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Stonebridge Attacks!!  作者: きっと小春
第一章 辺境の村の狩人:キース
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第八話 セカンド・アンロック

体がバラバラされ、頭部が、ゴロンゴロンと暗い地下へ落ちて行く中。


”断罪の卵のチャージ条件が満たされました。セカンド・ロックを解放します。”


”死は終わりなのか、始まりなのか、神の理を超えろ。復活だ!!”

”ハハッ!! オマエヨワイ。ヨワスギダロ。クズダロ!! ヤリナオセ、ゴミガ!!”


■断罪の卵:死の理を超えて転生する。

 チャージ方法:死亡時。チャージ後、即自動発動。

 ヒント:転生対象は10歳から14歳の間。元のステータスを一部引き継ぐ。敵のスキルを奪う。

     また魂は提供主に影響を受け、時間と共に馴染む。


■キース

基本初期値 基本鍛錬値 断罪の卵引継値

筋力:5    筋力:2    筋力:1

器用:7    器用:3    器用:2

敏捷:6    敏捷:1    敏捷:1

生命:4    生命:1    生命:1

耐久:2    耐久:1    耐久:1

持久:5    持久:3    持久:2

知識:3    知識:1    知識:1

精神:2    精神:1    精神:1

集中:6    集中:1    集中:2


◆弓(命中率:2、射程距離:1、連射技術:1) ⇒ (命中率:4、射程距離:5、連射技術:3)

★索敵(発見率:2、範囲:3、魔力反応:1) ⇒ 索敵(発見率:5、範囲:7、魔力反応:2)


★獲得スキル:スラッシュ三連撃(スラッシュ、ダブルスラッシュ、トリプルスラッシュ)


そして、俺は、意識を失った。



騎士団長ラースは、今までにない疲労感に襲われる。

規格外の獣や魔獣との死闘でさえ、ここまでの疲労? いや脱力感はなかった。


「ラース隊長?」

五番隊長は、今にも倒れそうなラースを肩で支える。


「しばらくぶりに、スラッシュ三連撃を放ったからか。日頃の鍛錬が足りぬようだ」

ラースは、大丈夫だと自身の足で、建屋を出た。

そこに広がる惨状をみる。


1小隊、約50名。

それを5隊連れてきていた。それがほぼ壊滅していたのである。

魔の者との闘いより、先に村の大人を蹂躙できていなければ、結果は、こちらの全滅。

こんな恥ずべきことはないのである。


ラーサリル帝国は、領地を北西・北東・南西・南東の4分割し、4大貴族が領主を治める形で国を運営している。

ここは4大貴族の一人、ホルスが治める北東の領地。

領地は広大なため、さらに4名程度の広域領主と呼ばれる中堅貴族に割り振って管理される。

広域領主は、1つの都市を作り、地方に街を作る。

街は4つ程度で、その街を中心に治めるのが、地方領主となる。


ちなみに、皇帝ガリエンが貴族の爵位を覚えるのが面倒だという理由で、現在は4階級しか無い。

4大貴族の大貴族、広域領主の中堅貴族、地方領主の上級貴族。

そして街に数世代に渡り貢献することで得られる階級の一般貴族だ。


北東領地ホルスと、南東領地イングラムの間には、山脈があり直接の交通手段はない。

(実際には、巡礼者の洞窟がある)


