自己紹介
自己紹介って何を言えば良いんですかね?
早速、クラス分けされたクラスに行ってみると、女の子が駆け寄ってきた。
「優太郎~!同じクラスになったよ!よろしくね!」
(な、なんだこの笑顔が眩しい子は!)
「田中君、紹介するよ。俺の幼馴染でどうやらクラスメイトの日向 向日葵」
「よろしくね!優太郎とは小学校からの腐れ縁なんだよ!」
「よ、よろしく...」
(世の中は不平等だ。僕が住んでいる町は小さくてほぼ幼稚園、小学校、中学校と同じ顔ぶれだ。だから幼馴染といえばそう言えるであろう友達が30人位いるが、こんなに笑顔が眩しい子はいなかったぞ!クソ!)
「向日葵は悪い奴じゃないから、仲良くしてやってくれ」
「わかったよ...」
そんな会話をしていると、
「「「おお~」」」
クラスにいた男子が色めき立った。何かと思うと、教室の入り口から美人なお姉さんが入ってきたからだ。
「わ~!すっごい美人!」
「あぁめっちゃ美人だな」
主人公君も納得の美人は教室の中を一瞥すると、とっとと自分の席に座った。
「あの人なんて名前かな?」
「美人過ぎて話しかけづらいな」
「まぁ、この後自己紹介とかあるだろうしその時にわかるでしょ」
「そうだな」
ここいらで話を一旦切り上げ、僕たちは各々の席に座った。
(っていうか美人お姉さん僕の前の席なんかい!)
暫くすると男の先生が入ってきた。
「え~。皆さん揃っているようなので、SHRを始めます。とりあえず自己紹介をしてください。浅沼さんからどうぞ」
(とうとう始まってしまった。自己紹介!自己紹介って何言えばいいか迷うんだよね。正直に言えば、ゲームとか漫画が好きでよくゲームをしたり、漫画を読んだりしているが、いかんせんマイナーなものが多い。しかも、言ったら「あの人オタクかな?」とか思われそう。だけど、綺麗に美化してもいつかボロが出てしまう。どうしよう?)
「はい。次、立花さん」
「はい。立花 冷花です。趣味はクラシック音楽を聴くことです。1年間よろしくお願いします」
どうやら美人お姉さんは立花さんという名前らしい。
(ていうか、そんな場合じゃねぇ!)
「はい。次、田中君」
「は、はい。田中 太郎です。えっと趣味は読書です。よろしくお願いします」
(ま、まぁこれくらいならいいでしょ。みんなから変に思われてないよね?よね?)
変に思われていないか自問自答してたら、主人公君の番になってた。
「速水 優太郎です。趣味はサッカーです。よろしくお願いします」
(なんていうかザ・主人公がやってそうな感じの趣味だったな)
「はい。次、日向さん」
「はい。日向 向日葵です!趣味は体を動かすことです!よろしくお願いします!」
(わぁ~。眩しいな。おじさん溶けちゃいそうだよ)
そんな馬鹿なことをしているうちに最後まで自己紹介が終わり、
「はい。最後は先生ね。田中 宗次郎。趣味は柔道。1年間よろしく頼むよ。はい、それじゃ今日は解散。さようなら」
解散になると、みんな、立花さんや日向さん、主人公君のところに集まって、CONECTのIDを交換してた。僕は、立花さん目当てで近寄ってきた人に
(邪魔かな?邪魔だよね!ごめんなさい!)
と内心思いながら、教室を抜け出した。玄関に着き、靴を履き替えていると主人公君が走ってきて、
「じゃーな。また明日!」
と言って走り去っていった。
(主人公君。君って人はなんていい人なんだ!)
僕は最高の気分で帰路についた。
帰りに母に、
「あんた友達出来たの?」
と聞かれて、
「めっちゃいい友達出来た」
って答えたら、母はめっちゃ驚いた顔をして、
「出来たならよかったよ」
と言い、そのあとは終始無言で帰った。だが、母はよほど僕に友達ができたのが嬉しかったのか、その夜、僕が寝た後、父に自慢したらしい。
こうして高校生活1日目が終わった
CONECTはスマホに常備されている無料チャットアプリです。