第84話 魔法少女とオレンジ熊にゃ
暖かい日差しにオレンジ熊は小高い丘の上の草地で大の字になって昼寝をしていた。
オレンジ熊は熊とは言っても体長1メートル程のオレンジ色のぬいぐるみの様な姿で性格の温厚な魔物である。
ビューッ!
突然の強い風にオレンジ熊は目を覚まし薄く目を開けた。
きゃー!
真上から聞こえて来た悲鳴に驚いて目を見開くと目の前にお尻があった。
ドスン、むぎゅぅ!
突然、空から降って来たお尻にオレンジ熊は押し潰されていた。
「痛ったー!」
お尻をさすりながら立ち上がったのはゴスロリ風の衣装に魔法少女が使うようなステッキ背中には黒い羽を生やした少女だった。
「あれ、あんな高いところから落ちたのに生きてる。」
「何だか知らないのが俺の上に落ちてきやがって危ないじゃあねえか!」
「きゃっ、すみません。あ、それ熊の着ぐるみですか?」
「着ぐるみ、何を言ってんだ。俺はそんなもの着ていないぞ。」
「えっ!何を言ってるんですか、その冗談面白くないですよ。」
突然、少女はオレンジ熊の頭を掴んで持ち上げようとした。
「な、何を言ってしやがる。」
「取れない!うそ、本物!」
「だから、そう言ってるだろう。お前、オレンジ熊を見たこと無いのか?」
オレンジ熊の言葉を最後まで聞かずに少女は気を失なって倒れこんだ。
理沙は夢を見ていた。
夢の中で理沙はコミケの会場を突然、襲った竜巻に巻き込まれ、空高く吹き飛ばされていた。
どれだけ時間が経ったか分からない。
竜巻が消え理沙は空中に投げ出された。
空中でもがく内に何故だか背中の羽が羽ばたいた。
流石に飛ぶことは出来ないが落下の速度が遅くなったのを感じた。
オレンジ色のぬいぐるみの熊の上に落っこちたところで目が覚めた。
「やけにリアルな夢だったな。あれ、ここは?」
理沙は知らない部屋のベットの上で寝ていた。
「気が付いたか!」
不意に部屋のドアが開き、オレンジ熊が入ってきた。
「え、夢の続き?」
「いつまで寝ぼけているんだ。あんた名前は?」
「え、理沙です。」
「理沙、俺は、オレンジ熊のロン。起きたんならこっちにきて飯でも食いな。」
ロンに誘われるまま、理沙はテーブルについた。
テーブルには温かいスープとパンが置かれていた。
「食いな。別に毒とか入っていないぞ。」
「いただきます。」
無性にお腹のすいていた理沙はスープを飲んだ。
「美味しい!」
「当たり前だろ、俺が作ったんだ不味い訳がないだろう。ところであんた異界人だろ。」
「異界人?」
「この世界の住人じゃないってことだよ。オレンジ熊は知らないし、その変な格好は見たことがないからな。」
「そうみたいね。私のいた所には、あなたみたいな喋る熊はいなかったからね。」
「俺は、熊じゃないからな。」
「はぁ。あのぅ、ここは何処なんですか。」
「俺の家だ。」
「いや、そうじゃなくて、」
「分かっている、冗談だ。ここはマナスの森だ。」




