第40話 戦いの後にゃ
俺達はジュノのいなくなったホールで残った魔力と手持ちのポーションを全部使って体力を回復した。
「ブリットって言ったわよね。私はエリス、あなた、サイノ村のゴブリンキングなの?」
「正確には違います。私は魔結晶の結晶体を核にして、御主人様の魔力によって生み出されました。私にその当時の記憶はございませんし、ゴブリンキング他、何体の魔結晶が融合しておりますので既に全く別物と言えますね。」
「そうなんだ。でも、魔物の結晶体から更に魔物が生まれるなんて話は聞いたことないもんね。」
「それは、私にも分かりかねます。御主人様は特別な存在なので奇跡が起きたのでしょう。」
「しかし、あなたそれだけ強いのに来人のこと御主人様って、よく従ってるわね。」
「何を言います。私など、御主人様の真の力の前では虫けらの様なものでございます。」
「まあ、とにかく助かったわ。これからもよろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
喋る気力があったのはエリスとブリットだけで俺を含め他のメンバーは疲れ果ててそれどころではなかった。
抜け道の帰り道は一度通った道であるので今度はトラップにはまるようなへまはしなかった。
抜け道を抜け外に出た俺たちは出入口を大岩で封印しやっと一息ついた。
「宿屋や諜報部は、既に手が回っていると考えて間違いないだろう。」
デュークの言葉に皆が同意した。
「でも、これからどうするにゃ?この国では、ミーナも俺達も間違いなくお尋ね者にゃ。」
「そうなると、とりあえず、国外に出るしかないわね。」
「ローマシアと戦争状態にあるミシワールは問題外として、北のダリス国か西のドワーフの国マージェルになるわね。」
「しかし、相手は魔人だったってことは、北のモーリス島から来ているって考えられないか。そうなると北のダリス国は既に魔人の影響下ってこともある。」
「シデンにしては珍しくまともな意見ね。」
「エリス、茶化すところじゃないわよ。」
「逆に戦争状態にあるミシワールに向かうことで相手の裏をかけないかにゃ。」
「そうだな、ドワーフの国に向かっても何もつてが無い状態では心もとないからな。ミシワールを抜けてその先のフェシリア王国か魔法国マジリアに援助を求めるのが良いかもしれないな。」
「魔法国マジリアでしたら、私も何度かお父様といっしょに行った事がありますわ。女王様ともお会いしましたの。」
「姫様が言うのでしたら、ミシワールを抜けた後、魔法国マジリアに向かい援助を求めましょう。」
「まあ、魔法国マジリアは元々、目的地だから多少コースが変わっても結果はいっしょだしな。」
「そうだにゃ、とりあえず、ミシワールへ出発にゃ!」
こうして、俺たちは一向はミシワール経由で魔法国マジリアに向かうこととなった。
「ところで、デューク、アリアのことはどうするの。」
「あいつのことだからむざむざ捕まったりはしていないと思うのだが。」
「私、行ってつれてこようか。私なら小さいから見つからないと思うし。」
「それは、助かる。頼む、エリス。」
「了解、戦いじゃ、直接役に立たないから、ここは私の見せ場だね。じゃあ、ちょっと行って来るよ。」
エリスはそう言うと町の方に向かって飛んでいった。




