第258話 脱出
第5にゃんこはコニャコを背負って入ってきた口まで来ていた。
『皆の犠牲は無駄にしないのにゃ!』
しかし口が固く閉じられて通り抜けることが出来ないでいた。
『くそ、ここは通れないにゃ。』
『だがら逃がさんと言っただろう。』
振り返った5番にゃんこの前に立ち塞がったのはダークニャーダーであった。
『お前は1番にゃんこ達が倒したんじゃにゃかったんじゃ。』
しかしダークニャーダーは全身を焦してはいたがダメージを全く受けていなかった。
『まさかあんなことをしてくるとは思わなかったが無駄だったようだな。コニャコを返して貰おうか。そいつをここから出すわけにはいかないのだよ。』
ダークニャーダーは剣を抜くとゆっくりと5番にゃんこに向かって近づいて行った。
『皆の犠牲が無駄だって!ふざけるにゃ。』
『そう、無駄、無駄、無駄、無駄、無駄なのだよ!この身体は私自身でもある。私が開けなければ口は開かぬのだよ。』
ゴゴゴ!
その時、閉ざされていた口がゆっくりと開かれていった。
『何故だ?何故勝手に口がは開くのだ。』
『今だ、5番にゃんこ。この隙にコニャコを連れて外にでるのにゃ。』
『その声は分隊長!分隊長どこにいるのにゃ?』
5番にゃんこの横に光の粒子が集まりミニにゃんこ分隊長の姿を形造った。
『他のにゃんこが鼻を塞いで口を開けさせたにゃ。でも実体を失っている俺達の力はすぐに尽きるにゃ。急いで外に出るのにゃ!』
『でもコニャコが意識を取り戻さないのにゃ。』
『それは俺がやるのにゃ。』
『分隊長!』
『行くのにゃ。時間が無いのにゃ。』
『分かったのにゃ。』
5番にゃんこはコニャコを背負って口から外に飛び出した。
ミニにゃんこ分隊長は光の粒子となるとコニャコの鼻の穴から体内に入っていった。
ふぇくしっ!
くしゃみをしてコニャコは目を開けた。
同時に黒騎士にゃんこの口から5番にゃんことコニャコが飛び出していた。
ボンッ!
コニャコは元の大きさに戻っていた。
「風邪ひいたのにゃん?」
コニャコは鼻をすすって辺りを見回した。
「コニャコ!無事にゃのか?」
俺の声にコニャコはあくびをしながら答えた。
「良く寝たにゃん。でも何かだるいのにゃん。」
5番にゃんこは任務を終えて俺の身体に戻っていた。
しかし5番にゃんこ以外の5人のミニにゃんこは帰らず、俺の身体の五つの毛穴が閉ざされ小さなハゲとなった。