第215話 真にゃんこ騎士にゃ
ゴゴゴゴゴ!
その時、俺達は激しい怒りの波動に気付いた。
「お前達、絶対に許さんぞ。」
凄まじい形相で黒龍王アスラが俺達をにらんでいた。
「やばいにゃ、黒龍王アスラを忘れていた。でも丁度良かったにゃ。フェリシア、黒龍王アスラをやっつけてくれにゃ。」
「私がですか?それは無理です。私は戦闘タイプじゃありませんから。」
「それじゃあ、どうするにゃ?」
「来人、あなた達が倒すのです。」
「無理にゃ。融合合体出来ないにゃん。」
「それは、あなた達の心が一つになっていなかったからです。」
「そんなつもりは無いにゃ。」
「心を一つにして完璧な融合合体していれば、私達が吸収されていた状態での黒龍王アスラですら倒せたはずです。」
「そんなこと言っても分からないにゃ。」
「まだ分からないのですか。ブリットもコニャコも元々あなた自身なのですよ。」
「俺自身にゃ?」
「そうです。フェリシアとアメイシアの様に元々一つなのです。」
「気取り屋のナルシストのブリットが俺自身?怖がりの癖に目立ちたがりのコニャコが俺自身?」
「来人、ぐずぐずしていたらやばいにゃん!」
「御主人様!」
「言われてみればブリットとコニャコの性格は俺が内に隠していた自分自身の性格の一つじゃにゃいか。そう言うことか。自分自身が3人でチームなんだから心は一つにゃんだ。ブリット、コニャコ、合体にゃ!」
「了解、御主人様!」
「待ってましたにゃん!」
「完璧融合合体にゃ!」
俺、ブリット、コニャコは飛び上がり一つに重なった。
いつも以上に光輝き、その場に立っていたのはにゃんこ騎士1人であった。
「真にゃんこ騎士参上!」
身体に纏った銀の鎧は黄金に変わり、手にする武御雷も柄の装飾が派手に変化していた。
「何が完璧融合合体だ。ただ鎧の色が変って派手になっただけではないか。」
黒龍王アスラが剣を振りかぶると魔力を込めて斬りつけた。
連続して打ち込まれる黒龍王アスラの剣を真にゃんこ騎士は冷静に捌く。
キィン!
高い金属音と共に黒龍王アスラの剣が宙を舞い床に転がった。
「アスラ、力の差は歴然にゃ。もうあきらめて止めるにゃ。」
真にゃんこ騎士は黒龍王アスラの首に切っ先を突きつけ言った。
「俺は負けぬ。」
黒龍王アスラは俺の剣を左腕で払うと渾身の力を込めた拳を叩き付けて来た。
ガシ!
真にゃんこ騎士は黒龍王アスラの拳を左腕で受け止めた。
「無駄なことは止めて降参するにゃ。」
「俺に後退はない。あるのは前進勝利のみ。」
ギ、ギギギ!
「何、力が増していくにゃ!」
バキ!
受け止めたはずの黒龍王アスラの剣は次第に力を増していき真にゃんこ騎士のガードを突き破り顔面を捉えた。
黒龍王アスラの全身が赤黒く変わり、熱を発しだした。
「来人!黒龍王アスラは力を増す為に命を燃やして魔力を暴走させています。このままだといずれ大爆発を起こしてしまうでしょう。」
「フェリシア、それは本当にゃのか?」
「推測に過ぎませんが間違いないでしょう。」
「うそだろ!アスラ、無茶は止めるにゃ。」
「このアスラ、天に帰るに人の手は借りぬ!」
「いや、そういう問題じゃないにゃ。」