第201話 アリア対おっさんにゃ
アリアが戦っていたのは頭がライオン、身体が山羊、尻尾が蛇のキマイラだった。
ただ少し普通のキマイラと違うのはライオンの頭がえらく人間のおっさんの様な顔だったことだった。
頭の部分のたてがみがバーコード状になっているなど手の込んだ造りになっていた。
「何で私の相手がこんなの?」
アリアは動物は好きだがおっさんキマイラのような気持ち悪い系までは含まれていなかった。
グルルッ
おっさんキマイラはうなり声をあげながら近付いてくる。
「ちょっと、近付かないでよ!うわ、気持ち悪い。」
ピクッ
おっさんキマイラが怒りの表情を浮かべる。
『ちょっと待ちな、姐さん。気持ち悪いとか言うたら傷付くやないか。わし、ナイーブなんや。』
「あ、言葉分かるんだ。だって本当のことなんだもの。」
『本当のことでも言うたら傷付くことは言ったらあかん。それが人としての道理や無いか。』
「敵のしかもおっさんキマイラに道理だ何かとか言われる筋合いは無いわ。」
『敵の味方のとか関係ないんや。例えば、わしがあんたのこと足やウエストが太いだの言ったら…』
アリアはおっさんキマイラに最後まで言わさず飛び掛かっていた。
「その鬱陶しい口から塞いであげるわ!」
おっさんキマイラは飛び退きながら言った。
『何や、えらい短気な姐さんや?自分のことやとすぐに沸騰するんやな。』
「うるさいわね。」
アリアはおっさんキマイラに突きと蹴りの連撃を放っていく。
おっさんキマイラはおっさんらしからぬ機敏な動きでそれをかわしていく。
『わいはこの辺のキマイラで一番強いんや、なめてもらたったら駄目やで!』
今度はおっさんキマイラがアリアに飛び掛かって行った。
通常のキマイラのライオン頭と違いおっさんキマイラは、人間に近い顔のため顎の形状けら敵に噛みつくことを不得手としていた。
そのため、おっさんキマイラの得意技は山羊の蹄による攻撃だった。
『ほな行くで百裂蹄鉄!』
アタタタタタタタタッ!
蹄による突きが壁よ様にアリアに迫る。
バキッ!
おっさんキマイラの百裂蹄鉄がアリアを吹き飛ばした。
『勝ったな。わいも女の子に手上げるのは好きや無いけど、これも運命や。』
「何格好つけてるのよ。」
『何や、わいの百裂蹄鉄を受けて何で立てるんや?』
「簡単よ、当たる瞬間、後ろに飛んで威力を殺したのよ。」
『何やて!』
「今度は私の番ね。行くわよ。九尾烈斬!」
アリアの九尾の狐の九つの尻尾が刃になっておっさんキマイラを襲う。
『わいも負けへんで、百裂蹄鉄!』
アタタタタタタタタッ!
ズバズバ!
おっさんキマイラのたてがみが全て飛び散る。
『グハッ!見事や、姐さん。あんたのこと忘れへんで!』
バタッ!
「ごめん、私は直ぐに忘れることにするわ。」
アリア対おっさんキマイラ、勝者アリア。