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竜殺しの国の異邦人  作者: 比良滝 吾陽
第9章:遺跡
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第38話:事態の変動

 また、地下へと潜る。

 モリヒトは、現状で地下にいるミュグラ教団の扱いについては、どうするべきか、と悩んでいた。

 下手に刺激をすることで、変な暴走をされても困る。

 それができるほどに力があるか、というのはともかくだが。

「・・・・・・クリシャは、どう思う?」

「何がだい?」

「地下にいるっていうミュグラ教団について。放置していいと思うか?」

「・・・・・・んー・・・・・・」

 クリシャは、悩む声を出した。

 しばらく考えて出した結論は、

「ボクとしては、放置」

「ふむ」

「でも、どうかなあ?」

 クリシャの悩みは、放っておくと、なにかやらかすことは確定だろう、ということだ。

 だが、それを止めるとすれば、戦闘も確実に発生する。

 その相手は、ミュグラ教団で、前回の騒動の現場に出なかった者達。

「たぶん、戦闘能力なんてないと思うんだよね」

 戦闘になってしまえば、かなり一方的なものになるだろう。

 だが、殺さなければ止まらないだろうし、最終的に後味の悪いことになるだろう。

「やる?」

「正直、やりたかねえなあ」

「だよね」

 うーん、と顔を見合わせ、それからモリヒトはクルワを見た。

 だが、クルワは軽く肩をすくめただけで、

「モリヒトの判断に任せるわ。・・・・・・ただ、たぶん、人数もそんないないと思う」

「ふむ」

「ぶっちゃけ、放っておいても、勝手に全滅しそうな気がする」

 技術も何も、大半が全滅しただろう彼らは、今できることが少ない。

 せいぜいで、今までやってきたことをなぞる程度だろう。

「・・・・・・バンダッタ二号を作る、とは言ってたけど、死体を集められるだけで、他は何もできてないんじゃないかなあ?」

 クリシャの推測を聞いて、どうしたものか、と思う。

「ミケイルは、どう動くと思う?」

「さあ? 聞いた感じ、ベリガルからの指令は来てないみたいだからねえ・・・・・・」

 そうなると、ミケイルがどう動くかというのは、想定しづらい。

 行きがけの駄賃、と言わんばかりに、地下のミュグラ教団を全滅させ、その資産を全部持って行ってもおかしくない。

「・・・・・・もう一回、ミケイルと会った方がいいか」

「調査、とするならね」

 うん、とクリシャは頷いた。

「あと、ボクとしてはね?」

「ん?」

「あの地下の未踏部分には、たぶんこの遺跡の知られていない部分がある。そこに興味あるなあ」

 いつからあるのかすら定かではない遺跡だ。

 調べて得られることは多いだろう、とクリシャはわくわくしているようだ。

「ま、時間の許す限り、ってことで」

「そうだね。じゃあ、行こうか」


** ++ **


 地下への入り口は、ミケイルから地図に記してもらった。

 一階にもあるらしい。

 かなり端の方ではあるが、そこまで行って、扉を開く。

 開き方は、ちょっと面倒だ。

 スイッチとなるものは、確かに壁にある。

 ただその前に、いくつかの箇所にある仕掛けを起動させる必要があるらしい。

 教えてもらって手順通りに仕掛けを操作し、扉を開く。

「この仕掛け、ミュグラ教団の方でしかけたらしいな」

 もともとは、壁のスイッチを押すだけで開いたらしい。

 だがそこに、別の魔術具を組み合わせることで、鍵を複雑にしたらしい。

 ちなみに、この仕掛けは、大分昔のミュグラ教団が仕掛けたものだそうで、現在のミュグラ教団に、その技術は残っていないという。

 その技術に関しては、ミケイルも探したらしいが、結局見つけられなかったという。

 古すぎて、資料は残っていなかったらしい。

「・・・・・・この遺跡にあると思うか?」

「ないと思うよ? 見つからなかったって言うんなら」

「・・・・・・あいつ、嘘はつかないよなあ」

「言わないねえ」

 正直、というよりは、嘘を言う意味を見出していないからだろう。

 面倒くさい、とか言い出しそうだ。

「・・・・・・クルワ。一応、場合によっては剣で」

「手数が減るけど?」

「・・・・・・今回、一番やばい相手は、ミケイルだ。あいつ相手なら、手数より火力」

「わかったわ」

 アートリアとして出現しているクルワは、剣士としての技量が高い。

 ただ、ウェキアスとして、武器化してモリヒトの手にあれば、魔術の威力は極限まで高くできる。

 こと、魔術分野での適正、という点においては、モリヒトの能力はかなり高い。

 単純な砲台としてなら、一流以上である。

 ただ、戦術を細かく組み立てることが、まだまだ素人の域を出ていない。

「まあ、何とかする」

「そ」

 モリヒトとクルワは、短い会話を終えて、地下へと潜っていった。


** ++ **


 地下へと降りた時、明らかに様相が変わっていることを見て、モリヒト達は驚いた。

「さて、これはどういう状況かな?」

「・・・・・・魔獣が、ここに発生した。って考えはなしかな」

 モリヒト達が、円筒型の広大な空間に入った時、そこで行われていたのは、魔獣による侵攻であった。

「・・・・・・数は、そんなに多くないな」

「十体くらいかな?」

「あっちとか、こっちとか、つぶれているのがある。あれは、ミケイルの仕業かな」

「・・・・・・あんまりのんびりと状況を見ている余裕はなさそうだよ」

 あちらこちら、と視線をやって状況を把握していたところで、クリシャが杖を抜いた。

 魔獣の中の一体が、モリヒト達へと、狙いを向けていた。

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よろしくお願いします。


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