第28話 ゴーレム使い再びにゃ
俺は袋を担いで走り去った男を追って走っていた。
走っている俺の前方の空を何かが俺の方へ飛んで来るのが見えた。
「エリス?ちょっと違う、髪の毛が緑色!」
髪の毛が緑色の羽の生えた小さな女の子、風の精霊シルフィのシーちゃんだった。
『にゃんこせんせーい!』
シーちゃんは俺の頭に飛び降りた。
「誰がにゃんこ先生にゃ!」
『私、シーちゃん。エリスのお使いだよ!あっちの倉庫にいるから案内するね。』
そう言うとシーちゃんは俺を案内して飛び出した。
俺はシーちゃんを追って全速力で走り出した。
「来人、まだかな。シーちゃん、来人を見つけられなかったのかな。」
エリスは天窓から倉庫の中を伺いながら来人を待っていた。
ふと気が付くとオーランの姿が見えない。
突然、背後から声をかけられた。
「誰かと思えば、猫と一緒にいた妖精じゃないか!」
振り返ると後ろにオーランが、立っていた。
「何で私のことが分かったの!」
「お前、馬鹿なのか。見てみろ月明かりでお前の影が壁に映っておるわ。」
見ると倉庫内部の壁に月明かりでエリスの影がハッキリと映し出されていた。
「失敗しちゃった。てへ!」
エリスは可愛い仕草でごまかして逃げようとした。
「甘い、逃すかよ!」
飛んで逃げようとしたエリスをオーランは素早く掴んだ。
「キャー!」
「その手を放すにゃ!」
「誰だ!」
オーランが声のした方を見ると月をバックに回転する猫の姿が見えた瞬間、顔面に蹴りが突き刺さっていた。
オーランは間抜けな悲鳴をあげながら天窓を突き破って倉庫の中に落ちていった。
「エリス、大丈夫にゃ?」
「大丈夫、問題なしよ。」
エリスは笑顔で俺に答えた。
「来人、女の子が縛られているわ。敵は男2人よ。」
「了解にゃ。」
俺は破れた天窓から倉庫の中に飛び降りた。
灯りはすでに消されている。
俺が床に降り立つと女の子を担いでいた男が剣で俺に斬りかかってきた。
暗闇に紛れての攻撃のつもりらしいが俺のにゃんこ目は昼間の様に見えている。
俺は男の剣をかわしつつ懐に飛び込み、顔面に一発、パンチを入れた。
ベキッ
男は派手にテーブルをひっくり返しながら倒れ気を失った。
俺は壁際に縛られ倒れている女の子に気付き駆け寄った。
俺は女の子を抱き起こし縛ってあるロープをほどいた。
「大丈夫にゃ!」
ガラガラッ!!
倉庫の奥に積んであった荷物が派手な音を立てて崩れる。
「猫め、何度も何度もやられてたまるか!」
オーランの声が響き、崩れた荷物の山の中から高さ5メートル程の人形の物体が現れた。
「ハッハッハー!今度は、簡単にはいかんよ。岩改め鉄ゴーレムだ!」
アイアンゴーレムは両腕をあげ吠えた。
ガオーッ!
これもオーランが中に入って動かすタイプのゴーレムのようだ。
「来人、今度は鉄だって。どうするの?」
エリスが無責任に聞いてくる。
「どうするってやるしかないにゃ!」