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第235話 ロードレース

「自転車は好きなものを選びなさい。ここには何でもあるわよ。まあ、壊れているものもあるけど。」

「良し、俺はこのスポーツタイプにするにゃ。」

「その自転車で足が届くのかしら。」

「失礼にゃそれは問題無いにゃ。」

御主人様マイマスター、私はどの自転車を選べば良いのでしょう。自転車に乗った経験が無いのですが。」

「大丈夫にゃ。ブリットなら何とでもなるにゃ。それじゃあ、あのロードレーサに乗ってみるにゃ。」

 ブリットはロードレーサーにまたがった。

「そうにゃ。ペダルを踏むにゃ。」

「こうですか。」

フラフラ、ガシャン!

 ブリットの乗ったロードレーサーは5メートルも進まないうちにこけた。

「そうだにゃ、やっぱり初めてでロードレーサーは難しいにゃ。次はスポーツ用自転車にゃ」

フラフラ、ガシャン!

「それならママチャリにゃ。」

フラフラ、ガシャン!

「これなら、倒れずに乗れますよ。御主人様マイマスター!」

「いや、それ補助輪付いてるにゃ……」

 結局、ブリットが乗れたのは補助輪の付いた子供用自転車だった。

「うーん、今回のブリットは戦力外だにゃ。」

「どお、使う自転車は決まったの?」

「え、決まったにゃ。その格好は?」

 朧車のリンはセーラー服を真紅のロードレースウェアに変えロードレーサーにまたがっていた。

「やばいにゃ、何か本格的にゃ。」

「自転車が自転車に負ける訳にはいかないから手は抜かない。」

「それでコースはどうするにゃ。」

 朧車のリンは前方に見える山を指差した。

「あの山の頂上に展望台があるわ。そこがゴールよ。」

「分かったにゃ。」

御主人様マイマスター私も準備できました。」

 ブリットがスポーツ車に乗って現れた。

「お前、自転車に乗れにゃいんじゃ。」

「大丈夫です。御主人様マイマスター!」

 ブリットが自信満々で指差したスポーツ自転車には子供用自転車の補助輪が付けられていた。

「まあ、それなら何とかなるにゃ。ってにゃるか!」

 やっぱり、ブリットは今回は戦力外である。

「それじゃこれが落ちたらスタートにゃ!」

 俺は空き缶を拾い上げると上に投げた。

コーン!

「スタートにゃ!」

 俺と朧車のリンは凄まじいスピードで自転車をスタートさせた。

 ブリットはそのずっと後に置いていかれた。

 先頭は朧車のリンのロードレーサーであった。

 俺はその後ろをタイヤが当たるか当たらないかのぎりぎりで走っていた。

「ペダルに足が届かないと思ったら意外と頑張るわね。」

「俺は自転車は得意なんだにゃ!」

 俺のにゃんこ騎士としてと身体能力は朧車のリンの走行にも決して負けていなかった。

 俺達のスピードはまともな自転車の限界を超え既に200キロに達していた。

 郊外のしかも深夜であったことあるが幸運なことに道路に他の車は無かった。

 俺の乗った自転車は車体全体が有り得ない速度で走る負荷にミシミシと悲鳴をあげていた。

「このままじゃ自転車がもたないにゃ!」

「あら、当たり前よ。普通の自転車が耐えられるはずないじゃない。」

「あなたはこの自転車レースを受けた時点で負けが決まっていたのよ。」

 その時、俺の自転車の後輪のタイヤが摩擦熱で燃え上がった。

ガリガリ

 後輪は一気に燃え尽き剥き出しとなったホイールから火花があがる。

 一気に速度の落ちた俺の自転車と朧車のリンの自転車との差はどんどん広がっていった。

「ここまでのようね。自転車で私に勝てるはずないのよ。」

 朧車のリンは勝利を確信した。


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