1章 04.怒り
僕は、学園に入ったのはいいものの何をすればいいのか、よくわからないから、うろうろしてたら、声をかけられた。
「もしかして、今日来る転校生ってあなた?」
「多分そうだと思うんだけど、どうすればいいのかわからないんだ。」
「じゃあ、私が職員室に連れて行ってあげる。」
「いいのか?」
「いいの、いいの。私も暇だったし。」
「それなら、案内してもらおうかな。」
「うん。じゃあ、ついてきて。」
「分かった。」
それから、歩きまわったのだが職員室につかない。
「あの。もしかして、職員室がどこにあるのかわからないんじゃないのか?」
「そそそそんなことないわよ。私に任せなさい。」
「絶対わかってないだろ。」
「わかるわよ。あなたを学園内を案内してただけなんだから。」
「そうか、それならもう学園内の案内はいいから、職員室に連れて行って。」
「…………。」
「おい、何で黙るんだよ。」
「その、ごめんなさい。実は職員室の場所わからないんだ。」
「やっぱり、わかんないんじゃないか。」
「あの、怒ってる?」
「怒ってない。」
「私の名前は、ロシェル=アンリオ、あなたは?」
「天王寺 悠真。っておい、話を変えるな。」
「テンノウジ ユウマくんね。覚えたわ。それじゃあ、ユウマくん。いつか、また会えたらいいね。」
と言って、ロシェルはどこかに行こうとしていた。
だから、僕はロシェルの腕を掴み、
「おい、どこに行く気だ?まだ、案内は終わってないぞ。」
「仕方ないでしょ。わかんないんだから。」
「何、勝手に開き直ってんだよ。」
「じゃあ、どうしたらいいの?」
「一緒にいろ。お前は、職員室の場所だけがわかんないんじゃなくて、この学園自体よくわかってないんじゃないのか。」
「どうして、分かったの?」
「見てりゃわかる。」
「そうなんだ。後、私はお前じゃない。ロシェル=アンリオっていう名前がある。」
僕はしばらく考えてから、
「なぁ、ロシェル。お前、覚えるの苦手だろ。」
「うん。私ね、この学園の先生にも生徒にも飽きられてるんだ。私はバカだから、勉強も出来ないし、名前も覚えれないから、友達も出来ない。だからさ、ユウマくん。私の友達になってくれないかな。」
「僕の名前、覚えてるじゃないか。」
「ほんとだね。こんなこと、初めてだよ。」
そんなことを話してたら、
「テンノウジ ユウマくんですね。もう、ホームホームルーム始まるから、私と一緒に来てください。」
「はい。」と言って歩こうと思ったら、何かに引っ張られた。
「何やってんだよ。早く行くぞ、ロシェル。」
「行ってもいいのかな。私なんかが。」
「いいに決まってるだろ。もし、お前のことを悪く言う奴がいたら、こらしめてやるから。後、私なんかがとか言うな。」
「うん、ありがとう。こんなに優しくしてもらったのは、生まれて初めてだよ。」
ロシェルは目に涙を溜めながらそう言った。
だから僕は、「大袈裟だな。これはお礼なんだよ。ロシェルだけが、僕を案内してくれようとした。そのことへのお礼だから。そんなこと言うな。ほら、行くぞ。」
僕とロシェルは先生について行った。
先生は、止まりこう言った。
「ここが、テンノウジくんの教室です。私は先に中に入るから、私があなたを呼んだら教室に入ってきてね。」
「はい。」
先生は先に入って行った、その瞬間、教室が騒がしくなった。
「先生遅いよ。どこ行ってたんですか?」などなど。
先生はかなり慕われているようだ。
「おい、ロシェル。」
「な、何?」
「何?じゃないよ。教室入んないのか?」
「怖いんだよ。何か嫌なこと言われるかもって思ったら、足がすくんじゃって。」
「しょうがないなぁ。僕と一緒に入るか。」
先生の声が聞こえてくる。
「それでは、今日このクラスに転校してきた、テンノウジ ユウマくんです。ユウマくん、入ってきて。」
っと呼ばれた。
「ほれ、ロシェル行くぞ。」
「やっぱりいいや。ユウマくんだけ入って。」
「もう、何言ってんだよ。ほれ行くぞ。」
僕はロシェルと手を繋ぎ一緒に教室に入った。
教室に入り、教壇に立ち自己紹介をした。
「今日から、この学園に転校してきた、テンノウジ ユウマです。英雄になるためにこの学園に転校しました。不束者ですが、これからよろしくお願いします。」と。
まぁ、転校というのは嘘なんだけどな。
そもそも、この世界に来たのなんて1週間前だし。
自己紹介をし終えた僕は、
「何か僕に質問はありませんか?」と言った。
そしたら、
「何で、ロシェルさんと手を繋いでいるんですか。」と。
やっぱりそう言われると思ってた。
「何でって言われてもな。手を繋がないとロシェルが教室に入ろうしなかったから。」と。
そう言った途端、生徒の1人の男は
「出てけよ、ロシェル。お前なんかこのクラスにいらねぇんだよ。」と。
他の生徒もゲラゲラと笑った。
「やっぱり帰るね。このままいたら、ユウマくんにも迷惑がかかる。」
僕は、その瞬間、怒りが込み上がってくるのを感じた。
こんなに腹が立ったことは一度もない。
この時、僕は手に力を入れていたのか、
