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閉塞学級  作者: 成春リラ
6章 飛び込みシミュレーション
32/88

31話 飛び込みシミュレーション②

 ()()はいつも前触れなくやってくる。


 喉が詰まって、息を吸うことも吐くこともできなくなって、自分はこのまま一生呼吸ができないまま窒息してしまうのではないかと不安になり、さらに息苦しさが増す、そういう感覚だ。ゆっくりと息を吸って落ち着こうとすればするほど呼吸は速くなる。次第に口や手足がしびれる。酷いときは失神して意識を失ってしまうから、倒れて周りに迷惑をかけるのではないかという恐怖心がまた呼吸を難しくしていく。


 だからそうならないように、学校内で行動するときはいつも細心の注意を払っている。廊下を歩くときに他人の顔は極力見ない。昼休みは昇降口の傍の階段を使うのではなく、北校舎を通って教室まで行く。卓球部の練習がない日は、他の部が活動の準備を始める前にさっさと下校する。できるだけ息を潜めて、凛が生きていることを悟られないようにする。


 これは全て、凛はもう大丈夫だと、心配しなくていいと、大樹に証明するためだった。


 入学してから今まで、自分は結構がんばってきたと思う。一学期の間、人前で卒倒するような最悪の事態には至らなかったし、うっかり息が苦しくなっても早い段階で呼吸をコントロールすることができるようになった。最初は大樹についてきてもらわないと行けなかったトイレや中庭にも一人で行けるようになった。何より、目を瞑らずに教室のドアを開けられるようになった。


 いつまでも大樹に頼るわけにはいかないことは凛もわかっている。来年も同じクラスになれるとは限らないのだ。少しずつ自立を覚えて、いつかは凛も大樹のことを助けられたらいい。この調子で努力を重ねていけば、その日も遠くはないだろうと安心していた。


 ところが、二学期に入っておよそ一ヶ月が経った頃、凛は「あいつら」に出くわしてしまった。


 六時間目の理科の授業に移動する途中の出来事だった。大樹と共に三階の渡り廊下を歩いていた凛は、「あいつら」――A組の男子で一番顔を合わせたくない連中が、北校舎の方からやって来ることに気づいた。凛が生返事しかしなくなったのを見て大樹も前方の集団に目を止め、露骨に眉をひそめる。


「げえ、A組って五時間目は社会じゃねえのかよ……どうする、二階の渡り廊下通るか?」

「……う、ううん」


 大樹の言う通りにすべきだとは思ったが、恐怖を克服するなら今しかないと、勇気を出そうとする気持ちが僅かに勝っていた。「平気。平気だから」と大樹に言って、凛は歩行速度を上げた。


 五、六人の集団がゲラゲラ笑いながら近づいてくる。何を話しているかはわからないが、凛には関係のないことだ。関係のないことだと、自分に言い聞かせる。凛は間に大樹を挟んで素知らぬ顔をするように努めた。一歩、一歩と近づくたびに顔が腫れたようにピリピリする。そうだ、息を止めればいいんだ。深い海の底に沈むみたいに口を閉じて、息を吸うのを止めて、凛は自分の存在を限界まで薄めた。


 ついに、「あいつら」と行き違おうとして。凛は、一番左を歩いていた男子がフクロウのように首をぐるんと回転させてこちらを向くのをはっきりと見た。呪詛をはらんだ声が、耳の奥に反響して聞こえた。


『おまえみたいな人間が学校に来んじゃねえよ』


 脳の細胞でばちばちと火花が散って、視界が白くなる。


 そこからどうやって北校舎まで辿り着いたのかは覚えていないが、気がつくと廊下のつるっとした床に上靴を履いた足を踏み入れていた。手足にはほとんど感覚がない。呆然としている間に何か話しかけられたかもしれないと思って隣を見ると、大樹は安堵の表情を浮かべていた。


「ほら、あいつら行ったぞ。よかったな、()()()()()()()()


 片頬を吊り上げるような不器用な笑顔と、凛を元気づけようとする優しい声に、凛も笑顔を作って気丈に「うん」と答えたが、


 同時に涙腺が決壊した。


「……え? おい、凛」


 大丈夫か、と声のトーンを落とした大樹が凛を廊下の隅まで連れていく。気を遣って凛の顔が壁に向くようにしてくれた。いつもの息苦しさではなく吐き気が強い。だけどそれよりも零れ続ける涙をどうにかしなければという気持ちの方が大きく、凛は咄嗟にハンカチで顔を拭った。早く泣き止まないと、早く、早く、


