第240話 吸収
大型トラックが元の最高輪入道は俺を敵と認識し、巨大な腕を振り回して攻撃をしかけてきた。
「ブリット。こいつを先にやっつけてしまうにゃ。」
「了解、御主人様!」
俺とブリットはそれぞれ刀と槍を構えた。
「ちょっと、あなた達どうするつもり?」
朧車のリンは既にロードレーサーの格好から燃える車輪に足を乗せたセーラー服姿に戻っていた。
「あのでかいのを倒すにゃ!」
「倒すって?あいつのパワーは私も敵わない程多いわよ。」
「問題有りません。御主人様は今までもっと強い敵を倒してきたのですから。」
「あなた達、一体何者なの?」
「俺は最強のゆるきゃらのにゃんこ騎士にゃ!」
俺はそう叫ぶと最高輪入道のパンチを捌くと同時に踏み込み、刀で右足首を斬りさいた。
ザン!
最高輪入道が足を斬られバランスを崩した所にブリットが飛び込んだ。
「私は御主人様の第1の配下戦う執事ブリットです。」
ブリットは槍を最高輪入道の頭部に突き立てた。
ドシュッ!
最高輪入道は頭部を粉砕され仰向けに倒れた。
「ナイスにゃ!」
俺とブリットは互いの右の拳同士を合わせた。
「あの輪入道をあっという間に……私が勝てないわけね。」
朧車のリンは俺とブリットの攻撃を見て、自分との実力の差を感じていた。
ブーン!
『システムチェック。頭部破損、右足首損傷、損傷率72%。継続しての戦闘可能も敵戦力大。』
ガチャガチャ!
「キャー!」
最高輪入道が突然起き上がると残った腕を伸ばし朧車のリンを捕まえたのである。
「離せ!」
「頭を潰しても動いてるにゃ。」
『適合種と確認。戦力補強の為の吸収可能。』
バクッ!
最高輪入道の胸が大きく縦に口を開き一瞬にして朧車のリンを体内に取り込んだ。
「リンが飲み込みやがったにゃ。」
メキメキ!
激しく音を立てて最高輪入道の身体がその形態を変えていく。
トラックが変形したロボットの無骨な金属の身体が滑らかに変貌していった。
粉砕された頭部と足首が再生されていく。
何と再生された頭部は朧車のリンそのものであった。
「これは計算外な変貌だ。嬉しい誤算だよ。」
最高輪入道は朧車のリンを吸収することにより妖力をあげていた。
妖力が上がっただけでなく知性も同じく向上させていた。
「御主人様、さっきまでの奴と全くの別物になっています。」
「ほう、分かるのか?」
「いや、もう見た目からしてもぜんぜん違うから分かるにゃ。」