1章 02.家族の説得
「頭上げてください。僕でよければ眷族になりますから。」
「本当ですか?ありがとうございます。私の名前はアーサーといいます。では早速私のホームに行きましょう。」
アーサーと言えば、金髪で目が碧く澄んでいて、アーサー王って呼ばれてるけど実際は、女性。
身長は僕より少し高いくらいかな。
容姿はスタイル抜群。出ているところは出ているって感じ。
僕はワクワクしながら、エミリーに
「エミリー、アーサーってあのアーサーだよな。」
「はい、あのアーサーです。」
「かぁ〜すっげー。本当にアーサーなんだ。一生ついていきます。」
「それでは、ホームに案内します。ついて来てください。」
「はい!」
僕はワクワクしながら、後について行った。
アーサーのホームを見るまでは。
「ここが、私のホームです。」
「ここが?どうみても廃墟じゃないですか。」
そう、廃墟。お化け屋敷に使われそうなそんな感じの。
「そんなこと言わないでくださいよ。」
アーサーは泣き始めた。
涙腺弱っ!
「泣かないでくださいよ。」
「こんなボロいホームに住んでるからって、眷族にならないとか言わない?」
「言わないから、泣き止んで。」
「わかりました。」
「なぁ、エミリー。本当にあのアーサーなのか?」
「はい。多分あのアーサーです。」
多分になっちゃったよ。
「よし、泣き止みました。あなたの名前を教えて下さい。」
「天王寺 悠真です。アーサーさん。」
「テンノウジ ユウマですね。覚えました。それでは、あなたの魔導書を見せて下さい。」
僕は何で見せるのかはわからないが、エミリーを渡した。
「はい、どうぞ。」
「えーと、テンノウジ ユウマ レベル1
力 6 防御 3 敏捷 18 器用 5 魔力 0
《特殊アビリティ》
《スキル》
《魔法》
あの、ユウマくん。弱すぎです。」
本当に僕って弱かったんだ。
「すみません。」
「もう、これは学校に行ってもらわなければいけないレベルの弱さです。あなたに拒否権はないです。勝手に学園へ手続きを済ませます。また、1週間後に来て下さい。」
「はい、すみません。」
僕って、この世界に来てから謝ってばっかじゃない?
僕は、へこみながら言った。
へこみながら言ったからなのか、アーサーさんは、「えーとその、言い過ぎました。それと今から1週間後までには、冒険者ギルドに必ず行ってきて下さいね。」
「はい。」
今日は家に帰ろうと思った。
「そうだ、エミリー。特典のこと詳しく聞いてなかったな。」
「そうだったっけ。まぁ、いいや。魔導書を持っている人は、特典と呼ばれるものが与えられる。それで特典には、様々な種類があって、一時的にステータス上昇や魔法の威力上昇、それに支援魔法の効果時間上昇とかいろいろあります。私の特典は、主人様以外の人が使うとかなりのチートなんですが、一度見た魔法は記憶し、自分も使えるようになるというものなんですが、主人様は魔力が少ないといいますか、ないんですよね。」
「それって、宝の持ち腐れっていうやつじゃん。」
僕はチートを持っているのに、持ってない人よりも弱い可能性があるのか。
そう心に思っていたところに「そうですね。」と、わかっているかのように言って来た。
はぁ、これからどうなることやら。
それからしばらく歩き、
「よし、着いた。」
僕は家のドアを開け、中に入る。
「ただいまー。」
足音が近づいてくる。
「お兄ちゃん、どこ行ってたの。心配したんだから。」
アイリスを筆頭に、大人が2人、子供が1人、僕の方へ来た。
「ユウマ。記憶がないっていうのは本当なの?」
ここは、話を合わせよう。
「はい、昨日までのことが全く。」
「そうなの、でも大丈夫。これからがあるから。」
めっちゃポジティブ。
「はい、そうですね。」
「私達はあなたの家族です。私はマリア=スミリノフ。母です。」
「僕は、アルマン=スミリノフ。父さんです。これからもよろしく、ユウマ。」