 差し伸べられた大樹の手を振り切って凛は走り出した。一瞬見えた、虚を衝かれたような大樹の表情があっという間に遠くなる。


 凛は北校舎の階段をがむしゃらに駆け下りていった。通り過ぎる生徒が迷惑そうに凛を避ける。その顔が、目が、口が、スライムみたいにぐにゃぐにゃと歪んだ。


『なんでここにいるの』

『きめえやつ!』

『見ろよ、千葉山が来てるぞ』


 まぼろしだ。凛は幻を見て、聞いている。あんなことを言う人は今この場にいなくて、全部が凛の妄想で、すれ違う人はみんな凛を知らない人たちだ。それならば凛を知らない人たちが凛に興味を持つ前に一秒でも早く消え去りたいと願った。


 凛を苛む声は止まない。学校は地獄だ。弱みを見せた者から真っ先に食い物にされる。







 理科の授業を欠席した凛は、後から大樹に気づいてやれなくてごめん、と謝られた。ううん、大樹は何も悪くないよ、僕こそ逃げてごめん、と返して、その話はそれでお終いになった。


 部活の後は早々と帰宅した。無言で玄関のドアを開け、黒い革靴が脱ぎ捨ててあることに気づく。凛はそれを綺麗に揃えてから家に上がる。


「父さんお帰り。今日は早いね」

「おう」


 電気を一つだけつけた薄暗いダイニングで、凛の父はネクタイを緩めて今朝の新聞を読んでいた。凛がリビングの電気をつけると部屋全体が明るくなったが、相変わらずの散らかりようまで煌々と照らし出されて、やっぱりつけなきゃよかったと思った。ひとまず、スクールバッグをてきとうなところに置く。


 簡単な会話が始まる。


「晩ご飯は食べたの?」

「まだ」

「じゃ、何か作ろうか」

「買ってきた。お前もそれ、食えよ」

「そう。ありがとう」


 途中からテーブルの上にコンビニの袋があることには気づいていたが、最後まで言わないと父とコミュニケーションを取ったことにならない。袋の中には同じ弁当が三つ入っていた。


「母さんはどうせ食べないのに」

「じゃあお前が明日食えば」

「……うん」


 消費期限はどうなのかとか同じ弁当を二日連続で食べろと言うのかとかは飲み込んで、凛は頷く。それにしても、父が家族の分の夕食を買ってくるのは随分久しぶりだ。しかも、ダイニングで凛を待ち構えているなんて一体どうしたのだろう。いつもは凛が作っておいた食事を夜遅くに食べているか外で食べてくるかしかしないのに。父と自分、二人分の弁当を電子レンジに入れながら、凛は警戒心を強めた。


 タイマーをセットして、父の向かい側に座る。父と対面で会話するのは随分久しぶりだ。こういうときは自分から話しかけた方がいいのか、それとも相手が話しかけてくるのを待つべきなのか。凛がそわそわしていることに気づいたようで、父の方が先に口を開いた。


「最近、学校はどうだ」

「まあ、ぼちぼち」

「ふーん」


 父が黙り込んだので、回答として不十分だったらしい。凛は「楽しくやってるよ」と付け加えてみたが、これも大して情報量が増えていない気がする。


「友達も……いるし。部活も、忙しいけど」


 あとは、何だ? 何を言えば父を安心させられるだろう。巡らせた思考を父は遮った。


「勉強は」

「え?」

「勉強はちゃんとやってるのか」

「……ああ、うん、勉強。やってるよ」

「この間のテストはあまり出来がよくなかったな」


 夏休み明けテストのことだ。成績表を返却するには保護者の判子が必要となるので、テーブルの上に置いておいたのだ。父は一応凛の成績を確認してから判子を押したらしい。


 チーン、と鳴った電子レンジから弁当を取り出し、割り箸を添えて父に渡す。


「あのテストは難しくって」

「皆難しかったんなら、順位は下がらないだろ」

「うん、そうだね。次の中間は頑張るよ」


 凛は自分の弁当を取り、お茶とグラスを持ってきて席に座った。ビールの方がいいかなと思いつつちらりと顔を窺う。父は弁当のフィルムを剥がしてもそもそと食べ始めていた。冷蔵庫から缶ビールを取り出して前に置くと、父は「ん」と言ってプルタブを開けた。


「塾に通ったりしなくていいのか」


 今日の父はいやに饒舌だ。凛はますます神経を尖らせて「僕も通っていいのかな?」と逆に質問した。凛に切り返されると思っていなかったのか、父は口ごもった。


「お前が通いたいってんなら拒絶はしないけど」

「でも、家に帰るのがすごく遅くなるから、母さんが心配するよ」

「そうか」


 父は神妙な面持ちで短く答えた。その程度の懸案事項も想定していない人がそんな提案をしないでほしいものだ。家にいる時間が少しでも短くなるのなら、凛は大樹と同じ塾に通いたかった。到底無理だとわかっているから今まで言わなかっただけだということを、父はわかっていないのだろう。


