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第274話 ネビロスのコレクション

 修一はネビロスを前にしてどうしたものかと判断に迷っていた。

 修一には、ネビロスの痩せた身体が自分の厚い筋肉で覆われたがっちりと頑丈な身体とは対照的に枯れ枝の様に脆く簡単に折れてしまうに思えた。

「コレクションだか何だか知らないが女と戦うのは俺の主義に反する。」

 修一はネビロスを相手にせずアスタロトを追おうと大きく跳躍した。

「ヒヒ、逃がさないよ。」

 ネビロスの同時に頭上の空間が歪み、修一の目の前に巨大な物体が壁となって現れた。

 現れたのはトレーラー並みにでかいピエロのマリオネットであった。

「く、何だ!」

 行く手を塞がれた修一がマリオネットとの衝突を避けようとした瞬間、マリオネットの腕が修一に振り下ろされたのである。

ドガン!

 その間抜けな姿に似合わず凶悪な一撃を受け、修一は凄まじい勢いで地面に叩き落された。

ドオン!

 激しい土煙を巻きあがり、修一が叩き付けられた地面には隕石でも落ちたかの様に大きな穴が開いていた。

「もうお終いなのかい?大口を叩いていた割に大したことないね。ヒ、ヒャヒャ!」

 ネビロスは穴の縁まで歩み寄ると中を覗きながら下品な笑い声をあげた。

「大口を叩いた覚えは無いのだが。」

 突然、掛けられた背後からの声にネビロスが振り返ろうとした瞬間、がっちりとした腕にネビロスは両腕を捻じりあげられていた。

 地面に叩き付けられたはずの修一がいつの間にかネビロスの後ろを取っていたのである。

「ヒヒヒ。」

「この状況で笑ってやがる。余裕のつもりか?」

 腕を決められ動けない状態で笑い続けるネビロスに修一はいら立ちの声を上げた。

「ヒヒヒ、あんた甘いよ。」

ドカン!

 マリオネットがネビロスと共に修一を巨大な腕でなぎ払ったのである。

 突然受けた激しい衝撃に、修一は強風に舞う落ち葉の様に吹き飛ばされ地面を転がる。

 修一が頭を振りながら起き上がると視界の隅にネビロスの姿が映った。

 ネビロスは首が真横に折れ曲がり手足の関節があり得ない方向に曲がった状態で転がっていたのである。

「く、俺を道連れにしようとして自分だけくたばったか。」

 マリオネットの一撃は完全に油断していた修一に思いのほか深いダメージを負わせていた。

「ヒヒ、誰がくたばったのかい。」

 その時、ネビロスがカタカタと音を立てながら起き上がってきた。

 両手で真横に折れ曲がって倒れていた頭を起こすとネビロスは大口を開けて笑った。

「ヒヒヒ!」

 その動きは生物と言うより操り人形の動きそのものであった。

「こいつもピエロと一緒のマリオネットか。」

「ヒイヒヒ、さっきコレクションだと言っただろ。この女もそっちのでかいピエロもこの俺様、傀儡子くぐつしネビロス様の操り人形コレクションさ。」

 ネビロスと名乗った女の操り人形の口調が甲高い男の声に変った。



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