第32話 2人のミーナにゃ2
城のミーナの部屋にはミーナそっくりな女と騎士風の白い甲冑を身に纏った男、カーテンの陰にエリスがいた。
「シェード、姫を逃がしたらしいね。今朝、城門に姫が来ていたわよ!」
「オーランがしくじったようだ。まあ、ドーラ、お前がここにいる以上、誰も信じまい。本物のお姫様は手の者をやって始末させる。」
「頼んだよ、早いとこ始末しておくれ。」
「やっぱり、こっちが偽物なのね。来人達に知らせないと。」
エリスはそっと窓から抜け出すと空高く飛び立った。
シェードが窓に目をやるのを見てドーラが声をかける。
「どうかしたのかい、シェード。」
「いや、何でもない。」
「大変、大変!」
エリスは窓から宿の部屋に飛び込んだ。
「お城にミーナがもう1人いたわ!」
「私がお城に……」
「ドーラって呼ばれていたから偽者に間違いないけどね。シェードって奴も仲間みたい。」
「シェードですって、そんなはずは…。」
「知ってる奴にゃのか?」
「シェードは近衛騎士団の隊長です。私の兄の様な方です。」
「事情は分からないけど闇ギルドに通じているんじゃないかな。倉庫にいたゴーレム使いは、闇ギルドだしね。」
「そんな……」
「でも正面からお城に行ったら、今度は間違いなく捕まるわね。」
「何か方法を考えなゃいとにゃ。」
「私、城の玉座に通じる抜け道を知っています。直接、お父様とお母様に会えば分かって貰えるはずです。」
「面白い。直接、城に乗り込むのか!」
「ちょっと、乗り込む前にあいつに相談しましょう。」
「あいつを仲間に出来ると心強いな。」
「デュークだにゃ!」