「まあ、なんだ。別に塾じゃなくてもいい。参考書が欲しいなら、金出すから言えよ」

「……わかった」


 金、という単語に込められた微妙な語気の強さを凛は敏感に感じ取った。やはり父が言いたいのはこれか。凛は一気に警戒レベルを上げて父の次の言葉を待った。


「あのさ、お前」


 表情や仕草、目の動きが変わらないように注意する。


「引き出しに入ってる生活費、使いすぎてないよな」

「……何で? そんなに減ってた?」


 凛が最後にスーパーで買い物をしたのは一昨日の火曜日だ。その時にはまだ三万円以上残っていた。


「今朝見たらほとんどなくなってたんだ」

「僕は知らない。母さんがまた変なもの買ったんだと思う」

「だろうな」


 グラスに注いだビールを半分ほど飲んで、父は「お前を疑って悪かった」と言った。太い針のような罪悪感が凛の胸をぶすりと刺す。だが、本当のことを言うつもりはない。


 母さんが変なものを買う、というのは強ち口から出任せでもなく、母に関する悩みの一つだ。母は変な方向に積極的になると、どこかで調べてきた胡散臭い通信教材や怪しいサプリメントの定期購入を凛や父に相談することなく契約する癖があった。一度クーリングオフが効かずに貯金を大量に減らして以来、千葉山家の家計は父がすべて管理している。母はクレジットカードを使うことも預金通帳を覗き見ることもできなくなった。それでも時折平日の昼間にふらっと出かけては勝手に自己啓発本やら何やらを買ってくるのだ。その内新興宗教にでもハマるんじゃないかと凛は心配している。


 そこからしばらく会話が途絶えたので、凛はほっとした。床に落ちていたリモコンを拾ってテレビをつける。特に面白くもないバラエティを見つつ黙々と弁当を食べ進めた。


 凛より早く食べ終わった父が椅子から立ち上がって、溢れそうなゴミ箱に容器を押し込む。そのまま部屋に行くのかと思われたが、父は疲れた顔で束の間凛を見下ろしてきた。


「お前は真面目に勉強して、母さんみたいになるんじゃないぞ」


 凛は唐揚げを噛み切った。――何それ。真面目に頑張れなかった母さんのことはもうどうでもいいってこと? とは言えず、凛は咀嚼しながら黙って頷く。それ以上何も言うことはなく、父はダイニングから出て行った。


 程なくしてシャワーの水音が響き始めた。後で凛も風呂に入って、宿題をしたら早く寝よう。


 バラエティとシャワーの雑多な音に混じって、スマホの通知音がする。食事中に見るのは憚られたが、まあ誰も見ていないしいいだろうと腰を屈めて自分の鞄に伸ばしかけた手を、凛はぴたりと止めた。通知音はテーブルの上から聞こえていた。


 父のスマホだ。見るつもりはなかったのに、体勢を元に戻した拍子に光の灯ったロック画面が視界に入ってしまう。


 凛は目を見開いた。吸い過ぎた息が喉を通る感覚があった。


『次はいつ来るの?』と表示されている。


 女性の名前。


 脳がその名前を覚える前に、凛はスマホを引っ掴んで裏返しにした。


 幸いにも動悸が激しくなったり顔が熱くなったりすることはなかった。むしろ、心の根っこに冷たい液体が流し込まれたような気分だ。いや、もしかすると、一度オーバーヒートした心を誰かが冷却してくれているのかもしれない。


 見なかったことにしよう、と凛は冷たい心で考えた。そうするほかなかった。







 千葉山家の主人、千葉山ちばやまてるは凛の本当の父親ではない。そのことを、凛は物心ついた頃から知っていた。


 事の発端は母にある。旧姓を美作みまさかという凛の母親・穂夏ほなつは、紅黄市から少し離れた田舎町に住むちょっとした良家の三女だった。穂夏は幼少期から気弱な性格だったらしい。金持ちの家の末っ子という立場にも拘わらず、自分の意見を言わない内向的な人間に育った。美作家は今時珍しいほど悪い意味で日本的な価値観の家で、穂夏は大層窮屈な環境の中で生活していたのだろう。


 親に言われた通りの私立高校に進学した穂夏は、高校三年になって初めて自己主張をした。曰く、大学に通って看護の勉強をしたいのだと。高校を卒業した後はすぐに見合いをさせるつもりだった穂夏の両親はもちろん反対したが、穂夏の一大決心が揺るぐことはなかった。両親は仕方なく、穂夏の大学受験を認めた。結果としてはそれが悲劇の始まりだったのだ。


