第33話 2人のミーナにゃ3
俺はミーナを連れて、諜報部の詰所にデュークを訪ねた。
もちろん、ミーナにはフードを頭に被って貰い、顔が見えないようにして正体を隠していた。
「やあ、デューク!」
「来人。どうしたんですか?つい先日別れたばかりなのに。それで、そちらの女性は?」
「私です。デューク。」
ミーナがフードを取り正体を明かした。
「ミーナ姫!何故こちらに?」
デュークはミーナの顔を見るなり混乱していた。
姫が裏の仕事をする諜報部に来ることは通常、考えられない。
「今、ミーナ姫は城におられるはずでは…。」
「実はその事で相談があるにゃ。偶然、闇ギルドに拐われていたところを助けた女の子がミーナ姫だったにゃ。彼女を城に連れて行ったら、そこには、もう1人のミーナ姫がいたにゃ。城にいるミーナ姫は、偽者にゃ。ドーラという女が化けていて、近衛騎士団長のシェードもその仲間にゃ。」
「直ぐには信じられない話です。ドーラという女が姫と入れ替わっており、しかも、本物の姫は闇ギルドに誘拐され、それに近衛騎士団長のシェード殿がからんでいるなんて。」
「しかし、それが真実なんだにゃ。」
「何を企んでいるかは分からないですが我が国にあだなそうとしているのは間違いないでしょう。」
「良かった、信じてもらえて。」
「当たり前です。今、目の前にミーナ姫がいて、その様におっしゃるなら臣下としてそれが事実です。このデュークが本物の姫と偽者を間違える訳がないじゃないですか。」
「しかし、王様と王妃様が気付かないのはおかしいにゃ。」
「魔法がかけられているのかもしれませんよ。」
「そうなると王様と王妃様を正気にして、ドーラの正体を暴かないとこっちがこっちの姫様が偽者にされるかもしれないにゃ。」
「確かにありえますね。」
「来人、デューク。私はどうしたらよいのでしょう。」
「心配ありません、姫様。ドーラの正体と王様と王妃様を正気にする方法があります。」
「デューク、その方法は?」
「真実の鏡を使うのです。」
俺は何か昔はやったRPGで何かに化けている魔物の正体を暴くのに使ったアイテムにそんなのがあったことを思い出していた。
「それでその真実の鏡は、何処にあるにゃ?何処かの塔とかダンジョンの中にゃのか?」
「いえ、私が持っていますよ。」
ガクッと俺はこけていた。
「もったいぶって言うから、手に入れるのが大変な品かと思ったにゃ。」
「いえ、貴重な品なのは確かですよ。ただ、変装や変身を見破ったりして、警護などに重宝する品物ですので諜報部で管理しているのですよ。」
「それがあれば、お父様やお母様にかけられている魔法も解けるのですね。」
「そうです。かけられた魔法を解く効果もありますので大丈夫でしょう。後はどうやって王様と王妃様のところへ行くかですね。近衛騎士団は敵の可能性もありますし、城には入れませんよ。」
「その点は大丈夫。ミーナが抜け道を知っているらしい。」
「はい、玉座へ通じる抜け道がありますのでそれを利用したら誰にも会わずにお父様とお母様に会えるはずです。」
「それでは、今夜にでも王様と王妃様を助けて、ドーラの正体を暴いてやりましょう。」
「お願いします。デューク。」
「お任せ下さい、姫様。それでは、私は準備をして、宿の方の方に参ります。」
「デュークの手が借りられて助かったにゃん。」
「こちらこそ、いつも我が国のことで来人の手を借りて悪いな。」
「それじゃあ、後で会おうにゃ。」