第187話 黒龍王アスラ登場にゃ
「アメイシア、復活は失敗したようだな。」
スカルドラゴンの頭部から降り立ったは黒龍王アスラであった。
「襲いぞ、アスラ。貴様が遅いから、この様な不完全な復活になってしまったでは無いか!」
アメイシアがアスラを怒鳴りつけた。
「やれやれ、俺と復活の失敗には何の関係も無いだろうに……」
「すみません、アメイシア樣。黒龍のやつ骨になって飛ぶのが遅くなっちゃって。」
闇の妖精ティアが言い訳をする。
「あなたが黒龍王アスラですか。アメイシアが黒龍を封じた龍珠に自分の力を交ぜて創造したハイブリットくんは。」
「口の利き方を知らん悪魔だ。」
黒龍王アスラは一瞬でメフィストの前に移動すると手にした剣でメフィストに斬りつけた。
アスラの剣はメフィストを肩口から袈裟懸けに真っ二つにした。
「ぎゃー!やられた……」
メフィストが悲鳴をあげて苦しむ。
「小芝居はいらん。」
「なんて、ばれてたのね。」
斬られた姿のままのメフィストは何のダメージも無い様に笑いながら言った。
「虚像にゃ!」
「アスラくんが近づいてたからね。姿だけの分身を残してここを離れたのさ。」
「小賢しい、道化が!」
「まあ、斬られた分身もそろそろ消えそうだし言っておくよ。私も上司はもっと強いよ。」
そこまで言うとメフィストの姿は霞んで消えた。
「アメイシア、行くぞ!」
「アスラ!主に対する口の利き方であろう。」
「口の利き方など関係なかろう、行かんのか?」
「もうよい、好きにしろ。」
そう言うとアメイシアと黒龍王アスラはスカルドラゴンの頭に飛び乗った。
「黒龍王アスラ、待つにゃ!」
俺は武御雷を構えてアスラを呼び止めた。
黒龍王アスラは振り返り俺を見た。
俺は斬りかかることも声を発することも出来ず、ただ剣を構えることしかできなかった。
「行くよ。黒龍、飛べ!」
スカルドラゴンは頭を屋根の穴から引き抜き抜くと骨だけの羽を羽ばたいて飛び去った。
「すみません、御主人樣。動くことが出来ませんでした。」
「良いにゃ、ブリット。俺も呼び止めて戻ってきたらどうしようかと思ったにゃ。」
「すみません、役に立つどころか足を引っ張ってしまって。」
コニャコフェリシアが申し訳なさそうに頭を下げる。
「そんなことは無いにゃ。フェリシアのおかげで理沙を取り戻せたにゃ。」
「そうよ!フェリシア樣、助けてくれてありがとう。」
「理沙さんを助けられたことは良かったのですがアメイシアは不完全ながら復活してしまいました。あの悪魔にも手も足も出ませんですし……」
「メフィストのことはアメイシアも想定外だったみいたいにゃ。」
「下級悪魔を召喚して使役しているつもりだったのでしょう。メフトに化けていたことは私にも分かりませんでした。」
「ところでこいつらのことはどうするよ。」
突然、話に割って入ったのはミックだった。
ロンが担いでいたのは縛り上げたベルガモットと気絶しているシトロンだった。




