第42話 変装してみるにゃ
ミシワールへの旅を一緒にする仲間は俺、シデン、フィーネ、エリス、デューク、アリア、ミーナ、ブリットの8人と大所帯となっていた。
当然、俺達のことはローマシアでは手配されているだろう。
俺達はそのための対策を検討していた。
「当然、街道は避けて通るとしても、問題はうちのパーティ、物凄く目立つ人がいるのね。」
「来人、ブリット、ミーナだな。」
「そうね、美形男子のネコ耳は、かなり目立つのよね。」
「私のこれですか?」
ブリットは何気に頭のネコ耳を寝かすと器用に髪の毛で隠した。
「おーっ!」
「次はいっそ女装でもする。」
軽い冗談のつもりでフィーネが言った。
「成る程、女性になればいいのですね。」
そう言うとブリットの身体はスルスルっと縮みスタイル抜群の美女へと変わった。
「おーっ!」
歓声が上がった。
「更にこういうこともできます。」
ブリットの身体は更に小さくなり、かわいい女の子に変わった。
「私には年や性別はありませんからね。服も私の魔力で形作ってますので形は自由です。しかし、戦闘向きなのは、最初の体型が一番ですね。」
ブリットは大人の女性形態になった。
服は黒の身体にフィットした短めのスカート丈のビジネススーツだった。
「そうなると、後は来人だね。」
「俺は耳を隠してもムダにゃ。女装も嫌にゃよ。」
「そうね、とりあえず、鎧に色でも塗ってイメチェンしてみる?」
「色を塗るのにゃ。俺の白銀の鎧が…じゃあ、赤。シャ○専用みたいにするにゃ!」
とりあえず赤く塗ってシャ○専用のモビ○スーツの様になって俺は満足していたが逆に目立つと却下されてしまった。
代案としてつばの大きい帽子に全身が隠れるマントを着ることとなった。
見た目は銀河を走る鉄道で旅をする少年って感じだ。
「私は冒険者風のお洋服を着るのは初めてですが似合ってますか?」
「うっ、かわいい。冒険者にしては、可愛い過ぎるにゃ。」
「ぶー!」
何故かアリアが膨れていた。
ミーナは冒険者風の服装を着ても可愛いらしい上、何となく上品さが浮き出て、違和感がある。
結局、魔法使い風のローブを着てフードで顔を隠すことになった。
男女の人数構成も変わり、服装も変えたのでとりあえずこれで大丈夫だろう。
俺達はリーンからミシワールへ向けて少々危険だが整備された街道を東に進んでいた。
旅慣れていないミーナを連れているため馬車を利用するしか無かったのだ。
今のところは追手の姿はない。
時折、遠くにミシワールとの前線へ向かうローマシア軍の隊列を見かけることもあったが気付かれることはなかった。
「追手の気配が全くないのも心配ですね。」
「フィーネは心配症だね。」
「エリスが楽観的過ぎるのです。」
「まあ、諜報部に近衛騎士団が来てますから手配だけは間違いなくされているのでしょう。」
「今はまだ前線まで手配が届いていないだけかもしれないしな。」
「とりあえず、この先の砦の関所を越えることね。」
俺達の目の前に街道を塞ぐように石造りの砦が築かれていた。
俺達の変装の成果が試す機会がやって来た。