第24話 村から出発したにゃ
ミーシャは自分の部屋のベットで目覚めた。
ピンクシャツのうざいバンパイアに襲われてからずっと眠っていたのだ。
目を覚ましたミーシャは変わり果てた自分の部屋に絶句し更に強烈なにんにく臭に気分が悪くなっていた。
「大丈夫か、ミーシャ?」
村長のバジルは俺たちからバンパイアを退治したとの連絡を聞いて娘の部屋に向かったのだ。
しかし、バジルは強烈なにんにく臭が充満した部屋から娘を連れ出すだけでやっとだった。
娘の部屋からにんにく臭が消えたのは大量の消臭剤を使っても一ヶ月かかったそうだ。
「とにかく、娘を助けていただき、ありがとうございました。」
「まあ、娘さんも助かって私たちも報酬をもらってお互い万事良しってことで。」
フィーネは俺がミーシャの部屋をにんにく部屋にしたことには触れず話をまとめた。
そして、俺たちはそそくさと村長の屋敷を後にし村を出発した。
後で聞いたのだがこっちの世界のバンパイアはにんにくも十字架効かないし太陽の下でも灰になったりしないそうだ。
俺の思い込みでにんにく部屋を作ってしまったが忘れることにしよう。
リーンに向けて馬車は進んでいた。
俺は指定席である馬車の屋根で懐から魔物の結晶体を入れた袋を取り出した。
バンパイアのピンクの結晶体も入れたので3つの結晶体が入っているはずなのに袋の外からの手触りがおかしい。
俺は袋をひっくり返し結晶体を掌に出してみた。
ゴロン
野球ボールほどの赤黒くピンクの水玉の入った結晶体が出てきた。
「何だにゃ、これは?」
「どうしたの、来人?」
馬車の中から出てきたエリスが俺の肩につかまり声を掛けてきた。
「これ、魔物の結晶体じゃない。」
「そうだにゃ。ゴブリンキングと赤草狼それにバンパイアの結晶体を袋に入れていたら一つになってたにゃ。」
「めずらしいこともあるもんね。」
「大丈夫かにゃ?」
「うーん。リーンについたら詳しい人探して聞くといいかも。」
「そうだにゃ。」