 春になって、第一志望の女子短期大学の看護学科に進学した穂夏は、入学後にできた友人と共にインターカレッジサークルに入った。本当は活動内容のよくわからないサークルに入りたくはなかったが、友人を失うことを恐れて断りきれなかったのだと言う。よくわからないも何も、そこはいわゆる「出会い目的」のサークルだった。


 ゴールデンウィークの合宿で前後不覚になるほど酒を飲まされた穂夏は、他大学の男数名に和室へ連れ込まれて、そして――


 やっと親に伝えた頃にはもう中絶が難しい時期だった。


 突然の事態に、美作家は大混乱に陥った。穂夏は相手の男の顔を全く覚えていなかった。そもそも穂夏を犯した相手が一人かどうかすらも不明だ。責任を取らせようにも、サークルにはざっと五十名の男がいる。全員を調べるのは不可能に近い。下手に通報でもすれば双方の大学に事情が知れ渡り、穂夏は社会的に殺される可能性があった。


 早く手を打たないと嫁の貰い手がなくなる、と両親は穂夏を強制的に退学させ、結婚相手を探すことにした。結婚相手を探すと簡単に言っても、実際は美作家が昔恩を売った相手に頭を下げて回る行為だ。三度目の懇願で千葉山輝の父親は応じた。


 これに猛反対したのが輝の母親と姉だ。当たり前だろう。凛が彼女たちの立場だったとしてもそうする。大事に育ててきた一人息子が、ほとんど精神を病みかけている何もできない十八歳の少女に縛り付けられようとしているのだから。しかもお腹には顔も名前も知らない別の男との間にできた子どもがいた。


 最終的には、当の本人の輝が承諾したこともあり、母親と姉の抵抗も空しく婚約は成立した。


 そうして生まれたのが千葉山凛だ。


 ――というのをなぜ凛がここまで詳細に知っているのかと言うと、それは無論、千葉山の実家に行くたびにねちねちと聞かせられ続けたからだ。お陰様で凛は、まだ小学校にも通っていない内から大人と大人が何をすれば子どもができるのか知っていたし、母を冒涜する下劣な言葉の数々を浴びせられていたし、自分がどれほど生まれてはならない存在であったかを身をもって実感していた。お前がいなければ輝は可哀想な目に遭わなかったのだと、祖母と伯母は暗に言っていた。


 そんなに凛を責めるのならいっそのこと殺してくれればいいのに。けれど誰もかれも凛を不満の捌け口にするだけで、決して死なせてはくれないのだった。


 最近は、毎朝鏡を見るたびに思う。父は当然ながら、母にも、凛の顔は全然似ていない。美作家の人々は写真でしか見たことがないが、母も含めて小柄な人ばかりだ。凛の身長は父をも飛び越えて、まだ伸びようとしている。


 つまり、ここに凛の居場所はない。







 三回目は、次の日の部活が終わった後だった。


「千葉山ぁ、着替え終わったら少し付き合え」


 坂木先輩。凛よりも背は低いが、がっしりとした体格の二年生だ。凛は明るく「はい!」と返事をして、スラックスを履いた。隣で着替えている大樹が不思議そうな目で見てくる。


「凛、坂木先輩となんかあったのか?」

「ううん、わからない。何の用だろうね」


 お前が怒られるようなことしてるわけないしなあとぼやいて、大樹は「オレも付いていこうか?」と言う。凛は慌てて首を振った。


「いや、いいよ。長い話かもしれないし。大樹は先に帰ってて」

「ふーん。オーケー」


 何かあったら言えよ、と残して大樹は卓球部の部室を出て行った。


 場所を指定されてはいなかったが、校舎裏に来いという意味だろう。着替え終わった凛が向かうと、坂木先輩は壁に寄りかかってスマホを弄っていた。香西先輩と高沢先輩もいる。坂木先輩は凛に気づくと「遅いぞ」とニヤニヤ笑った。凛は鞄を持つ手に力を入れて俯いた。


「あの、何で呼んだんですか」

「分かってんのに聞くんじゃねえよ」


 坂木先輩は下卑た笑みでポケットに手を突っ込んでいる。


「次も五万だ。来週までに持って来い」


 凛はぎゅっと眉根を寄せた。声が震えるのが自分でもわかった。


「も、もう無理ですよ。本当に、これ以上は出せません。最初ので全部だったんです」

「叩けば出てきたじゃねえか」

「だからっ、あれはうちの生活費で」


 みぞおちを鋭い痛みで貫かれ、凛はうぅ、と呻いて半分に身体を折った。


「つべこべ言うな。バレてもいいのか?」


 凛は唇を噛みしめた。


 なぜこんなことになってしまったのか、凛はわかっている。原因を作ったのは他ならぬ凛なのだ。


 実は、夏休み期間中、凛は学校にも親にも内緒でアルバイトをしていた。もちろん校則では禁止されているのだが、凛は中学卒業後に家を出たくて、そのための資金がどうしても必要だった。


