を見たら、私はいなくなるがね 私は仮にも、コールドスリープの最中なんだ」
「司令官は一体何者なんですか?」
「君たちと同じ、能力者だよ 春希くん、君は戦えるはずだ 君はまだ滝に話していないが、強くなりたいのには理由があるんだろう?」
俺は、ただ、親父の力になりたいだけなんだ
だれも亡くしていないが、ただ父さんと、この街の謎が知りたかった
「能力者っていうのは、悲劇から生まれるものなんでしょう?蒼山滝さんは、両親を失ったから能力者になるべくしてなった けど、俺は…」
守るものがなにもない
中途半端な気持ちで戦いたくない
俺は上司の目から背けた
「司令官、間違って選んだんですか?」
「いいや、彼で合っている 間違いない 春希くん、地下室へ来てくれ 能力を与えよう」
「……はい」
地下室へ階段で降りる最中、司令官さんはこう話していた
「春希くん、必ずしも、悲劇から能力者になるわけじゃないんだ 例えば 元々力が強すぎて能力者の施設に入ったり、滝の友人なんかは、両親が生きているが、滝が心配で能力者になった者もいる 理由は様々だ」
そして、目的の場所へ着いた
「ここは能力増強室 この施設の心臓…これで私の結界でこの施設は守られている」
「すごい……」
「さあ、春希くん 目を閉じて」
「は、はい!!」
言われるがままに、目を閉じた
「"能力よ…彼に特別な力を与えよ…そして、あらゆる者を悲しみから守れ…" 」
司令官さんの呪文から、魔法陣が俺の足元に生まれた
「"能力・創造"!!」
俺の身体から、全身に赤い光のオーラが纏った
身体中、普段とは違う感覚が押し寄せてくる
髪の毛も赤く染まった
「なんだこの力は…暖かい…強い力…」
「目を開けてごらん 具合は悪くないか?」
「いいえ、大丈夫です これが、能力者…!!」
司令官はニコッと笑い、
「君は腕っぷしがあるようだね なにをしていた?」
「俺は野球部でした 」
「ほう、野球部か」
「司令官は学生時代は?」
司令官は顔を下に俯き
「平和な時代に生まれていたら、私も学生時代を送っていただろう」
「ご、ごめんなさい!」
俺は慌てて頭を下げる
「いや、いいんだ 滝や君のように学生時代を送ったことがないんでね 私は生まれた時からずっと、能力者として生きるしかなかった」
そう話しながら、俺たちは能力増強室を出る
「滝は強い これから頼りにしていくといい 私は残念ながら君たちの傍にいてやることは出来ないが、私の住んでいる国から監視しているよ」
「は、はい!」
「では失礼する」
司令官は瞬間移動で持ち場へ戻った
「とりあえず、上司の元へいくか」
先程までいた司令官室へ戻ろうとすると、新しい人が来ていた
「司令官!!また敵が来ているぞ!!」
「分かっている だから新しい仲間を連れてきたんだ」
聞いたことがない声に、俺は扉の近くてビビってしまう
(だ、誰だ…?司令官の仲間か…?)
「し、失礼します……」
キィー――ッと静かに開けると
高身長の、でかい男が目の前に立っていた
「司令官…この人は?」
「俺の元戦友、"荒井純"だ リメンバーズチームの元戦闘員 …はあ、全く、新しい仲間で構成を練ろうとしているのに」
「仲間に入りたいんですか?」
でかい男性は、俺を勢いよく振り向いた
「お前が今度の新人か」
「は、はい」
俺を素通りしていくのかと思ったら、俺の傍で立ち止まった
「滝に指1本も触れさせないから 覚悟しとけ」
そう言って踵を返した
「な、なんなんだあの人…」
「ったく、俺はもう司令官だってのに!」
「たっ滝さん…?」
司令官は少しイライラしていた