またホルスの東は、ゴートウェイ王国と隣接する。


広域領主ガーリンが治める領地は、南端にある。

ラースが所属する騎士団は、広域領地の中でも最も東に位置し、ゴートウェイ王国の辺境の村シルブルズと隣接する街ナミメラであった。



先の第四次大陸大戦と呼ばれる50年前の大戦以降、前皇帝ウラシス・クーラ・ラーサリルは、他国への不可侵を政策とした。

それは前皇帝ウラシスの妃である聖教会神国の聖女リメインとの婚約条件でもあった。

そして条約通り軍事費を削減し、帝国内の農作物の改善から、工業、商業の成長・発展を指示した。


休戦中の周辺諸国に対しても、全く軍事力による威圧政策もしない前皇帝ウラシスに、4大貴族たちは、平和ボケなど愚かにもほどがあると、ある種の危機感を覚えていた。

この帝国のように、突然と平和路線に変わるように、逆もまた然りと。

そのため裏で4大貴族たちは、粛々と戦の準備を画策していた。


予想通りか、必然か。

前皇帝ウラシスが暗殺されたのだ。


前皇帝ウラシスが暗殺されるや否や、継承権第三位のガリエン・クーラ・ラーサリルが14歳という若さにもかかわらず、帝都フランジェルを抑え、4大貴族を従えると、血縁のすべてを切り捨てた。

そのときの詳細が外部へ流れることはなかったため、中堅貴族でさえ、知り得た情報はこの程度であった。


暗殺計画は、14歳のガリエンが画策したのか、誰が手引したのか、4大貴族をどう従えたのか、全てが謎のままであった。


後に、ガリエンが、帝国直属の騎士団長・英雄イエランスを一対一の決闘で討ち取ったことを亡命したガリエンの妹が周囲に漏らしたのであった。

殺戮帝王ガリエンが唯一見逃したのが妹であるシリエンだ。

シリエンは聖教会神国の最奥聖域であるザ・ホール内に後に作られる神殿から一歩も出ずに、決して表舞台に出ることもなく、短い生涯を終えることとなる。


帝国は動き出している。


皇帝ガリエンは、4大貴族に対して、領地拡大を指示した。

北東領地ホルスの領主ホルスは、翌日にゴートウェイ王国の城塞都市ガ・デジスタへ向けて進軍を開始する。

前皇帝ウラシス暗殺から、わずか5日後の出来事だった。


ラースは成り上がると決めた矢先に、このような失態を犯してしまったのである。

不味いことに、ここ最近、広域領主ガーリンから、地方領主デクターに対して、執拗な嫌がらせが続いていた。

そのため広域領主ガーリンから嫌がらせの口実になるような不祥事を起こさないようにと、釘を刺されていたのであった。


元々の原因は、広域領主ガーリンが、この地方領地ナミメラへの物資などの売買を制限したために、食糧難が誘発されたのではないか。

それもありもしない疫病を理由に。


広域領主ガーリンは、食糧難の解決策として、ゴートウェイ王国の辺境の村シルブルズから、略奪することを提案した。

このため今回の結末がガーリンの耳に入るのは間違いないのだ。


「お困りのようですな」村長ダーンが、ラースに声を懸けた。


「貴様ごときに」ラースは無意識に、剣の柄に手をかけたが、村長ダーンは気にもせずラースにだけ聞こえる小声で言葉を続ける。


「私は、地方領主デクターが弟フレンスル様を介して、広域領主ガーリン様と繋がっております」


「き、貴様は、一体!?」


「悪いようにはしません。さぁ、一先ず、ナミメラへ帰還しませぬか」


成り上がりのため藁にも縋る思いであった騎士団長ラースは、村長ダーンの気が変わらぬうちに出発することを決意する。

そのため騎士団長ラースは、時間のかかる死体回収と重傷者治療の放置を宣言し、略奪物の運搬を最優先するように命令する。


騎士の中から不満の声が上がる中、ラースは見せしめのため、スラッシュ三連撃を発動させた。

しかし、どういうわけかスキルは発動しなかった。

不満を漏らした騎士は、尻もちをつくも慌てて立ち上がり、率先して運搬作業を指示し始めた。


(……どういうことだ!?) ラースは困惑した。


「ラース隊長」宿屋から魔の者の首を持った若い騎士が声を懸けてくる。


奴隷の子供たちは、口、鼻や目から血を垂れ流しているキースの成れの果てを見て、絶叫する。


「馬鹿者っ!!」ラースは、叱咤しながら、地方領主の次男であるファランクスが重症であったのを思い出す。

ファランクスと魔の者の首を荷台に載せるよう指示を出した。


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