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第231話 邪魔と邪魔

 俺を乗せた自転車は山の様に並べられた自転車の中に立つセーラー服を着た少女へ向かって進んで行く。

 そして少女の前まで行くと自転車は前輪を高くあげて俺をふるい落とそうとした。

 別に恐怖に震えている訳でもない俺は身軽に地面に降り立った。

「君が噂の自転車泥棒を拉致してる妖怪の正体って訳だね。まあ、俺の役目はここまでなんでね。後は妖怪警察の晴明さんに任せるとするよ。」

 俺はそう言って右手を上げて後ろをつけてきているはずの晴明に合図を送った。

 セーラー服を着た少女は首を傾げながらゆっくりと俺に歩み寄って来た。

「おーい。もったいぶらなくて良いから居るんだろ晴明さん、ブリット。」

 俺は振り返って後ろに居るはずの晴明とブリットに声をかけた。

 しかし2人は現れるどころか声も聞こえてこない。

「違う。」

 正面を向き直した俺の目と少女の冷たい目が合った。

「うわ。顔近すぎだろ。」

ガチャ、ガチガチ!

 廃棄された壊れた自転車達が俺に這い寄って来た。

「俺1人で対応する何て聞いてないよ。」

 俺はそう言いながらも右手を上げると叫んだ。

雷撃波サンダーブレイク!」

ドーン!

 這いよって来ていた廃棄自転車が電撃を浴びて煙を上げる。


 その頃、高速道路上で晴明の車が煙を上げて燃えている。

 燃え上がる車の横で晴明とブリットは天邪鬼と対峙していた。

「おいおい、俺の愛車を何てことしてくれるんだ。」

 燃え上がる車のボンネットには大きな穴が開いている。

 自転車を追跡していたところいきなりボンネットに何かが打ち込まれたのだ。

 停止した車が炎に包まれる前に車から飛び降りた晴明とブリットの前に天邪鬼が姿を現したのである。

「僕の遊びの邪魔をしないで欲しいな。」

「遊び?何を言っている。邪魔をしているのはお前じゃないか。」 

「晴明さん、私は御主人様マイマスターの元に先に行きます。」

「ブリット、行ってくれ。」

 ブリットは翼を広げて飛び立とうとした時、天邪鬼が手にしていた石をブリットに投げつけた。

「邪魔はさせない言っているじゃないか。」

 拳ほどの石が砲弾の様にブリット目掛けて飛んでいく。

ブン!

 ブリットは身を翻して石をかわして地面に降り立った。

 その間に来人の乗った自転車は完全に視界から消えていた。

「簡単に追いかけさせてはくれないようですね。」

 ブリットは天邪鬼に対して身構えた。

「少しは時間を稼がせてもらうよ。だけど僕自身が直接に戦うのも面倒なんで。」

つもりは無いんだよね。」

 天邪鬼はそう言うと手にしていた石に妖樹の種をねじ込んだ。

ボコボコ!

 妖樹の種をねじ込まれた石はボコボコと音を立てて膨らむと同時に周囲の地面の石や岩、道路のアスファルトを身体が取り込み10メートルほどの大きさの巨人となった。

「じゃあ、後はこいつが相手をしてくれますんでよろしく。」

 天邪鬼の身体は足元の影に吸い込まれるように消えていった。

「ちっ、あいつ逃げやがった。ブリット!俺がそのでか物の相手をする。来人を追ってくれ。」

「分かりました。」

 ブリットは飛び上がると俺が乗った自転車が走り去った方角へ向かった。

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