 バイト先は紅黄高校の近くにある古びたレンタルビデオショップ。店主には紅黄高校の生徒だと偽った。紅黄中生の生活圏内ではないし、万が一知り合いや先生が来ても隠れれば大丈夫だと思っていた。実際、夏休みが終わるまで一度も誰にも出くわすことなく凛は働くことができたのだ。


 八月二十五日、凛は学校が終わった後私服に着替えて店に向かい、給料を受け取った。八月分の給料は本当は来月にしか出ないはずだったのだが、無理を言って前借りさせてもらった。


 お札の枚数を数えながら店を出ると、坂木先輩たちがそこにいた。


 凛が働いて手に入れたバイト代はすべて口止め料となった。それで終わったものと安心しきっていたのに、今週の火曜日、凛を校門で待っていた先輩はさらに五万を寄越せと要求してきた。バイト代は残っていない。苦肉の策として、凛は自分の貯金と引き出しの生活費を足して差し出した。


 限界だ。「バレてもいいのか」という脅しに、凛は答える。


「……構いません。だってもう、バイトやってないし、お金もない、し」

「へえ、そう」


 坂木先輩の膝蹴りがもう一度凛の腹部に刺さり、今度こそ凛は倒れた。同じところを集中的に爪先で蹴られて、胃液が喉元までせり上がってくる。凛は無意識に口を手で押さえていた。


「別にいいけどね? お前が駄目なら、堤でも」


 凛は声を振り絞って叫んだ。「大樹にだけは言わないでください!」


「お願い、します、大樹だけは、やめて……」

「なら早く承知しましたって言えよ!」


 再び腹を蹴り飛ばされ、凛は校舎の壁に叩きつけられる。口の中で血の味がした。


 朦朧とする意識の中で凛は大樹、ひろき、と繰り返していた。たすけて、たすけて大樹……。







 小学校六年生の、五月のことだ。


 きっかけはクラスメイトの男子の一言だった。


「なあ、おまえの母ちゃんってインランなんだろ?」


 凛は手に持っていた筆箱を落とした。鉛筆とか消しゴムとかが教室の床に広がる。しゃがんで拾い上げることもせず、否定もせず、凛は自分の机に目を落とした。


 なになにー、何の話、と数人の男女が寄ってくる。「おれの母ちゃんが知り合いから聞いたって言ってた。おとなしそうな顔してやることやってるって」と得意気に言うその男子が言葉の意味をどれほど理解していたのかは不明だが、少なくとも周りは楽しそうに沸き立った。えー、何それ、サイテー。


 クラスメイトにしてみれば凛の母親の素性はどうでもよくて、ただ退屈を紛らわせる生け贄がほしかっただけなのだろう。いじめは最高のエンターテイメントだから。こいつは苛めてもいい人間だ、と狙いを定められたらターゲットから外れることは凛の力だけでは不可能なのだ。


 初めは私物がなくなるだけだった。文房具、上靴、教科書、体操服。大抵はゴミ箱に入っているか掃除用具入れの中に隠されているかで、凛は何も言わなかった。机に落書きをされて、靴箱に虫の死骸を入れられて、黒板消しや雑巾が上から降ってきても、まだ耐えられた。「あいつら」は玩具にできるなら誰でも構わなくて、凛は偶々対象になってしまっただけだ。凛が凛であるだけで憎しみの目を向けてくる祖母や伯母に比べたらきっとマシだ、と。


 服を脱がされてトイレの便器に顔を突っ込まれたとき、凛は初めて吐いた。


 一学期を乗り越えることができたのは奇跡に近い。本当は学校になどもう行きたくはなかったが、毎日のように家で寝込んでいる母のようにはなりたくなかった。その気持ちだけで自分を叱咤して凛は二学期の始業式も学校に行った。


 夏休みを挟んだことで、いじめの勢いはやや収まっていた。除け者にされていることに変わりはなかったが。みんなもう飽きて、別のエンターテイメントを見つけたのだろうと、凛は胸を撫で下ろした。


 だが、その代償にあの「まぼろし」が現れるようになった。


 お前は生まれてはならなかったのだと、ここにいてはいけないのだと、通り過ぎる児童が、先生が、口を揃えて言う。凛を指差し非難する。凛を苛めていた人たちだけでなく、ありとあらゆる人間が、凛を罰そうとしてくるのだ。


