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第59話 ミシワール軍に志願するにゃ

 俺達は王宮前に造られた志願兵の受付所の建物に来ていた。

 ミーナも元気になり、冒険者風の防具を身につけ、弓を持っている。

 そして顔には変装の定番、メガネをかけていた。

 ミーナは何もできないお姫さまではない。

 幼い頃から剣に弓、乗馬と生きる方法は叩き込まれていた。

 そうでなければ、山越えしてミシワールまでこられる訳がなかった。

 ミシワール軍への入隊は実に簡単だった。

 申し込み用紙にサインするだけだ。

 俺とシデン、ブリットは歩兵隊に、フィーネは弓隊に配置された。

 アリアとミーナは補給隊だ。

 エリスはミーナに付いている。

「とりあえず、ミシワール軍に溶け込んで状況をみよう。エリス、何かあったら連絡頼むぞ。」

 俺達はそれぞれの部隊の兵舎に案内された。

 兵舎には冒険者風の者から狩人、農民と様々な人が集まっていた。

「こりゃ、大丈夫なのかにゃ。」

 そこに甲冑を身に着けたツルツル頭の体格の良い真っ黒に日に焼けた男がやって来た。

「集合、皆聞いてくれ。俺がこの歩兵隊を率いるビリーだ。この部隊は、戦いの経験者から初心者まで幅広くいる。この部隊を精鋭部隊にすることは今からでは時間がない。だから、初心者は、常に3人一組で戦ってもらう。その為、各人の腕試しをさせてもらう。」

「力を試すのか、面白い。」

 シデンは既にやる気満々で眼を輝かせている。

「それでどうやって腕試しするのにゃ?」

「我々正規兵が相手をするので表に出てくれ。」

「何だ、相手は兵隊さんか。」

「それでは私から行きましょう。御主人様マイマスター。」

「手を抜いてやれにゃ。」

「分かっております。」

 兵舎の表に出ると数人の体格の良い兵隊が待っていた。

「何だ、最初は、色男からか。」

 兵隊の中で一番体格の良い男がブリットの前に進み出て来た。

「それではスミス、相手をしてやってくれ。」

「それでは行くぞ。」

 スミスは剣抜いて構える。

「いつでもどうぞ。」

「なんだ、武器はつかわんのか?」

「必要ありません。」

「何だと、馬鹿にするのか!」

 スミスは怒りに顔を真っ赤にして剣を降り下ろした。

ガシッ!

 ブリットは無造作にスミスの剣を掴むとヒョイと取り上げた。

「これでよろしいですか。」

「何だと。」

 唖然として立ち尽くすスミスにブリットは剣を返すと来人の横に戻った。

「お疲れにゃ、ブリット。」

「何てことありません。御主人様マイマスター。」

「じゃあ、次は俺が行こう。」

 シデンが前に出る。

「俺の相手は誰だい。」

「何やっているんだ、スミス。次はこの俺トーマスが相手をしよう。」

 トーマスは細身で長身の兵隊だった。

 トーマスの武器は槍であった。

「俺を力だけのスミスと一緒にするなよ。」

 トーマスは、鋭い突きをシデンに向かって放った。

「まあまあの突きだ。」

 シデンは体捌きだけでトーマスの突きをかわせすと呟いた。

「まあまあだと、これでどうだ!」

 トーマスは先程より数段速い突きを放った。

カチン!

 シデンは槍を剣で捌きつつ、間合いを詰め、トーマスの喉に切っ先を当てていた。

「ま、参った。」

 シデンは剣を鞘に納めた。

 兵達は言葉も出ずに唖然としている。

「今度は俺の順番にゃ。」

 俺が前に出た瞬間、兵達が安堵した空気が流れた。

「今度はにゃんこか!こいつは、マックス様が相手をしよう。俺は、スミスやトーマスのようにはいかないぜ。」

 明らかに俺をブリットやシデンより格下と見ているマックスの態度にちょっとイラついた。

 マックスは剣を抜こうと腰に手をやる。

 しかし、鞘に剣がない。

「これを探しているなのかにゃ?」

 俺は一瞬、電光石火ライトニングを発動しマックスの剣を抜き取ったのだ。

「い、いつの間に。」

「返すにゃ。」

 俺はわざわざマックスの鞘に剣をさしてやった。

「もういい、お前達は、特務部隊に移ってもらう。俺の部隊では、手にはおえん。」

 ビリーは、半ば悲鳴の様に言った。

 こうして、俺達は一時間ももたずに歩兵隊から特務部隊に転属となった。

「ちょっと、やり過ぎたかにゃ!」

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