「ユウマくん?」と声をかけられた。
こんなにいい奴なのに。
この時、覚悟を決めた。
僕は、魔導書を取り出し、「エミリー。現界して。」
「はい。主人様。」
魔導書は光だし、黒髪ロング幼女が現れる。
その瞬間、生徒達は
「ユウマくん。もう、英雄の器に達してるんだね」とか。「すごいね。私も早く現界できるようになりたいな。」とか。そんな僕にとってどうでもいいことばかり言いやがった。
「おい、お前ら。ロシェルに謝れよ。何が、このクラスにいらないだよ。何でそう思ったんだよ。答えろよ。しかも、お前らなんかにユウマくんなんて呼ばれたくねぇよ。」と、俺はキレた。
そしたら、ある女の子は「私たちの名前を覚える気なんて全くなかったから。」と怯えながら言った。
「そんなわけあるか。覚える気がないなら、俺の名前なんて覚えてるわけないだろ。ロシェルは俺の名前を覚えてた。すこし、覚えるのが苦手なだけなのに、名前を覚えてもらえないから、このクラスにいらない?アホか。お前らみたいな奴が英雄になれるわけないだろ!」と、俺は言い切った。
さっきロシェルに出てけよと言った男が、
「俺がいらねぇって言ったらいらねぇんだよ。何だよお前。俺らの気持ちも知らねぇくせに。イキがってんじゃねぇよ。」と。
「確かに俺はお前らの事なんて知らないし分かりたくもない。でもお前らもさ、ロシェルの気持ちなんて知らないだろ。」と言った瞬間、その男が俺を殴りかかってきた。
「いってぇな。何すんだよ。」
「お前が鬱陶しい事ばかり言ってるからだよ。」
「口喧嘩で負けたから次は、暴力ですか?ふっ、心が狭いな。」
俺は挑発をした。
「いい加減にしろよ。お前。」
また、殴ろうと手を上げ、手を握り、手を振り下ろそうとした瞬間、その男は吹っ飛んで行った。
「主人様に手を出そうとするのは見逃せません。1度くらいなら、見逃してもいいとは思ったんですが、2度も手を出そうしました。」
そうエミリーが言った瞬間、俺の意識はそこで途絶えた。
なぜ、俺の意識が途絶えたのかはわからなかった。
意識を失った俺は、夢を見ていた。
懐かしい夢を。
でも、その夢を俺は知らない。
多分、この夢はこの世界の天王寺 悠真のものだろう。
夢にはおじいちゃんと俺がいた。
なぜ、おじいちゃんだと分かるのかと言うのは感覚だ。
でも、そんな気がするんだ。
「ユウマよ、ワシみたいな老いぼれたじじぃを目指すな。もっと上を目指せ。ユウマが英雄になってみんなが安心していられるような世界にしろよ。」と。
おじいちゃんは、そう言っていたような気がした。
俺は、目を覚ました。
そこには、俺の魔導書を持った、椅子に座っているロシェルがいた。
ロシェルは俺が目覚めたことが分かり、こう言ってきた。
「何で、あんなことしたの?私なんか放って置けばよかったのに。」
「私なんかとか言うなって、俺はただロシェルを守りたかっただけ。俺がしたいことをしただけだから、気にするな。」
「………。」
ロシェルは黙っていた。
そして、思い出したかのように、
「これ、ユウマくんの魔導書。」
「ありがとな。あれからどうなった?」
「ユウマくんの魔導書、エミリーさんだったっけ。エミリーさんは、ユウマくんが倒れた後、ダニエルくんを倒そうとしたんだけど、ユウマくんのお姉さんのアナスタシアさんが窓ガラスを割って、教室に入ってきて、エミリーさんを、強制的に魔導書に戻して、私とアナスタシアさんでユウマくんをここまで運んだんだよ。」
「姉さんが来たのか。…ちょっと聞いていいか?」
「いいよ。」
「姉さん、怒ってた?」
「はい、かなり。」
「それとダニエルって誰のことだ?」
「ユウマくんを殴りかかった人だよ。」
「そうか。そういえば、ロシェル。エミリーの名前も姉さんの名前もダニエルの名前も覚えてるじゃねぇか。」
「ほんとうだね。ユウマくんが来てから、名前を覚えれるようになったのかな。」
「でも、ダニエルの事は俺が来る前から知ってたんじゃないのか?」
「そうなのかな。もしかしたら、ただ私は名前を知らないフリをしていただけなのかもしれない。」
「そうか。でもよかったな…。」と言った直後、俺は横に倒れ、ロシェルの胸に頭をぶつけた。
ロシェルの胸は柔らかかった。
「大丈夫?」と言って、俺をベッドに寝させてくれた。
「悪いな。そういえば、何で俺が倒れたのか分かるか?」
「ユウマくんは、魔力がないらしいから、魔導書を現界させるために、自分の生命エネルギーを使ったから、倒れたんだって。そうアナスタシアさんは言ってた。」
「そうだったのか。ロシェルはさ、俺のことをダサいとか思わないのか、あんな調子いいこと言って魔力がないとか。」
「そんなこと、思わないよ。私はユウマくんのことをダサいとか思わない。」
「そうか。そうだったな。ロシェルは優しい奴だからそんなこと思わないよな。」
「うん。」
「ロシェル。悪いけど、まだ、気分が優れないから、もう少し寝るわ。」
「うん、おやすみ。ユウマくん。」
ロシェルは俺のおでこに口づけをし、
「ありがとうね、ユウマくん。私を守ってくれて。」と。