第241話 アンドロギュヌス
最高輪入道は朧車のリンに似た頭を持ち身体は華奢な女性的な姿に変貌していた。
大きさも半分ほどに小さくなっていた。
「がっははは!力が溢れてくるようだ。」
「こいつ、何か女装したオヤジみたいで気持ち悪いにゃ。」
最高輪入道は女性的な姿になったにもかかわらず野太いオヤジの様な声で話すのである。
「御主人様。どうも私も生理的に受け付けないようです。」
「俺もあまり相手にしたくないにゃ。でも我慢してやっつけるにゃ。」
「この俺をやっつけるだと。」
「お前は喋るにゃ!気持ち悪くて力が抜けるにゃ!」
「き、気持ち悪いだと!」
最高改め中性的輪入道は顔を歪ませた。
「黙れと言っているだろうが、御主人様が!」
バキッ!
その瞬間、ブリットが飛び込んで中性的輪入道に回し蹴りを叩き込んだ。
「ブリットの奴、容赦ないのにゃ。」
中性的輪入道は派手に吹き飛ばされたかの様に見えた。
しかし、中性的輪入道はまるで羽根のようにフワリと地面に降り立った。
「まさかあれは己の身体を羽毛と化してあらゆる打撃を無効とする消力にゃのか?」
「いえ、手応えは確かにありました。消力ではないと思います。」
中性的輪入道の身体を見るとブリットが蹴りを入れた箇所にタイヤの模様が浮かび上がっていた。
「タイヤにゃ?」
「俺に打撃は効かない。」
中性的輪入道はブリットの蹴りを身体の部位をタイヤに変えて受けたのである。
「それならば、これはどうだ!」
ブリットは手にした槍で中性的輪入道を突いた。
ガキン!
金属音が響き、ブリットの槍は中性的輪入道に刺さることはなく弾かれた。
今度は身体の部位を金属に変えて弾いたのである。
「金属ならこれでどうにゃ。雷撃波!」
俺は雷の様な電撃を中性的輪入道に放った。
バシッ!
しかし、中性的輪入道は雷撃波の直撃を喰らって全く平気の顔をしている。
「自動車に雷が落ちても表面を電流が流れるだけで車内は安全って話を聞いたことないのか。つまり、俺に電気は効かないのだ。」
「そうだったにゃ。こいつあんな格好していても元々トラックだったにゃ。それならば、こいつならどうにゃ。火炎嵐!」
炎の渦が中性的輪入道を包み込む。
「何だ。俺の身体の金属は強度が増しているんだ。この程度の炎で俺の身体を溶かすことは出来んぞ。」
「溶かすつもりはないにゃ。外側が平気でも身体の中はどうなるかにゃ!」
べコン!
中性的輪入道の身体が音を立てて膨らでいく。
「何が起きたんだ。」
「お前の燃料タンクのガソリンが高熱で気体になって体積が増したのにゃ。外に漏れた時点で引火してボン。終わりだにゃ。」
「し、しまった。やめろ、やめてくれ。」




