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竜殺しの国の異邦人  作者: 比良滝 吾陽
第9章:遺跡
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第26話:探索の流れ

 遺跡の地下探索は進んでいる。

 その途中で気づいたが、どうやらこの遺跡の壁は、すべて若紫色、真龍の色に染まっている。

 中は暗いため、わかりづらかったが、照らしている間に気が付いた。

 魔力の影響を受けやすい土地なのだから、当たり前といえば当たり前のことではあった。

 ただ、壁自体はどうやら光を吸収する性質があるらしく、地下はどれだけ照らしても薄暗い。

「ここに、あえて、明りを残しておこうっていう選択肢はないのかね?」

「ん?」

 地上で休んだ後に、また地下へと潜っている。

 探索は今も続いている。

 あれからも、さらに数組の冒険者がやられているのが発見されたらしい。

 やはり、どれも地下三階以上の階層だ。

「・・・・・・ただ、それでもここにやってくる冒険者は減らない、と・・・・・・」

「遺跡としての価値はまだ残っている。特に、地下六階以下には、まだまだ未探索の領域があるらしいからね」

「割と全部調べつくされているって話じゃなかったっけ?」

「浅いところは、ね。一応言うと、まだ最下層には到達できてないらしいよ?」

 正確には、最下層と思っていたところが七階層だったのだが、最近さらに下へ行く階段が見つかったらしい。

 そういう情報が流れたこともあって、ここを訪れる冒険者の数も増えているという。

「ウェブルストからはそういう情報は聞いてないと思うんだが」

「知らなかったんじゃない? 『赤熱の轟天団』は、外の魔獣被害を主に対象としていた傭兵団だから、遺跡の下については対象外でしょうし」

「うん。たぶん知らなかったんじゃないかな? ユルゲン達も、今のこの遺跡の状況を知って、ウェブルストに早馬を送っていたみたいだし」

「・・・・・・それでいいのか王子、と思ったが、そういえばあいつ傭兵団率いて、好き勝手放浪してたんだった」

 国元の情報などろくに知らなかったのだろう。

 その過程で、遺跡に人手を送った方がいい、となって、モリヒト達に声をかけてきたのだろう。

「・・・・・・雑な仕事だなあ」

「必要な仕事ではあったんだから、それでいいんじゃないの?」

 ともあれ、モリヒト達は、今日も遺跡に潜っている。

 定期的に外に出て、ユルゲン達と情報を交換している。

 この間戻った時は、『赤熱の轟天団』の援軍も来ていた。

「俺らも、できるなら下の方を挑んでみるか?」

「やってもいいかもね。地図を書いたら、その分報酬敷衍るんじゃないかな?」

 ふふ、とクリシャは笑った。

 今のところ、モリヒトがもらった地図は地下七階までだ。

 地下五階までの地図は、空きもなく歩きつくされた感じがある。

 だが、地下六階の地図は、よく見るとまだこの辺に何かあるのでは、というような空白がいくつかある。

 それに、地下七階もだ。

 地下六階に比べると、広さが半分程度しかなく、もっと広くていいような気がする。

 ということは、その残りの半分部分が、まだ見つかっていない部分、ということだろう。

「・・・・・・まあ、俺らは、ヴェルミオン大陸に戻るまでの腰かけだしなあ」

「そうだね。あぶないことはしないで、ほどほどで時間をかけるのがいいんだろうね」

 モリヒトの考えは、クリシャも同意している。

 ウェブルストも、そこはわかっているだろう。

 実際、この依頼に緊急性は少ないと見ている。

「まあ、余裕があったら行こう。俺らが言われてることって、ミュグラ教団のやつらが起こした騒動で、なんか変なことが起きてないかどうかって話だしな」

「そうね」

 仕事は仕事、と割り切って進めてしまうのがいい。

 今も、定期的に上に戻って報告を上げる傍ら、迎えがいつになるのか、という報告を受けている。

 最も、今のところは、おそらくは半年先、と見ている。

 まだまだ先だ。

「・・・・・・さて、今日も元気に地下三階だが」

「元気かなあ?」

「とりあえず、怪しいところの前に来ました」

 そこは、先日、怪しい、と思いつつも見逃した、怪しい壁の前である。

 モリヒトは、気になっている違和感の解消を考えているが、

「ボクとしては、面倒ごとの気配がするから、地下四階に降りてしまう方がいいと思ってる」

 クリシャは、そういう。

 実際、事件が起きているのは、地下三階より上部分。

 地下四階に降りてしまえば、おそらく巻き込まれる可能性はない。

 別にそうすることの方が安心、ということはわかるのだが、

「・・・・・・マップって、全部埋めたいじゃない?」

「バカじゃない?」

 モリヒトの願望は、クルワにばっさりと切り捨てられた。

 えー、とうめきつつも、モリヒトは壁をぺたぺたと触る。

「・・・・・・あー、なんだろう。たぶんな話だけど」

「うん」

「ここ、こっち側からは開かねえのかも」

「出口専用って?」

「一方通行ってやつだな」

「うーん?」

「となると、別のところに入り口がありそうだ」

 ふむ、とモリヒトは考える。

 もし、その先を探すなら、魔獣を引きずった形跡、あれを探すべきだろう。

 ただ、

「うーん・・・・・・」

 モリヒトは、なんとなく位置がわかる気がする。

 モリヒトの目には、そういう流れのようなものが見える、気がする。

 あくまでも気がする、という程度だが、なんとなくモリヒトには、感覚的にわかるような気がしていた。

 それは、魔力の流れだ。

「・・・・・・なんか、こっちの向こうに魔力が流れてる気がする」

 魔力吸収の体質によって感じる、きわめて感覚的なものだ。

 だからこそ、むしろはっきりとモリヒトにはわかる。

「違う入り口探そうか」

「どうしても、探すかい?」

「んー・・・・・・」

 モリヒトは、考える。

「なんとなくだけど、探しておいた方がいいような気がするんだよ」

 それで、隠し部屋を探すことになった。

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よろしくお願いします。


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