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第23話 バンパイアと戦うにゃ

 部屋の中は強烈なにんにくの臭いが充満していた。

「村長、冒険者を雇ったか!」

 バンパイアはそう叫ぶと部屋の外に飛び出した。

「逃がすか。」

 皆が我先に強烈なにんにくの臭いが充満した部屋から飛び出した。

「ふーっ、死ぬかと思った。」

「もう、臭いがついちゃう。」

 皆、口々に文句を言っている。

 俺は「分かってるから、もう言わないで」と心の中で叫んでいた。

「誰が逃げるものですか。部屋の中で暴れてマイハニーに傷でもついたら大変じゃない。」

 俺たち全員が「とにかく、このバンパイア、うざい。」と思っていた。

「とにかく、こいつ、早くやっつけるにゃ!」

「まかせて!」

 フィーネがバンパイアめがけて矢を放った。

 しかし、バンパイアは矢を軽く手で掴み取ってしまった。

「こいつ、うざいけど、高位のバンパイアみたいよ。」

 ついにアリアが皆が思っていたことを言葉にした。

「うざいって僕のことかい。誰がうざいってこのブサイク。」

 バンパイアは激怒しアリアに飛び掛った。

「人の妹をブサイクだと。」

 同時にデュークがバンパイアの言葉に激怒しバンパイアに斬りかかった。

 バンパイアの爪が長く伸びデュークの剣を受ける。

「ブサイクをブサイクって言って何が悪いのよ。」

 バンパイアは剣を受けると同時にデュークのあごに蹴りを放った。

 デュークは紙一重でその蹴りを交わすがわずかにかすり頬に血がにじむ。

「くっ、うざいが強い。」

「だから、誰がうざいのよ!」

 バンパイアは凄まじい勢いでデュークに詰め寄ると低い姿勢から爪を突き上げた。

ガキーン

 俺はデュークとバンパイアの間に飛び込むとバンパイアの爪を斬り落とした。

 更に俺は袈裟斬りにバンパイアに斬りつけた。

 バンパイアは身軽く俺の剣を後転してかわした。

「流石にこの人数を1人で相手をするのは辛いですね。」

 すると人程の大きさのコウモリの大群が空から襲いかかってきた。

「バンパイアにはやっぱりコウモリなんだにゃ。」

 フィーネが上空のコウモリに矢を射るが当たる寸前でヒラリとかわす。

 やはり、こちらの世界のコウモリも超音波で周囲を認識しているのだろうが性能が良いみたいだ。

「離れた奴は狙っても当たらないぞ。近づいてきたところを狙うんだ!」

「分かってるわよ、試しただけ!」

 コウモリはまさに特攻の様に次から次に突っ込んでくる。

 シデン、デューク、フィーネ、アリアは、コウモリの攻撃に動きが取れなくなってしまった。

「これでゆっくり相手ができるわね。猫ちゃん!」

「俺は猫じゃないにゃ!」

 俺はバンパイアに斬りかかった。

 俺の剣をバンパイアは両手の爪で受けていく。

 浅い打ち込みは入るものの不老種アンデッドの上位種であるバンパイアの致命傷にはならず、斬ったそばから回復していく。

「軽い、軽い。」

 俺の体格自体が小さいこともあるがバンパイアが強いのも確かである。

 ゴブリンキングと比べても比較にならない程の強敵だ。

 それにバンパイアの『うざさ』がこっちのリズムを崩させている。

 俺は軽さをカバーする為に炎を剣にまとわせるファイヤーソードを使った。

 まとった炎により剣のリーチも長くなり次第にバンパイアに剣が届きだした。

 更に炎で焼かれることにより、傷の回復も遅くなっている。

「こいつ猫の癖にやるわね。格好が悪いから嫌いなんだけど、仕方がないわね。変身!」

ボン

 バンパイアは5メートルはある巨大なピンク色のコウモリに変身した。

 コウモリの姿が自体が気持ち悪いのにピンク色のその姿は気持ち悪さが倍増である。

 その巨体とスピードを生かして、上空からパワフルに突撃してくる。

 俺の小さな身体ではその攻撃を受け止めることは出来ず必死で避けるだけだった。 

俊足スピードスター!」

 俺の身体が光り輝きスピードが増す。

 先程までコウモリから必死で逃げていたエリスが俺に補助魔法をかけたのだ。

 見るとシデン、デューク、フィーネ、アリアの活躍によりコウモリの姿は激減していた。

「これなら、いけるにゃ!」

 その時、バンパイアが頭上から急降下して来た。

 俺はその攻撃をすばやくかわすと一瞬で空中に大きくジャンプした。 

 全身に炎をまとい、身体を大きく縦に回転させた。

 俺は燃え盛る円盤となって凄まじい勢いでバンパイアに突撃した。

「にゃんこローリングファイアー!」

 在り来たりのネーミングだが俺は叫んでいた。

「危ない。」

 バンパイアは、空中で身をひねり俺の攻撃をかわそうとする。

 俺は尻尾を舵の様に使い空中で方向を変えるとバンパイアに激突した。

ズバッ!

 俺の攻撃はバンパイアの胴体に直撃し真っ二つにした。

「そんな、馬鹿な!」

 バンパイアは黒い霧となって消え、その場にピンク色の結晶体が残された。

「よっしゃ、やったにゃ。」

 俺は目を回しふらふらになっていた。

『この技は、強力だが目を回してしまうのが欠点だな、まあ、慣れかもしれないが。』そう思いながら俺はピンク色の結晶体を拾った。

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