それぞれの行く道
翌朝 俺は滝さんに緊急で呼ばれた
「おはようございます 滝さん どうしました?」
俺が聞くと、滝さんは椅子から立ち上がった
「…… 大変な事になったんだ… 俺の能力者ではなくなった仲間が、リュザに狙われるんだ!!俺の能力を悲しみの力で解放しようとしている!! 」
そう悔しそうに言いながら前髪をクシャッと手のひらで触る
「俺たちを頼ってください、滝さん まだ力は弱いですが、能力がない皆さんがやられるよりはマシです」
「その為にもお前達の力を強化するという話が司令官から来ている 俺も含めて、な」
俺は左手の拳を手のひらでパシン!と鳴らした
「修行ですか?」
滝さんと話していると、後ろから司令官と俺の仲間たちが集合した
「みんな!」
「よし、春希もいるな なんとなく勘づいていたと思うが、皆には2週間弱、修行をして貰いたい」
司令官は滝さんの隣に立った
「私もモニターで敵の動きを観察している しばらくはこちらに向かってこないだろう」
司令官がそういうと、滝さんは再び顔面蒼白になった
「司令官…司令官…」
「な、なんだ?滝 大丈夫か? 各自連絡は取れるようにしてくれ では、解散!」
俺と伊月は残り、後の2人は解散して行った
「伊月は戻らないのか?」
「忘れたの?私は滝の影武者よ 彼がなにか不振な動きがあれば、すぐ私も動けるようにならなきゃ」
「滝、どうした」
司令官は滝さんの肩を落ち着かせるように優しく叩く
「実は、先程モニターでリュザの動きを確認したら、俺の仲間…元リメンバーズチームを潰して、俺の能力を解放する、という作戦を考えています」
滝さんの話を聞いていると、司令官は通信機を取り出した
「あいつらに伝えたか?」
「いえ、司令官の話が終わったら伝えるところでした」
「どちらにせよ、そんな作戦なら、我々の強化がいる 本格的な戦いになるからな まだ始まったばかりのチームだ」
伊月は身を乗り出した
「司令官、私はどういう動きをしたらいいですか?」
「……お前、元リメンバーズ、荒井純のことは嫌いか?」
荒井純 元戦闘員兼今は医者
昔は暴走族でヤンキーだったが、自身の能力者の戦いも終わりすっかり落ち着いている
「いえ?彼も強い能力者です、よく滝になにかあったらリメンバーズ時代では頼りにしていた能力者でしたわ」
「そうだったか」
「お前、戦えるよな、 純の傍についていてやって欲しい 敵がきたらすぐ知らせてくれ」
滝さんは司令官室の本棚に立てかけていた六角鉄棒を伊月に差し出す
「純を、守って欲しい 俺からもお願いする」
そう滝さんに言われると、伊月はキリッとした凛々しい表情になった
「分かったわ」
「絶対に無理はするなよ 純にはとっくに話をつけているから大丈夫だ」
「いつの間に!?」
滝さんは拍子抜けしていた
「会いたいか?純に」
司令官はニヤリとする
「い、いえ…」
「ふふ、じゃ、しばらくの間行ってくるわね!」
伊月はテレポートで荒井病院へ向かった
「気づいていたんですか?あいつらがリュザにやられるって」
「あいつのやりそうな事だ あいつ1人で4人の能力者を全員倒せるわけが無い 絶対に他に敵を呼ぶ」
「じゃあ、戦力が増えるってことですか!?」
俺は動揺した
「お前は、そうだな 滝の親友、根口智嬉についてもらおう」
俺は司令官に敬礼をした
「了解です!赤島春希、行ってきます!」
「落ち着け、まだここで待機だ」
「司令官、俺も行きます!」
司令官は滝さんが名乗り出た事に驚いた
「な、なに? 智嬉の所にか?」
「いえ、瞳の実家に あいつも1人だから心配なんです 仮にも俺は夫ですし」
司令官はしばし考え、
「普通なら、そうしてやりたい所なんだが…お前にはここにいて貰いたい 過保護とかそういう理由ではなく、施設を守れるやつが誰かいないとな」
司令官は俺たちに構わず話を続ける
「さらに施設を強化せねばと考えていたんだ 最近敵がよく来るしな 」
「そうですね 俺は戦闘ジムにでも行って、体力を強化してきますよ」
司令官に踵を返そうとした滝さんだが、司令官に止められた
「体力も大事だが、精神も大事だぞ お前は度々弱気になる 敵にまた付け込まれたら命取りだ 瞳には…お前の弟を派遣する」
「圭介を!?あいつは別なチームに入ってて、違う敵と戦っている最中では?」
慌てる滝さんを他所に、おもむろに通信機を取り出す司令官
「これは緊急なんだ、命を狙われている、と圭介に言えば彼も分かってくれるさ 圭介が来たあと、お前は春希を智嬉の家へ案内してやってくれ」
滝さんは不安そうにうなづいた
「了解、しました」




