blood cross
十字路の下にうずめられた
地霊の
すきとおる血液が
ラブホの水道管をつたい
おまへの股ぐらの薔薇を打ちたたく
ときに
わたくしはこのように
思うかもしれねな
まるで義眼でしかない
いのちの一部を
コトリと外して
粘膜の木苺と
等価交換するのだと
わたくしは
くらいへやの中で
みえない旅に発つのだと
ベッドに火をつけて
焼身して
ひかりはなつ
皮膚はうすい紙となり
もえて盛るし
紙は天への階梯となり
わたくしたちは
血でえがいた
十字架のさきへ
潜り
また
のぼるのだと
輪廻を超えて
地霊となりて
食物となりて
連鎖となりて
輪廻そのものとなりて
と。
了。