第244話 コニャコの失踪
零課から家に帰りついたのは明け方になっていた。
俺はベットに倒れこんだ。
「すっかり遅くなったな。」
「そうですね。もうすぐ家の方々も起きてこられる時間ですね。御主人様。」
「今日は大学の講義も無いし少し寝る。昼食前に起こしてくれよ。」
「分かりました。御主人様。」
「ところでコニャコの姿が見えないな。」
「猫の集会ではないでしょうか。時々、明け方まで出ていることがありますから。」
「そうか……」
俺はそのまま眠りに落ちていった。
「御主人様、起きて下さい。」
「うーん、もう昼食の時間か?」
「それも有りますがコニャコが戻りません。」
「どっか遊びまわっているんじゃないか。」
「いえ、彼はどんなに遊んでいても食事の時間だけはどんなことがあっても帰ってくるのですが昨日の夕食の時間も今朝の朝食も昼食の時間になっても戻っていないのです。
「そいつはおかしいな。」
「私もそう思って気配を探知しようとしたのですがコニャコの魔力が感じられないのです。」
「そういえばコニャコとのつながりを感じられないな。後で探しに行くか。」
その日からコニャコは姿を消してしまった。
「来人、行方不明の猫を捜すのが俺達零課の仕事じゃないんだけどな。」
「そう言わずに捜してくれよ。」
「まあ、お前にはこれから色々世話になるかもしれんからな。手配しておくから情報が入ったら連絡する。」
「輝夜課長、晴明さん。新宿に化物出現との110番通報が多数入っています。着ぐるみの黒い化け猫とか黒いにゃんこ騎士だとかが暴れているとのことです。現在、所轄が対応していますが手に負えないようです。」
110番モニターを見ていた間宮鈴が見ながら冷静に言った。
「晴明、所轄の応援に行きなさい。」
「仕方が無いな。」
「俺も行く。」
「私も御主人様と一緒に行きます。」
「付いてきても良いが今日はバイト代は無いぞ。」
「にゃんこ騎士ってとこが気になるんだ。晴明さん連れて行ってくれ。」
「しょうがない。婆さん来人達を連れて行くぜ。」
「婆さんじゃない。課長と呼べ。」
パカン!
輝夜が晴明を狙って投げたハイヒールが晴明閉めた事務室のドアに当たって落ちた。
「来人、気を付けて行きなさい。嫌な予感がします。」
「分かってますよ。無理はしません。」
俺は後ろを見ずに手を振って晴明の後を追って部屋を出た。
駐車場に行くと晴明は真新しい車に乗って待っていた。
「早く乗れ、急ぐぞ。」
「これってフェラーリじゃないですか。」
「来人、分かるか。V8エンジンを搭載フェラーり430スクーデリアだ。造るの苦労したんだぜ。」
「造るって?プラモデルみたいに……」
「こいつは俺が造った式神だ。前の奴は天邪鬼に壊されたからな。」
「式神って、しかもこれ2人乗りじゃ。」
「だから式神って言ってるだろ。内装は婆さんの指示で4人乗りにしておいた。」
「もう無茶苦茶ですね。」
「妖怪相手にしてるのに常識でやってられるか。これでいいんだ。」
「性能は運転者の妖力に比例するがな。乗ったか行くぞ。」
ブオン、ガロロロロロ!
晴明の自信作のフェラーり430スクーデリアは凄まじい勢いで飛び出していった。