第239話 最高の輪入道
「早くにげるのにゃ!」
「ひーっ!」
警察官達とトラックの運転手は転がるようにパトカーに乗って逃げ出した。
俺は受け止めたトラックを置くと腰の刀の柄を抜き天邪鬼のジンを睨み付けた。
「トラック何か投げたりして、どういうつもりにゃ。あの人達を殺すつもりにゃのか?」
「人間がどうなろうと僕には関係ないけどどうせ君が助けるんじゃないかと思ってね。」
「間に合わなかったどうするにゃ。こいつ危ないやつにゃ。」
「失礼な僕にだって少しは遠慮しているさ。そうじゃ無かったら今ごろ手当たり次第気持ちよく壊して回ってるよ。」
「じゃあさっきのは何だったにゃ。」
「」
「あいつらがちょっと邪魔だったんで追い払っただけさ。」
しかし相手が天邪鬼だけにどこまで本当のことなのか分かったものじゃない。
「まあ僕としては今は朧車の付喪神をもっと狂暴に育てるつもりだったんけどね。何か変な方向に育ちゃったからもういらないや。」
天邪鬼のジンは懐から妖樹の種を取り出した。
「何にゃ、その種は?」
「教えてやるよ。これは妖樹の種さ。これをこうやって色んなものに埋め込むと妖怪になる。簡単に言うと妖怪の素ってことだ。」
そう言って天邪鬼のジンは先程自分が投げたトラックに近づくと妖樹の種をトラックに植え込んだ。
バキバキバキ!
トラックが派手な音を立てて変形していく。
「変形、最高輪入道!」
トラックが巨大な人型に変形した。
まるで胸に車輪つきのおっさん顔がの付いている巨大ロボットだ。
「どうだい、元が自転車の朧車とはパワーが違うぞ!やれ、奴等をやっつけてしまえ、最高輪入道!」
「敵認識、攻撃する!」
最高輪入道はその巨大な拳を振り上げると降り下ろした。
ドカーン!
何と最高輪入道が攻撃したのは天邪鬼だった。
ぎりぎりのところで天邪鬼は最高の攻撃を横に飛んで避けた。
「お前、敵!さっきオレを投げた!」
「そうだった!忘れていた。」
天邪鬼がおどけてみせた。
連続して最高輪入道は連続して拳を叩き付けてくる。
「制御が出来無いのが課題だね。自我が出来るのは構わないけど歯向かうのは困るな。」
しかし、天邪鬼の表情は困った様には見えない。
「あいつら仲間割れしてるにゃ。」
気が付くと天邪鬼が避けながら俺達の側に来ていた。
「それじゃあ、後はよろしく!」
天邪鬼は俺にそう言うと足元のの影にまるで水にでも沈むように消えた。
「消えたにゃ。」
その時、最高輪入道は俺の正面に位置していた。
「敵消失。敵再認識、攻撃する!」
最高輪入道は目標を俺に変えて攻撃してきた。
「あいつ、俺達にこいつを押し付けて逃げたにゃ!」