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第38話 抜け道の死闘2

 魔人ジュノは額に生えている一本の角以外は人と変わらない姿をしていた。

 ドーラの妖艶な美しさとは違い、ジュノは全身が鍛え上げられた筋肉に覆われ野生の豹の様な美しさがあった。

 武器らしいものは持っておらず、真っ黒なプレートメイルを着ているだけだった。

「さあ、始めましょう。」

 ジュノは構えをとるわけでもなく、ただ、その場に佇んでいるだけだったが、その威圧感は凄まじいものだった。

「エリス、頼むにゃ!」

「来人、任せて。俊足スピードスター!」

 エリスの補助魔法で俺達全員の素早さが上がった。

 フィーネが同時に3本の矢をつがえジュノを射た。

 ジュノはフィーネの矢を虫を払う様に無造作にはたき落とした。

 その一瞬の隙を狙って、俺、シデン、デュークがジュノに斬りかかる。

 ジュノに対し、シデンが正面、俺が右側、デュークが左側からほぼ同時に斬りつけた。

 しかし、ジュノは、その攻撃を両の籠手と右足のすね当ての装甲で容易く受け止め、凪ぎ払う様に蹴りを放ち、俺達3人を吹き飛ばした。

 俺は空中で回転し体制を建て直すとファイアーボールを放った。

 ジュノは俺のファイアーボールを避けようともせず、俺に向かって間合いを詰めた。

 ジュノの右ストレートが迫る。

 俺は両腕をクロスさせて受けた。

ズン!!

 重い衝撃がガードを突き抜けて俺の胸に突き刺さった。

 俺は勢い良く吹き飛ばされホールの壁に叩きつけられた。

 一瞬、鎧を突き抜けた衝撃か肺まで達し呼吸が止まる。

ガハッ!

 吐いた唾に血が混じっていた。

 今度の相手はかなりヤバイ相手だ。まだ、全然、本気を出していない。

 シデンとデュークがジュノを挟む様に斬りつけていった。

 ジュノは右手でシデンの打ち込みを左手デュークの打ち込みを軽々とかわした。

「どうしました、その程度では遊びにもなりませんわよ。」

 その間にエリスが俺の体力を回復してくれていた。

「エリス、ここでもノームのノンちゃんは呼べるのかにゃ!」

「ここなら地面の下だから大丈夫だよ。」

「じゃあ、呼んでくれにゃ。」

「ラジャー。出てこい私の友達、ノームのノンちゃん!」

『ハーイ、エリス!今日は、何の用だい。』

「ノンちゃん、来人の手助けをしてちょうだい。」

「ノンちゃん、この間みたいに相手の足止めしてほしいにゃ!」

『任せてほい!』

 ノンちゃんは地面に潜っていった。

 シデンとデュークはジュノに必死に斬りかかっていったがことごとくかわされていた。

「くそっ、こうスピードが違うと攻撃が当たらん。何か策は無いのか、シデン。」

「有ればしている。」

「もう、手がないのでしたら、そろそろ終わりにしましょうか。」

 ジュノはシデンに向かって間合いを詰めようと踏み込んだ。

 しかし、シデンとの間合いは詰まることは無かった。

 ノームのノンちゃんの作った泥沼に足が沈み込んでいたのだ。

 ジュノの一瞬の隙を逃さずシデンとデュークが斬りかかった。

 しかし、ジュノは2人の斬撃を左右の腕で受け止めた。

「この程度の打ち込み、足を使わずとも避けられますわ。」

 そこに全身に炎をおびた俺が回転しながらジュノにぶつかっていった。

「にゃんこローリングファイアー!」

 ジュノは力任せにシデンとデュークを吹き飛ばすと腕を交差させ、にゃんこローリングファイアーを受けた。

「くっ、この程度。」

 ジュノの強固なガードに阻まれ、あと一歩で攻撃が通らない。

ガッ!

 その時、ジュノの背中にフィーネの放った矢が突き刺さった。

「来人、行けー!」

「うぉー!」

 俺は、更に回転のスピードを上げた。

ガキッ!

 ジュノのガードが破れた。

スバババッ!

「ギャー!」

 遂に俺の剣がジュノを切り裂いた。


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