第217話 戦いの後にゃ
取り合えずモーリス島の戦いは終結した。
城の外の魔人や魔物たちも黒龍王アスラが倒れると同時に散り散りになって逃げていった。
「フェリシア様、アメイシアに騙されていたとはいえ、私がした事の重大さは分かっています。どんな重い処罰も受ける覚悟は出来ております。」
女神フェリシアを神と崇める神聖国フェリシアの女王グミライトライムは結果として女神フェリシアを裏切ってしまった。
グミライトライムは誰より高い信仰心を持つが故に自分自身の愚かさが許せなかった。
「あなたのしたことは許されることではありません。でもその発端は私の一部であったアメイシアの行ったこと、つまり私がしたこととおなじなのです。グミライトライム、私と共に迷惑をかけた人々に償っていきましょう。」
「フェリシア様。」
グミライトライムは差し出されたフェリシアの手にすがって泣いた。
「元はと言えばフェリシアの責任ってことね。」
「エリス、本当のこととは言えもっと言い方があるにゃ!」
「そうだにゃん、フェリシアが悪いにゃん。」
「すみません。」
フェリシアの謝罪に皆が吹き出して笑った。
そんなに面白いことでは無いのであるが戦いが終わり、緊張の解けた皆は兎に角笑いたかった。
シトロンの率いる神聖国フェリシアと周辺国との戦争は、闇の女神アメイシアと黒龍王アスラの率いるモーリス軍の後ろ楯を失った上、女王であるグミライトライムが敗けを宣言したことにより勢いを失ったフェリシア軍の敗北となった。
首謀者であったシトロンは姿をくらまし、現在に至っても逃走中である。
神聖国フェリシアが周辺国に賠償金を支払うことで一段落となった。
女神フェリシアは神聖国フェリシアの神殿を居としていた。
フェリシアはアメイシアと融合したことにより本来の力を取り戻し実体として存在していた。
フェリシアの前には俺と修一と理沙が立っていた。
「さて、随分時間をかけてしまいましたがあなた方を元の世界に戻す準備が整いました。」
「やっと、家に帰れるのね。」
理沙が喜びのあまり涙ぐんでいる。
俺もやっとにゃんこから人間に戻れるのだ。
しかし、修一の表情はくもっていた。
「どうしたにゃ?嬉しくにゃいのか、修一。」
「いや、そんなことは無い嬉しいよ。」
「それでは出発は3日後としますので準備をしておいて下さいね。」