 凛は心を殺して耳を塞いだ。やめて、やめてとどんなに願っても意味はなかった。


 そんなときだった。凛のクラスに転校生がやって来たのは。


「えーっと、堤大樹です。まーなんか、卒業までちょっとしかないけど、よろしくお願いしまーす」


 言葉は軽いのにぶすっとした顔で堤大樹は自己紹介をして、凛の隣の席に座った。なんだか目つきの悪い怖そうな子、というのが第一印象だ。凛よりは相当小柄でも、大樹には野犬のようなオーラがあった。凛のようないじめられっ子と、転校生が話すことなんてないだろう。


 ところが、その一週間後の朝読書の時間のことである。


「おい、凛」


 大樹は最初から、凛のことを凛と呼んだ。クラスメイトも先生も父も呼んでくれない名前を、大樹は呼んでくれた。


「それ読み終わったら貸してくんね?」


 凛は目をぱちくりさせて、手元の文庫本を見た。父が処分しようとしていた中から持ってきた小説だ。


「……何で?」


 クラスメイトと話したのはあまりに久しぶりで、喉の奥の方がかさついた。


「え、面白そうだから」


 大樹のことをあいつらがじっと見ていることに気づいて、凛は大樹に本を押し付けた。


「あげるよ。読み終わったら捨てて」

「は?」

「だから、僕に話しかけないで!」


 周りに聞こえるようにしっかりと拒絶した。ほら、これでいいでしょう? この子を巻き込むのはやめてね。そうお願いするみたいに。


 大樹はきょとんとした後、平然と本を受け取った。


「わかった、サンキュー」


 大樹はそれ以降本当に話しかけてこなかった。


 突発的に襲ってくる幻覚と戦いながら、凛は一人で学校に通い続けた。世界の全てが凛を否定する。あそこで井戸端会議をしているおばさんたちも、凛のことを話している。毎朝校門で見かける用務員も、心の中で凛を嗤っている。凛が呼吸をしていることを、みんなが迷惑だと思っている。


 ある朝凛が目を覚ますと、体が布団から動かなくなっていた。


 もうだめだと思って、九月の半ばから凛は不登校になった。


 母はむしろ、凛がずっと家にいることを喜んでいるようにさえ見えた。数年前からすっかり作らなくなった料理を凛のためにわざわざ作る日もあった。自分に「不登校の息子の世話をする」という役割ができて嬉しかったのだろう。父は何も言わなかった。凛の自由意志に任せていたのか、単純に興味がなかったのかはわからない。ともかく両親がそんな調子なので、凛は二十四時間自分の部屋に引きこもっていた。部屋の中は心地よかった。誰も凛のことを否定しないし、生きていることを許してくれる。ただ、手足の先が腐り落ちていくような絶望が、部屋の四隅で虎視眈々と凛を狙って息を潜めていた。


 一ヶ月が経った頃、千葉山家に大きめの封筒が届いた。「六年一組のみんなより」と担任の字で書いてある。


 中身は概ね予想通りだった。早く元気になってねとか、学校で待ってるよとか、千葉山くんがいないと寂しいとか、薄っぺらい言葉の数々。あいつらのものもある。凛は一枚一枚全部読んでから、また吐いた。


 そのさらに二週間後、今度は玄関のチャイムが鳴った。


 凛は宅配便か何かだと思っていた。母が出ようとしないので凛がドアを開けると、そこにいたのはあの転校生だった。凛がすぐに閉めようとしたドアに足を挟んで「あっ、おい、待て」と大樹は不満の声を上げる。


「お前全然学校に来ねえから、住所聞いて持ってきたんだよ、ほら」


 隙間から差し込まれたのは凛も存在を忘れていた文庫本だ。何で来たんだという困惑と混乱で「帰って!」と凛は枯れた声で叫んだ。


「先生に言われたんでしょう、僕を連れ戻すようにって」

「はあ? ちげえよ、勘違いすんな」


 凛の方は命を燃やして抵抗しているのに、ドアの向こうから聞こえてくる声は涼しげだ。凛は無性に腹が立って「帰ってってば!」とよりいっそう声を張り上げた。


 静かになったのを確認してほっとした途端、大樹は足を挟んでいた隙間をこじ開けて腕をねじ込んできた。ひぃ、と凛は小さく悲鳴をあげて飛び退いたが、大樹は顔を見せないまま何かが入った袋を玄関に落としただけだった。


「これ置いていくから、読め」

「手紙なんて、」

「アホか、そんなんじゃねーよ。ちゃんと見ろ。あのな凛、あんなの読んでないで、これを読め。ずっと家にいるなら読む時間あるだろ。いいな」


 大樹は腕を引っ込めて扉を閉じた。おそるおそる覗き穴から外を見ると、いなくなっている。


 袋に手を伸ばすのは恐ろしかったが、やや重みのあるそれは確かに手紙ではなさそうだった。


「なに、これ……」


 入っていたのは漫画だった。シリーズ物の一から三巻まで、というのが三セット。中身にびくびくしていたのが馬鹿らしくなって、凛は一気に脱力した。


 学校をサボっている暇なやつ、みたいな言い方をされたことを思い出して、また苛立ちを覚えた。とは言え、毎日部屋で天井を見つめたり道路を走る車の音を聞くことにそろそろ飽きていたのは事実だ。凛は部屋に戻ると、袋の一番上に入っていた漫画を取り出して読み始めた。


