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第267話 戦いの後

 ぬらりひょんのセイの頭の中は数ヶ月ぶりに霧が晴れたようにすっきりとしていた。

「ここは?私は一体何を?」

 セイは記憶の糸を解こうとしたが今、自分が置かれている状況を理解することが出来なかった。

「戦いの最中に何を呆けておる。」

ガッ!

 頭上からの紗那王の鋭い蹴りを反射的に受け止めたセイは混乱してた。自分が何故、紗那王から攻撃を受けているのかが分からなかったのである。

「紗那王、何故私を攻撃するのだ?」

「はあっ?ふざけておるのか貴様!お主が仕掛けたいくさではないか。」

「私が仕掛けた?」

「そうだ、人の世を終わらせて妖怪の世界を作るとの言っておったではないか?」

 それは今のセイにとって全く記憶にないことであった。ぬらりひょんは人の家や宴席にこっそり紛れ込んで食事や酒を飲み食いするだけで人を襲うこともない極めて穏健派の妖怪である。そのぬらりひょんのセイが人の世を終わらせては好きなただ酒も飲めなくなってしまう。それではぬらりひょんという存在事態を否定してしまうことになってしまうである。

「私がそんな大それたことを……分からない。」

「今さらとぼけても遅いわ!」

ガコン!

紗那王は手にした錫杖でセイを力一杯打ち付けた。

先程まで霞の様にすり抜けていた紗那王の攻撃が嘘の様にセイの頭に命中した。

「ぐぬっ!」

セイはそのまま仰向けに倒れれ白目をむいて気を失った。

「なんじゃ急に腑抜けになりおったわい。」


俺と紗那王と晴明、そして紗那王配下の妖怪達に囲まれて、ぬらりひょんのセイ、天邪鬼のジンとカルアの3人は紐で縛り上げられていた。有名な妖怪が着ているチャンチャンコと同じく霊力を持つ特殊な糸を編み上げて作った紐だから簡単には切れない。

「セイよ。これだけのことをしておいて覚えていないとはどういうことだ。」

紗那王は眉を吊り上げてセイをにらみつけた。

「うえぇーん。このおじちゃん怖いよ!」

「うえぇーん!」

ジンが声をあげて泣く。つられてカルアまで泣き出す。二人とも見た目も小学生低学年程度に幼くなった様にも見える。

「その子らを苛めるな!」

セイが二人を庇うように言った。

「苛めるなだと?お前、ふざけているのか!大体、まだ誰も何も言ってないだろう!」

からす天狗の翔が声を荒げる。

「それでぬらりひょんよ、何か言い訳があるのか。」

「言い訳も何も私もこの子達も今回の事は覚えておらんのだ。メフィストと名乗る男が現れて手土産だと渡された酒を一緒に飲んだ後、気が付いたら紗那王殿に打ち付けられておった。」

「嘘を言ってもわかるのだぞ。さとりは居るか?」

「ここに。」

紗那王に呼ばれて前に出てきたのはサングラスを掛けたハゲ頭の老人だった。

「おう、さとりかどうだぬらりひょんは本当のことを言っておるか?」

さとりは相手の心を読む力を持つ妖怪である。

「嘘は言っておらん全て真実を語っておるようじゃな。」

「そうか、お主が言うのなら間違いないのであろう。」

「メフィストの奴なら人を操って悪さをするのもありうるにゃ。」

「知っているのか?」

「ここじゃない異世界でやりあった事があるのにゃ。」

「ぬらりひょんよ。操られていたとしても今回の騒動の責任はお主にあるぞ。」

「分かっている。」

「それではお前達の身柄は晴明に任せるとしよう。良いな晴明?」

「任せてくれ。」

「後はメフィストという奴だな。」

ドン!

その時、俺たちの頭上に小さな竜巻が出現した。そして、その中に突然人影が現れた。

「来人殿!」

現れたのは忍び装束の小さな男の子だった。

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