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第50話 ミドラス山脈の魔物にゃ

 ミドラス山脈越えは俺たちにとって過酷な旅となっていた。

 ミドラス山脈の山々は標高はそれ程高くないが人の通りが無い為、道という道がなく、獣道を通るか草木をかき分け、時折、魔物も群れの襲撃を受けながら進むしかなかったのだ。

 お姫様であるミーナも文句一つ言わずにもくもくと歩いている。

「もうやぶばかりなんですけど。」

 唯一、文句ばかり言っているのが全く歩く必要の無いエリスだった。

「お前、飛んでるか人の肩に掴まっているだけなんだからいいじゃないか。」

「この山、何か気持ち悪いだもん。」

 そんなやり取りをしながら進んでいると不意にやぶが途切れ、山頂までが見通せる草原に出た。

 これから上はやぶではなく草原と岩場が続くようだ。

 尾根に沿って道らしきものも見える。

「尾根に沿って行けば歩きやすいが身を隠すところもないから気を付けろよ。」

 シデンが俺達に注意を促した。

 尾根に沿って進んで行くと道の先に山小屋らしき建物が見えてきた。

「とりあえず、あの山小屋で休ませてもらいましょう。」

 山に入ってからは野宿が続いていたので屋根があるだけで助かる。

 しかし、いくら歩いてもなかなか山小屋が近づかない。

「おかしいにゃ、あんなに近くに見えるのになかなか近づかないにゃ?」

 それでも、どんどん歩いて行くと山小屋が大きくなってきた。

「って、大き過ぎるじゃにゃいか!」

 何と山小屋は人間サイズで言えば倍はあるビッグサイズであった。

「デックスの言っていた一つ目鬼サイクロプスの住みかじゃないか。」

 デュークが山小屋の中を伺いながら呟いた。

「私が覗いて来ようか?」

 こんな時、頼りになるのが身体の小さなエリスだ。

「エリス、無理だけはするなよ。」

「りょうかーい!」

 エリスは、地面すれすれを山小屋に向かって飛んでいった。

 背丈が15センチメートル程のエリスにとって人間用の更に倍程の大きさの山小屋は山のように大きかった。

 逆にそれだけ大きいことからエリスが入り込むすき間は幾らでもあった。

 エリスは、とりあえず窓から中を伺った。

 山小屋の中には大きなテーブル、椅子、ベットがあり、暖炉に火が燃え、鍋がかけられていた。

 しかし、人の気配は無かった。

 エリスは窓の縁の小さな隙間に身体を押し込むと山小屋の中に入り込んだ。

「誰もいないみたいだね。鍋をかけているから直ぐに帰って来るのかな、とりあえず皆の所に戻りますか。」

 エリスは入り込んだ隙間から外に出ると皆の所に飛んでいった。

 岩陰に潜んでいる皆の姿が見えてきた。

「あれ、何か人数が多いような…?」

 一人だけ来人達のずっと後ろにいる。

 身体が大きいため一緒にいるように錯覚して見えるのだ。背丈が来人達の倍はある巨人が近づいてくるが来人達はまだ気付いていない。

「来人、後ろに!」

 山小屋に向かったエリスがこちらに戻って来るのが小さく見えた。

 何か叫んでいるようだかよく聞こえ無い。

「エリスが何か叫んでいるみたいだにゃ。」

「…来人…うしろ。」

 やっと聞こえたエリスの声に俺達は一斉に振り返った。

 そこには、背丈3メートルはある一つ目鬼サイクロプスが立っていた。

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