第88話 若く見えてもじいさんにゃ
マーシャルじいさんの説明によると理沙は何者かに召喚されての世界に来たことになる。
「あのぅ、マーシャルさん。私をこの世界に召喚したのは誰なんでしょうか?」
「召喚術は、専門じゃないからのう。そうじゃ、マジリア魔法大学に召喚術に詳しい奴がおった。あやつを訪ねると良い。」
「マジリア魔法大学ですか?」
「ロン、テッド、お前らどうせ隙じゃろ。連れて行ってやったらどうじゃ。」
「な、何で俺達が魔法大学まで行くんだ。」
「そうか、任せたぞ。」
「いや、まだ連れて行くとは言ってない。」
「ロン、テッド、よろしくね。」
「仕方ないな、だけど、マーシャルじいさん、あんたも行くんだぞ。」
「え~わしがか?」
「当たり前だろ、魔法使いでもない俺達が魔法大学に行っても相手にしてくれないだろ。」
「仕方がない無いのう。それじゃあ、支度するから待っておれ。」
マーシャルじいさんはそう言うと奥の部屋に入っていった。
「随分、マイペースな人ね。」
「まあな、だいたいいつもあんな感じだ。」
「ロンも俺もマーシャルじいさんには借りがあるからな。」
そうしている内にマーシャルじいさんは準備を終えて奥の部屋から戻ってきた。
戻っできたマーシャルじいさんは伸ばしていた髭を綺麗に剃り落とし長い髪を後ろに束ねていた。
マーシャルじいさんの髭を落とした顔は若々しく年寄りに見えないがっちりしたたくましい身体をしていた。
よく見るとトム・クルーズに似てなくもない。
「じいさんって、若いじゃない!」
「うれしいこと言ってくれるのう。」
「たくましくても、人間のくせに二百年も生きていればじいさんさ。」
テッドの言葉に理沙は驚いた。
「二百歳!」
「まだまだ、元気じゃよ!」
でも言葉使いは年寄りだ。
「それでは、出発するかの。」
こうして理沙は魔法使いのマーシャルじいさん、オレンジ熊のロン、お洒落リスのテッドと魔法大学に向けて出発した。