対決、陽桜瞳
「滝さん」
「ん?なんだ春希」
俺は司令官室の扉を閉めたあと、隣にいた滝さんに話しかける
「いいんですか、本当に 瞳さんを放っておいて…」
「そうなんだ、瞳は力が弱いし武器があっても能力がなければただの鎖だ」
滝さんは頭をかきながら
「この件は俺一人で考えさせてくれ お前は、とにかく智嬉を守って欲しい 」
「わかりました 」
「テレポートで、智嬉の家へ一緒に行く 圭介が来ようが来まいが、守らなきゃいけないのは同じだ」
俺と滝さんはアパートの一室にある智嬉さん宅の部屋へ向かった
いきなり来たものだから、ソファに座っていたみづきさんは目ん玉を大きくして驚いた
「あああんた達!!ちょっとは連絡ぐらいしなさいよ!!びっくりしたわよ!!」
「やあ、悪い みづき!久しぶりだな」
滝さんは面目なさそうに片手で平謝りをした
「久しぶり、でもないけどね どうしたのよ 新人さんを連れて」
すると、奥の部屋から智嬉さんが現れた
「敵が狙ってくるんだろ 俺たちを 能力のない人間を襲う 滝を悲しませるために」
「智嬉…」
「死ぬなら、覚悟は出来てるぞ、滝 お前もそうなんだろう?」
智嬉さんに言われて、滝さんはにっと口角を上げて笑った
「ああそうだよ もう俺は指揮官なんだ いつ死んでも構わないさ」
「滝さん…」
「あ、ああこいつは知ってるよな?赤島春希だ 」
滝さんは俺の肩をトン、と優しく叩いた
「春希です、智嬉さんとみづきさんを、援護しに参りました!」
「へえ、援護ねえ!司令官も用意周到だな!」
智嬉さんは俺が援護すると聞いて驚いた
驚きながらも、みづきさんの隣にソファに座って俺をじっと見る
「純にも、警備するやつを呼んでいる 女だけどな」
すると、俺は背中からぞわぁっと悪寒を感じた
「……滝さん やばい予感がしますよ」
「――っ分かってる!!瞳!!」
俺の脳内で、能力が働き瞳さんがリュザにやられるビジョンが浮かんだ こんなことは稀にない
「智嬉、私たちも!!」
ソファから立ち上がったみづきさんだが、智嬉さんに止められた
「今はダメだ あいつらの戦いだ 能力がない俺たちがリュザと戦っても、滝を悲しませるのには変わらない」
智嬉さんはみづきさんを強く抱きしめた
「俺はとにかく、司令官に知らせる 仲間が一人やられるんだからな!」
瞳さんの家へテレポートで向かった俺たち2人
既に圭介さんが援護をしていた
「圭介!!」
「おう、兄貴 話は聞いたぜ 瞳さんがやばいんだってな チームは違っても、困った時はお互い様さ」
「圭介…!!」
滝さんは喜んで圭介さんに抱きついた
「確かに今、俺は違う敵と戦ってるんだ 俺の仲間も大分苦労をしている」
蒼山圭介 蒼山滝の弟
今は兄弟共々チームは違うが指揮官になり、2人とも強い能力者
圭介さんは長い茶髪に、後ろでひとつに束ねたヘアをしていた
「勝てないのか?」
俺は思わず圭介さんに聞いた
「ああ、最強の強敵だ だが、今は人質がいるんだろ? 瞳さんを守らなきゃ」
「助かったよ圭介!!」
「喜ぶのはまだ早いよ 瞳さんはどこにいる?」
ここはまだ瞳さん家の玄関
「ああ、俺なら分かるから、部屋を案内する」
「さすがは瞳さんの夫だなあ 」
瞳さんの部屋を案内してもらっている最中、その人は突然姿を現す
「……滝、圭介、春希」
「瞳!!」
「良かったまだ無事か!」
圭介さんも一安心だった
が――
瞳さんは滝さんに突然攻撃をした
ドォォッ!!
かなり強い衝撃波だった
「うわああっ!!」
突然の攻撃に、滝さんは塞ぎきれず、床に倒れた
ドサッ
「瞳さん!!もしかしてあんた、とっくにリュザの攻撃にやられてんのかい!?その技はあんたにとって不幸を招くぞ!!」
圭介さんは薙刀を繰り出した
「圭介さんは薙刀だったんですね」
「春希、今すぐ司令官に連絡をとってくれ、瞳さんが罠にかかってるってな!!」
狭い廊下で俺たちは戦っていたが瞳さんと挟み撃ちするようにリュザが現れた
「リュザ!!」
「こいつがリュザだったのか」
リュザは不敵な笑みを零す
「ふ、こいつは滝の恋人なんだってなあ…ますます憎らしい…幸せなど、お前には一生来ない!!」
「まさか、瞳!!」
滝さんは思うように起き上がれなかった 床に這いつくばっている
「瞳、死ね――!!!」
「瞳さん!!」
「瞳、いやだ、瞳――!!」
その時、瞳さんにまっすぐリュザの攻撃が当たったと思ったが、間一髪、圭介さんの薙刀の技がぶつかりあった
「圭介……」
滝さんは呆気にとられていた




