第205話 透明人間にゃ
エリスはコニャシアを拐った龍人を追いかけていた。
階段を登りきり、広い廊下に出た所でエリスはコニャシアを抱えた龍人が突き当たりの大扉を開けて中に消えるのを見た。
「あの部屋ね。」
エリスは慎重に大扉に近付いて扉の隙間から中の様子を伺おうとした。
「覗きとはいけねえな。」
声を掛けられエリスは身構えるが周囲には誰の姿も見えない。
次の瞬間、エリスは何者かの手に身体を掴まれていた。
しかし、相手の姿が見えない。
エリスは見えない手に捕まえられていた。
力の限りもがくもエリスの小さな身体ではたかが知れていた。
「無駄なことは止めて諦めちまいな。俺の超能力は破れないぜ。」
「く、仕方がない。白銀の戦乙女、重装甲バルキリー!」
バン!
エリスの身体が一瞬で膨れ上がった。
「ギャッ!」
悲鳴をあげて姿を現したのはカメレオンの様な姿をした龍人だった。
「何だ超能力じゃない。」
「くそー、ばれちまったか。しかし、急にでかくなるかな。だが姿の見えない俺の攻撃を避けられるかな。」
カメレオン龍人は一瞬で姿を消した。
「ははは、俺の位置が分かるか?」
「声で大体の位置はばればれよ。」
「はたしてそうかな。声では俺の位置は分からんよ。」
カメレオン龍人の声が前後左右、あちこちから同時に聞こえてくる。
「どうなっているの?」
ガコン!
エリスの後頭部が殴られた。
「その程度の攻撃は鎧でダメージはないわ。」
「それならば、これはどうかな。」
更に激しい打撃があちらこちらからエリスを襲った。
エリスは衝撃を受けた方に剣を振るうがカメレオン龍人には当たらない。
「それならば、キャストオフ!」
エリスの鎧が周囲に放たれた。
バキバキバキ!
エリスの鎧の砲弾がカメレオン龍人に炸裂する。
ドサドサドサ!
なんと鎧の砲弾を受け倒れたカメレオン龍人は3人だった。
「何だ、そんな仕掛けだったの。それじゃあ、止めね。」
ズバズバズバ!
エリスは一瞬で3人のカメレオン龍人を斬りふせた。
そこに来人とブリットが追い付いてきた。
「エリス、大丈夫にゃ?」
「こんなの雑魚よ、雑魚!」
「コニャシアは?」
「コニャシアはこの扉の向こうよ。」
「よし、皆、行くにゃ!」
俺達は扉を開けて中に入っていった。