第61話 カザンおじ様にゃ
ミーナとアリアは夕食の後、補給隊の自室でくつろいでいた。
コンコン!
ドアがノックされ、アリアが出るとドアの外にダリアが立っていた。
「ミーナ、アリアいるかい。」
「こんばんは、ダリアさん。」
「あんた達、シイナ姫がお呼びだよ。昼間の掃除の時に何かやったのかい。」
「いいえ、年が近いので仲良くなって楽しくお話をさせてもらいました。」
「そうかい、それなら良いけど、こっそり連れてくるように言われたんでね、静かにね。」
シイナ姫の部屋魔での通路で何人かの衛兵とすれ違ったがダリアが一緒だった為か特に声を掛けられることもなかった。
コンコン!
「姫様、ダリアです。二人を連れて着ました。」
「ありがとう、二人は中に入って、ダリアは下がって良いですよ。」
「はい、それじゃあ、失礼します。私は、行くけど二人とも粗相のないようにするんだよ。」
ダリアが立ち去ったのを確認して、ミーナとアリアはシイナ姫の部屋のドアを開け、中に入った。
部屋にはシイナ姫ともう1人の人物が待っていた。
「ほう、シイナの言ったとおり、ミーナ姫ではないか。」
部屋で待っていたのは、シイナ姫の父親であるミシワール王カザンであった。
ミーナとアリアは一瞬、驚いたが直ぐに片ひざを突いて頭を下げた。
「これはミシワール王。ご無沙汰しております。ミーナにございます。」
「まあ、公式の場ではないので堅苦しい言葉は必要ない。昔の様にカザンおじ様と呼んでおくれ。」
「ありがとうございます。カザンおじさま。」
もともと、ローマシアのマリウス王とミシワールのカザン王は若い頃から仲が良かった。
お互いに家族が出来たあとも家族ぐるみで付き合いをする程であった。
幼い頃からミーナはカザン王のことをカザンおじ様と呼んで懐いていた。
「ミーナ大変だったね。話は、シイナから聞いたよ。私もマリウスがミシワールに戦争を仕掛けてくるとは、どうしても信じられなかったのだよ。」
「カザンおじ様、私の言うことを信じてくださるのですね。」
「当たり前だよ。それに特務隊に配属された冒険者の3人はミーナの仲間だね。」
「え、あの3人、特務隊に配属されたんですか。」
「あの3人は諜報には向かないね。目立ちすぎるんだよ。でも、強い味方は、大歓迎だ。3人にも、今度、きちんと会うとするよ。」
「目立つなって、あれ程、言ったのに、あの3馬鹿トリオは…。」
アリアはあきれてため息をついていた。
「ハハハハッ、ミーナ、喜んで協力させてもらうよ。マリウスとエレナを助けだそう。」
ミーナはミシワール王カザンから協力してもらう約束をとりつけた。