 次の日、大樹は同じ時間に玄関のベルを鳴らした。


「どうだ? 面白かっただろ?」

「……うん」


 ドアの隙間から外を覗いて、凛は頷いた。凛は今まで漫画というものを読んだことがなかったが、大樹の貸してくれた作品はどれも面白かった。本当に久しぶりに、ワクワクするという感情を思い出したのだ。いいや、ひょっとするとこれが初めてだったかもしれない。各シリーズは四巻以降も続いていて、正直なところ、凛は大樹が続きを持ってくるのを今か今かと待っていた。


 よっしゃ! という声がして、凛はドアを完全に開いた。あの一見不機嫌そうな表情からは想像できない、人懐っこい笑顔があった。大樹は勝ち誇ったように言う。


「見たか姉貴、やっぱりオレは正しかったぞ!」

「……あねき?」

「あ、うん。姉貴がさ、オレの買ってきたこれ読んで全然つまんなーいとかぬかすわけ。前の学校の連中にも勧めたんだけど、誰も読んでくんねーの。な、良かっただろ?」


 なるほど、つまり大樹は凛を学校に連れ戻そうという意図は一切なく、ただ単に自分の共感者を増やしたくて凛の家まで来たというだけだったのだ。強張っていた肩から力が抜けていくのを凛は感じた。


「で、どれが一番良かった?」

「えっと、ダンジョンを攻略するやつ」

「よーしわかった、じゃあ明日それの続き持ってくるから待っとけ」


 大樹の言葉に凛は落胆して、思わず「えっ今日持ってきてないの?」と口を滑らしてしまった。


 目を丸くした後、大樹は「お前、意外と図々しいな」とくすくす笑った。


 凛はかあっと顔を赤くした。でも、悪い感覚ではない。前は「図々しい」なんて言われたら恥ずかしくて仕方なかったけど、大樹の言い方には心地よい気楽さがあった。


「はいはい、オレんち近いからさ、戻って取ってくるよ」


 大樹が漫画を取りに行っている間に、凛は大急ぎで部屋の片づけをした。大樹が戻ってくる頃には、なんとか人を部屋に上げられそうなぐらいには綺麗になっていた。リビングまでは手が回らなかったけれど。


「あ、あの、良かったら上がる?」


 遠慮がちに言うと、両手に袋を持った大樹はやはり人懐こい笑顔で「おう」と言った。


 それから大樹は、放課後になると毎日凛の家に来るようになった。おおかた凛の部屋で大樹の持ち込んだ漫画を読んだりゲームをしたりしては感想を言い合っているだけだったが、凛は楽しくて仕方なかった。母の調子が良い日はお菓子を食べることもあった。