「あたしは、ユウマの姉のアナスタシア=スミリノフ。これからもよろしくね、ユウマ。」
「はい、よろしくお願いします。」
「それじゃあ、みんなでご飯を食べましょう。」
僕たちはご飯を食べ始めた。
僕は、言わなければいけないことがあった。
それは、「あの僕、英雄になりたいと思います。」
率直に言った。
「何、バカなこと言ってるの。英雄には魔導書がないとなれないの。」
「魔導書ならあるよ。ほら。」
僕は魔導書を出した。
「本当だわ。いつ魔導書を手に入れたの。」
「今日だよ。」
「でも、英雄になるためにはまずは英雄の器にならなきゃいけないの。英雄の器になるには、その魔導書を人としてこの世に現界できなければいけないの。だから、やめておきなさい。」
仕方ない、そこまでいうなら、
「エミリー、現界して。」
「はい、主人様。」
僕の魔導書は光だし、魔導書は黒髪ロングの幼女に。
「母さん、これで英雄になってもいい?」
母さんと父さんは驚いていた。
しかし、
「お兄ちゃんすご〜い。」
「さすがは、私の弟くんね。」
と驚いていない、姉妹がそこにいた。
何者だよ。この姉妹。
「わかりました。そこまで出来るなら英雄になりなさい。でも、これだけは守って。」
「はい。何ですか?」
「死なないで。」
「わかりました。後、僕はこの家を出ます。僕はアーサーさんの眷族になるので、ホームに泊まることにします。」
「反対する理由はないわ。ユウマがしたいことをしなさい。」
物分かりのいい母さんはいいなぁ。
「お兄ちゃんどこかに行っちゃうの?」
「この家を出るだけで、この都市にいるし、時々家にも帰る。だから、心配しないで。」
そう僕が言うと、姉さんは、
「あたしも、弟くんと一緒に家を出るわ。弟くんを1人にしたら、何するかわからないし、ずっと一緒にいたいし。」
「アナスタシアはやめておきなさい。あなたは魔導書を持ってないでしょ。」
「あるよ。あたしにも、魔導書。」
当たり前のように出した。
「本当だわ。アナスタシアも英雄になりたいの?」
「違うよ、あたしはユウマの英雄になるための手伝いをするだけ。」
「姉さん。」
「お姉ちゃんと呼びなさい。」
「お姉ちゃん///、本当にいいの?」
「うん、弟くんの側にいたいからね。」
ブラコンがここにいました。
「私も魔導書が手に入ったら、お兄ちゃんと一緒にいる。」
ブラコンが2人もいました。
こうして、家族の説得を終えた僕は明日に備え、寝ようとしていた。
だが、「弟くんちょっといい?」との声が。
「いいよ。」
姉さんは布団に入ってきた。
「本当に英雄になるの?英雄になるというのはあのブリトラを倒すという事なの。それがどういうものかわかってるの?」
「うん。僕はソロモンさんに言われたから、英雄になりたいんじゃないんだ。僕がなりたいからなるんだ。」
「もう、ソロモンさんに会ったんだ。よし、わかった。お姉ちゃんもユウマを応援するわ。だから、今日は一緒に寝ましょう。」
「話がどう転がれば一緒に寝るという考えが出てくるんだ?」
「すぅ。」
もう寝たし。早っ。
はぁ、仕方ない。
今日ぐらいはいいか。
僕も寝ようとしたら、
「お兄ちゃんちょっといい?」の声が。
またかよ。
「いいよ。」
アイリスはアナスタシア姉さんの反対側の布団に入って、
「本当に、家を出て行くの?」
「うん。ごめんよ。」
「ううん。お兄ちゃんはお兄ちゃんがしたいことをしたらいいと思うの。私はお兄ちゃんを応援してるからね。」
「うん、ありがとうな。アイリス。」
と言いながら、僕はアイリスの頭を撫でていた。
「ひゃう///。」
「あぁ、ごめん。」
僕は、手を引っ込めようとしたら、アイリスは
「大丈夫だから、もっとして。」と。
撫でていると、アイリスは眠っていた。
右にアナスタシア姉さん、左にアイリス。
暑苦しい。
僕も寝よう。
明日からの事は明日考えよう。