第204話 後を追いかけるにゃ
龍人達は階段の前に陣取り、俺達がコニャシアを拐った奴を追いかけるのを妨害しようとしていた。
後ろでは最初に現れた龍人とブリットが戦いを続けている。
「私が追いかけるわ!連中の気を引いて。」
「頼むにゃ、エリス!」
「雷炎撃波!」
俺の指先から炎を帯びた雷撃が2体の龍人に放たれた。
バリバリバリバリ!
一瞬、2体の龍人の動きが止まった。
「今にゃエリス!」
一瞬の隙にエリスは2体の龍人の間をすり抜けた。
そのままエリスはコニャシアを拐った龍人を追って階段を登って行った。
雷炎撃波でも2体の龍人の動きを止められたのは数秒に過ぎなかった。
再び、身体の自由を取り戻した2体の龍人は俺に向かって襲いかかってきた。
龍人達は後を追ったのが小さな妖精のエリスであったことから問題にしなかったのだ。
「さっさと片付けて後を追わせてもらうにゃ!」
俺は近い方の龍人に電光石火で間合いを詰め、その勢いで剣をみぞおち辺りに突き立てた。
ドス!
しかし、龍人の皮膚は固く剣は切っ先が刺さっただけで貫けなかった。
「ゲヘッ」
龍人が笑い声をあげると剣を両手で掴んだ。
そこにもう1体の龍人が爪を剣の様に伸ばし俺に斬りつけてきた。
ギィーン!
俺はブリットの真似をして、左手からレーザーソードの様な剣を出し龍人の爪を受け止めた。
「雷炎撃波!」
俺は同時にもう1体の龍人に刺さった切っ先を通して雷炎撃波を放った。
「グギャー!」
「いくら固いったって身体の中からなら通用したにゃ!」
雷炎撃波を体内に受けた龍人が炎に包まれ崩れ落ちた。
俺はまだ雷炎撃波の電撃と炎の帯びた剣で爪を受け止めた龍人を斬りつけた。
龍人は爪の剣で受けようとしたが、電撃と炎を帯びた剣は爪ごと龍人の身体を斬り裂いた。
「グギャー!」
もう1体の龍人も炎に包まれ崩れ落ちた。
「ブリットはどうしたにゃ?」
俺がブリットの方を見た時、ブリットが龍人の口にレーザーソードの様な剣を突き立てたところだった。
「流石、御主人様。私が1体倒す間に2体も片付けてしまうとは。」
「お世辞は後にゃ、急いで後を追うにゃ!」
「了解です、御主人様。」
俺達は急いで階段を駆け上がった。