 凛があげた本について、大樹は「あれさ、最後まで読んだけど、全然面白さがわかんなかったんだよ」と言う。


「ああいうのが好きなのか? 凛は」

「い、いや、僕は父さんの本をてきとうに持ってきただけで……というか僕、あれ最後まで読んでないし」

「はーっ!? マジかよ、見栄張って損した」


 口を尖らせる大樹が面白くて、凛は笑った。笑えるようになっていた。


 ずっと気になっていることがあった。大樹と話すのがすっかり習慣化していた翌年二月の終わり、凛はとうとう大樹にそのことを伝えた。


「堤くんは、一度も学校に来いって言わないね……」


 床に転がって漫画を読んでいた大樹は「んー」と何でもなさそうに返す。


「そりゃ、凛が来たら楽しいだろうとは思うけど、来たくないんだろ? なら来なくていいよ、オレが凛の家に来るから」


 学校とか行っても行かなくても死なねえしな、と大樹は笑う。


「オレも行きたくねえけど、行かねえと姉貴に殴られるから」

「な、殴られるの?」

「ああ、お姉様は神様の上位存在だから、下僕の弟は逆らえないの」


 ひとしきり姉の悪口を言ってから、大樹はこう続けた。


「けど、凛が来たいと思ったなら、いつでも来ていいからな。そのときは、あー」


 照れたように言葉を切って、


「そのときは、オレのことも大樹って呼んでくれよ」







 シャッター音が、校舎裏に連続して鳴り響いた。


 凛の顔を殴りつけようとしていた坂木先輩が不快そうに顔を上げる。他の先輩二人も怪訝な顔で辺りを見渡していた。


「おい、誰だ! 何を撮った!」


 三人の先輩は凛を放置し、血眼で散っていった。体をずらして校舎の壁にもたれかかると、散々蹴られた腹がずきずきと痛む。しばらく動かないでおこう、と凛は目を閉じた。


 先輩たちがいなくなってから一分かそこらが経ったときだった。


 ぷぷぷ、と無邪気な笑い声がした。


「あー、おっかしい。音に反応して飛びかかるなんて、お猿さんみたいだねぇ」


 校舎の陰からぴょこんと顔を出し、女の子が軽やかにスキップで近づいてくる。


 倒れた凛の顔を覗き込み、手を掴んだのは、


「明佳、ちゃん」

「りんくん、こっちこっち。早くにげよ」


 引きずられながら凛は立ち上がった。ぐいぐいと手を引いてくる明佳を、腹を押さえて追いかける。裏門から学校の外に出てもまだまだ走り続けて、灰色の住宅街を二人だけで突っ切って、公園に着いたところで明佳はようやく速度を緩めた。


 万寿公園だ。凛も昔は偶に遊びに来ていた。塗装の禿げたゾウの遊具や色褪せた滑り台は、並んで立ってみるとやっぱり凛の想像よりもずっと小さくて、わけもなく泣きたくなる。


「あったあった、ここなら大丈夫だよ」


 明佳は公園の奥にあるドーム型の遊具に四つん這いになって入り、中で向きを変えて凛を見上げると「りんくんもおいでよ」と純真無垢な顔で微笑んだ。


「僕は、そこには行けないよ」

「あっそっか。りんくんおっきいもんね」


 明佳はよいしょ、と遊具から出てくると、今度はジャングルジムによじ登った。小柄な体躯でするすると登っていく明佳は、何のために自分をここまで連れて来たのだろう。


 ジャングルジムの頂点に立って、明佳はふうーと満足そうに息をつく。


「りんくーん、ここ見晴らしいいよぉ。おいでー」

「明佳ちゃん」


 凛は呑気な声で話しかけてくる明佳を見上げた。


「さっきは、ありがとう。助けてくれて。慰めてくれてるのかも、しれないけど、もういいよ。大丈夫だよ、ほ、本当に、大丈夫、だから、だい、じょ」


 言いながら涙声になっていた。ああ、こんな小さな、赤ちゃんみたいな子の前で自分は泣いているのか。


 明佳の丸っこい瞳を見ている内に、自分の一番見られたくないところを見透かされているような、すべてを正直に打ち明けなければならないような、そんな気持ちになる。


「……だいじょうぶ、なんかじゃ、ない」


 上を向いているから、涙は零れないはずだった。


「大丈夫なんかじゃない。本当は、ぜんぜん平気じゃない。もう、もう嫌だ、僕」


 死にたい、とそのとき凛は初めて言った。大樹にも、母にも、父にも言ったことのない言葉だった。


「死にたい、死んでしまいたい、僕は、生きているだけで誰かを不幸にするなら、僕はもう、これ以上生きていたくない」


 凛は膝をつき、ぼろぼろに泣いた。凛の視界に映る明佳が滲む。涙を止めようという気持ちは微塵も湧いてこない。


 ややあって、明佳はジャングルジムの上に座り、短い脚をぷらぷらさせて、変わらないトーンで言った。


「りんくん、わたしね、兼部してるんだけど」


 凛は反応できなかったが、涙の勢いは弱まった。兼部? 明佳は何の話をしようとしているのだろう。


「これ、見たことある?」


 スカートのポケットから取り出したのは、折り畳まれた一枚の紙だった。明佳はそれをぴらりと広げ、凛に見せつけてくる。凛はあっ、となった。


「飛び込み部……」

「あ、りんくんは見た? これねぇ、すごいでしょ、いちまいいちまい、手書きで描いたんだよ」


 取り出されたものは、凛が見たものと色合いや描いてあるものが多少違った。明佳は鼻高々だ。


「りんくんも、飛び込み部、入ろうよ」


 凛は呆気にとられた。何で今このタイミングで部活勧誘を始めたのか、どうして凛なのか、訊きたいことは色々あったが以前からの疑問を優先させた。


「……うちの学校、プール使えないよね?」

「うん、知ってるよ」


 わたし泳げないし、としれっと言う。


「だからだからね、プールに飛び込むんじゃなくて、」


 ぴん! と脚を伸ばした明佳は、ジャングルジムの頂上から勢いづけて飛び降りた。空中に綺麗な線が描かれるのを凛は見た。すとんと着地した明佳は凛の方を見て、うふふ、と笑う。


「――線路に飛び込むんだよ」


 ね、ね、楽しそうでしょ?




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