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第238話 勝負の行方

「にゃにゃにゃにゃ!」

 俺は朧車のリンの横に並んだ。

「ゴールまでもう少しにゃ。絶対俺が勝つにゃ!」

「勝つのは私だ!」

 視界にゴールの展望台の駐車場の入口が入った。

「俺が勝つんだにゃー!」

 俺は一気にスピードを上げて朧車のリンを引き離しゴールである展望台の駐車場に飛び込んだ。

「俺の勝ちにゃ!」

ドガン!

「にゃー!」

 俺は何かにぶつかってはね飛ばされた。

 何と俺がぶつかったのは駐車場で休憩をしていた大型トラックだったのだ。

 トラックは急停車し運転手が運転席から慌てて降りてきた。

「何か当たって来たぞ。」

 トラックのバンパーはベッコリへこんでいる。

「ひー、何が当たったんだ。」

 俺はぶつかった勢いで飛ばされトラックの周囲には何もない。

 だがトラックの前部には綺麗ににゃんこ騎士の型が取れていた。

 運転手は激しく動揺しながらも警察に通報しはじめた。

「ちっ、つまらない邪魔が入ったわ。」

 朧車のリンは舌打ちし、トラックを避けてゴールである駐車場の入口に入った。

 そこに慌てて戻って来た俺と遅れて来たブリットが合流した。

御主人様マイマスター、結果はどうでした?」

「くそ、俺の負けにゃ。」

「えーっ、それでは我々はあいつの手下に……」

「いえ、この勝負は私の負けよ。」

「でも俺はゴール寸前でトラックにぶつかってしまったにゃ?」

「えぇ、でもトップは残念なことにあなたなのよね。ほら!」

 朧車のリンが駐車場の中を指差した。

 そこには俺が背負っていた自転車のハンドルが落ちていた。

「そうかトラックにぶつかった時にハンドルが飛んでゴールしていたのにゃ!」

「そう言うことね。」

「でも黙っていたら分からなかったのにゃ。あんた何で正直に話したのにゃ。」

「ふん、あんたどうせ本気を出してなかったでしょ。負けよ負け、完敗よ。だから約束通り復讐は止めてあげるわ。それにもっと楽しそうなこと見付けたから。」

「話の最中にわるいけど勝手なことは止めてくれ無いかな。君らが仲良しになるなんて計画ないんだよね。」

 突然、声を掛けられ俺達は声のした方を振り返った。

 そこには天邪鬼あまのじゃくが立っていた。

御主人様マイマスター!あいつは晴明はるあきさんの車を壊して私達の追跡を妨害した奴です。」

「お前、何者にゃ?」

「バーカ!聞かれて正直に教える訳ないだろ!」

「じゃあ、聞かないにゃ。」

「おいおい、もっと聞きたがれよ。聞きたいだろ。」

「いや、特に興味ないにゃ。」

「そうかそんなに知りたいなら教えてやる。俺は天邪鬼あまのじゃくのジン。」

天邪鬼あまのじゃくにゃ。」

 なるほど、天邪鬼あまのじゃく位は俺でも知っている。

 性格が曲がっていて人と真逆をする妖怪だ。

 つまり教えてくれと言えば教えないが知りたくないと言えば教えたがる性格さえ知っていれば分かりやすい奴だ。

 その時、パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。

「パトカーがやって来るにゃ。トラックの運転手が通報したにゃ!」

御主人様マイマスターどうします。あまり人目につくのは不味いのでは?」

「そうだにゃ。」

 深夜の山の展望台に着ぐるみの猫と羽の生えたイケメン、真っ赤なロードレーサーの女の子に中学生位の少年という組み合わせは違和感が大きかった。

 そうしているうちにパトカーが展望台の駐車場に到着してしまった。

「お巡りさーん!ここです。」

 トラックの運転手がパトカーに駆け寄って行く。

 パトカーから二人の警察官が降りてきてトラックの運転手と話をしている。

 その時、一人の警察官が俺達の存在に気付いてしまった。

「何だい君たちは?」

 20代半ばのガッシリした体格の警察官が俺達に近づいて来た。

「うっとうしいな……」

 天邪鬼のジンは小さく呟きトラックに近づいてまるで発泡スチロールで出来ているかのように軽々と頭上に持ち上げた。

 警察官達とトラックの運転手はその光景に口を大きく開けてポカーンと見ているだけだった。

「ボーッとしてないで逃げろにゃ!」

 その瞬間、天邪鬼あまのじゃくのジンがトラックを警察官達に向けて放り投げた。

ガシャン!

 俺は猛スピードで警察官達の前に飛び出し投げ付けられたトラックを受け止めた。


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