第37話 抜け道の死闘1
俺達は侵入してきた抜け道の中を走っていた。
シェードの流星爆炎の爆炎とホコリに紛れて玉座の後ろの抜け道から逃げだしたのだ。
ミーナは王と王妃までも魔人の化けていたことに混乱していたのでここまでデュークが担いで逃げていた。
「デューク、降ろして下さい。もう大丈夫です。自分で歩けます。」
「姫様、ご無礼をしました。」
「良いのです。私こそ混乱して。しかし、お父様とお母様は大丈夫なのでしょうか。」
皆はミーナの言葉に答えることができずに黙っていた。
「追手はいないようだな。」
通路が広くなり、ホールとなった場所で俺達は走るのをやめ立ち止まった。
「皆、ついて来ているか?」
シデンが皆の顔を見ながら確認した。
「来人、デューク、フィーネ、エリス、ミーナ、フィーネ…?えっ、フィーネが2人いる!」
「にゃんと、分身!」
「分身の訳ないでしょ、さっきの魔人が私に化けているのよ。」
「本物は私よ。皆、こいつが偽者よ。」
「ミーナ、真実の鏡を使うにゃ。」
「分かったわ、って鏡がないわ!」
「鏡がなければ魔人の正体が暴けないにゃ。エリス、シデン、お前達、フィーネと付き合い長いんだから分からないにゃ?」
「う~ん、いっそのこと両方、ぶった斬ってみるか?」
「どうして、そうなるんかーい!」
片一方のフィーネがすかさず突っ込みを入れた。
「この突っ込みは、こっちが本物だ!」
シデンはいきなり、突っ込みを入れなかった方のフィーネに斬りつけた。
斬りつけられた方のフィーネが人間離れした跳躍で後ろに跳躍してシデンの斬撃をかわした後、魔人は正体を現した。
王妃に化けていた女の魔人である。
「面白い、こんなことで私の変身を見破るとは。」
「流石、シデン。伊達に付き合いが長い訳じゃないにゃん!」
「いや、どちらかにかまをかければボロをだすんじゃないかと思ってね。」
フィーネは自分がシデンに斬り掛かられたら避けられたか考えて冷や汗を流した。
やはりシデンは単なるバトルマニアのど天然だ。
しかし、魔人は笑っていた。
「まあ、変身してついて来たのは単なる戯れ。毎日、王妃の姿で上品に振る舞うのも飽きてきていましたからね。私の名は、ジュノ。さあ、皆さんで私を楽しませて下さい。」
ホールに魔人の殺気が溢れだす。
何でこの世界はこんなにバトルマニアが多いんだ。