第53話 キング|一つ目鬼(サイクロプス)と戦うにゃ
「誰モイナイノカ?」
キング一つ目鬼は手下を倒されたことを悟って怒りに震えた。
「オ前タチノ仕業カ?」
キング一つ目鬼は斧を振り回しながら襲いかかってきた。
背丈が10メートル程の巨体はその動きの一つ一つが一撃必殺の攻撃と同じである。
しかもその動きは、巨体らしからぬ早さであった。
フィーネがキング一つ目鬼に向け矢を放った。
しかし、キング一つ目鬼が斧を振ると矢は当たることなくそれていった。
「あの斧、マジックアイテムよ。風の加護があるわ。」
キング一つ目鬼が斧を振る度、ホールの中を台風並みの突風が吹き荒れる。
ボッ!
俺の全身の毛が逆立ち、白く発光する。
俺はすかさず雷神化して突風に耐えた。
ハイザールが突風をものともせず突進し、斧を振りかざすとキング一つ目鬼に斬りかかった。
ガン!
キング一つ目鬼はハイザールの一撃を斧で受けとめるとハイザールを蹴り飛ばした。
ハイザールの巨体が吹き飛びホールの壁叩き付けられる。
キング一つ目鬼は、ハイザールに止めを刺すべく前進した。
そこにブリットが飛び込みキング一つ目鬼に手刀の連撃を浴びせる。
「たかだか、大きいだけの一つ目鬼ごとき私の敵ではありません。」
5体の一つ目鬼を取り込んだブリットはかなりのパワーアップを遂げていた。
その攻撃はキング 一つ目鬼に負けない程のパワーであった。
しかし強力なブリットの攻撃はマジックアイテムである斧が作り出す空気の障壁により相手の身体に届いてはいなかった。
『ゲヘヘッ』
キング一つ目鬼は、下品に笑い、左腕を無造作に降り下ろした。
ガシッ!
ブリットはその一撃を腕を交差させて受けとめた。
その衝撃で足がくるぶしまで地面に沈む。
キング一つ目鬼の一撃も協力であったがその一撃を受けとめるブリットもまた凄まじい力を持っていた。
そこに背後からシデンとデュークがキング一つ目鬼に斬り付けた。
グギャー!
倒すまではいかないがシデンとデュークの攻撃はマジックアイテムである斧の魔法障壁の防御を受けずにキング一つ目鬼に通用した。
しかし、続け様に放った第二撃目の攻撃は魔法障壁に防がれてしまった。
「あいつが認識している攻撃は魔法障壁で防がれるぞ。連携して攻撃するんだ。」
魔法障壁の発動条件に気づいたシデンが叫んだ。
「了解だにゃ。ブリット連携にゃ!」
「イエス、御主人様。」
俺とブリットは高速で動き回り、交互にキング一つ目鬼を攻撃した。常にどちらかが相手の死角から攻撃を放った。
更にシデンとデュークがその連携に加わり、徐々にダメージを与えていった。
キング一つ目鬼は怒りに眼を血走らせ、叫び声をあげた。