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第75話 決戦にゃ7

 ジュノはブリットへ空からの攻撃を続けていた。

「手も足も出ないとはこのことだね。でも、すぐには、終わらせないよ。少しずつ痛めつけてやる。アハハハハッ!」

 ジュノは前にブリットに圧倒的な力の差で敗北したことを忘れるほど上機嫌であった。

顎が真上を向くほどの高笑いをしていた。

「やれやれ。」

 ブリットは足元の石を拾うとジュノに投げつけた。

ガン!

「ぐあ!」

 余りに気持ちよく笑っていたジュノはブリットが投げた石があごに直撃した。

「馬鹿ですか貴女あなたは。」

「く、貴様、馬鹿にしおって。」

 ジュノは頭から湯気が出るほど激怒するとブリットへの攻撃を再開した。

バシュ、ポトッ!

「そのふざけた猫耳が気に入らないだよ。」

 ブリットの足元に猫耳の髪飾りが落ちた。

 ブリットは真っ青な顔をして膝を付くと猫耳の飾りを手に取った。

ピシッ!

 髪飾りは小さな音を立てて二つに折れた。

「こ、この猫耳は私の御主人様マイマスターへの忠誠の証だぞ。」

 ブリットは肩を震わせながら呟いた。

ゴゴゴゴゴゴ…。

 ブリットから強烈な闘気が立ちのぼり、ブリットはゆっくりと立ち上がった。

「貴様、許さんぞ。御主人様マイマスターの仇。」

 いやいや、俺は死んでいないから猫耳は俺じゃないし…。

 ブリットの身体が静かに空に上がっていく。

「何、貴様、空を飛べるのか。何故今まで飛ばなかったのだ。」

「飛べる飛べないはどうでもいいことです。この姿は私のイメージにあわないので見せたくなかった。だが貴女は、私の大切なものを踏みにじった。決して許さない。」

「イメージに合わない?」

 ブリットの背中には小さなピンク色をしたコウモリの羽が生えパタパタと羽ばたいていた。

 忘れられているかもしれないがあの軽薄なピンクシャツのバンパイアの羽である。

「何だ、その恥ずかしいピンクの羽は!」

 ジュノはブリットの羽をみて腹を抱えて笑った。

「私のこの姿を見て、更に笑うとは許しません。」

 ブリットは、両腕をゆっくりと大きく広げた。

「そんな、小さな羽で何が出来る。」

 そうジュノが言った瞬間、ブリットの姿が視界から消えていた。

「何、どこへ!」

 ジュノは背後に気配を感じ振り返るとブリットが背中を向けて飛んでいた。

「貴様、何をした。」

「もう終わりましたよ。」

「何!」

 ジュノがブリットに攻撃をしようと身体を動かした瞬間、ジュノの背中の羽がバラバラになった。

 同時にジュノの全身に傷が現れ、そのまま地面へ落下していった。

「ぐわぁー!」

「斬られたことにも気付かなかったようですね。止めは刺しませんよ。どうせ、私の力にすることもできませんしね。」

 ジュノは地面に落ちて気を失った。

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