第45話 訳あり魔法書にゃ
俺と町での買い物を終え、宿に戻ると早速、道具屋で買った訳ありの魔法書を取り出した。
確かに何か強い魔法力を感じるが呪いと言われれば、そんな気もするプレッシャーを感じる。
でも、この間の戦いでは、たまたまブリットに助けられたが俺の力は全くあのジュノという女魔人に通用しなかった。
俺がパワーアップするためにこの怪しい訳あり魔法書ですら頼りたくなっていたのだ。
「何、何、何、その魔法書どうしたの?」
エリスが早速、俺の持つ魔法書に気付きまとわり着いてきた。
「これから、こいつを使って魔法を習得するのにゃ。」
「何の魔法なの。見たことも無い文字ね。」
フィーネが魔法書を手に表紙に書かれた文字を確認したが読むことは出来なかった。
「とりあえず、試してみるにゃ。」
俺は、魔法書に手を置くと魔力を込めた。
「えーと、資格の無い者は死んじゃうこともあるのでご注意下さいって、古代精霊語で書いてあるよ。」
「えっ、エリス、そういうことは試す前に言うにゃ!」
「テヘッ!」
いきなり、魔法書に魔力が吸いとられていく。
火の魔法を覚えた時は、本から魔力が流れてきたが今回は逆に魔力を吸いとられているのだ。
しかも魔法書から手が離れない。
「ヤバイ、魔力を吸いとられるにゃ!」
「来人、手を放して!」
「離れないにゃ!」
唐突に魔力が吸いとられるのが止まった。
俺の魔力はほぼ吸いとられてしまった。
しかし、まだ、手は離れない。
突然、魔法書からバリバリと電気が走り、その電気の光が魔神の姿となった。
『我は雷神!力を望む者は命をかけて我が試練を受けてもらう。汝は力を望むか?』
こいつの試練を受けてクリアすれば力が得られるって訳だね。
「もちろん、イエスにゃ。」
俺が答えると同時に俺は激しい電撃を受けて気を失った。
気が付くと俺は、真っ白な何も無い空間にいた。
何も無いって言うの少し違った。
俺の目の前にはリアルな肉体を持った雷神が立っていた。
『我に力を示せ、そして認めさせてみよ。』
雷神は激しく放電しながら俺に攻撃を放ってきた。
「結局、お前を倒せば良いわけにゃ。」
俺は剣を抜くと雷神に突進した。
雷神は左右の掌から次から次に電撃を放って来る。
俺は紙一重でかわしつつ間合いを詰めると剣を降り下ろした。
しかし、そこには雷神の姿は無く俺は空振りをしていた。そして、背後から声がした。
『電光石火、我の速さは稲光!』
雷神は俺を蹴り飛ばした。
バリバリ!
全身を電撃が貫く凄まじい衝撃に俺は吹き飛ばされた。
『我の攻撃は稲妻!汝の力はその程度か?』
俺は飛び起きると雷神に斬りかかった。
にゃ、にゃ、にゃ!
俺の動きも雷神の動きに引き上げられるように速くなっていく。
雷神の攻撃も徐々に見えてきている。
パリパリ!
雷神の攻撃を受ける度に俺の身体に電気が帯び毛が逆立っていた。
そして、その瞬間は突然訪れた。
パチン!
俺の中で何かが弾けた。
「スパーキング!」
俺の全身の毛が逆立ち、電気を帯び、白く発光していた。




