表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/277

第184話 心を一つににゃ

 俺はしばらくぶりにもふもふのにゃんこではなく人の姿に戻ったのだが性別が女になっているのに戸惑っていた。

 このまま、あっちの世界に踏み込んでしまうのだけはごめんだ。

『私は御主人様マイマスターと一緒で幸せですよ。』

『ニャー、女神ダカ何ダカ知ラナイケドイキナリ取リ付イテクルンダモンニャ!』

『皆さん、騒いでいる場合ではないのですよ。』

 どうやら、俺に身体を動かす主導権があるようだが、頭の中ではフェリシア、ブリット、コニャコが好き勝手に会話をしている状態であった。

「とにかく、アメイシアつまり理沙の身体に触ればいいのだにゃ!」

 俺はアメイシアとの距離を詰めようと一歩踏み込んだ。

ドン!

 俺は一瞬でアメイシアの目の前に立っていた。

 そのスピードは電光石火ライトニングを遥かに上回っており、まさに閃光フラッシュであった。

 そして、俺が両手でアメイシアの肩を掴もうと手を出した時、アメイシアから黒い魔力が吹き出し、俺は弾き飛ばされた。

「何をしようとしているのかは知らないが、フェリシアの思い通りにはさせない。」

 吹き出した黒い魔力は漆黒の鎧となり、アメイシア身体を覆った。

『来人、急がないと!アメイシアが理沙の身体と完全に一体となってしまっては、手遅れになります。』

「分かってる!だけど魔力が強くて触ることが出来ないにゃ。」

『仕方ありません。多少、理沙の身体がダメージを負うかもしれませんが力強くで取り押さえるのです。』

「あんた光の女神のくせに結構過激だにゃ。」

『私のことはどうでもいいのです。来人が出来ないのでしたら、私がこの身体を動かしてもいいのですよ。』

「分かったにゃ。あんたに任せたら理沙がボコボコにされそうにゃ。俺がやるにゃ。」

「相談は終わったのかい。」

 アメイシアが先程の俺のように一瞬で俺の前に現れた。

バキッ!

 アメイシアの右の拳が俺の顔面を捉えていた。

ドカーン!

 俺は吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。

「この身体に慣れるために、少し運動に付き合ってもらうよ。」

「今のアメイシアのパンチは、触れたことにはならないんにゃ?」

『アメイシアの抵抗が強すぎます。鎧越しに触ってもだめです。』

「じゃあ、どうするのにゃ!」

 壁にめり込んだ俺に向かってアメイシアが鋭い蹴りを放つ。

 俺は転がるようにして、その蹴りを寸前で避けた。

『直接、肌同士を触れ合わせて下さい。』

「肌同士って、お互い全身鎧を身に着けているんだから、残っているのは顔だけにゃ。」

『じゃあ、顔をくっつければいいでしょ。』

「また、この状態で顔同士をくっつけるなんて無茶を言うにゃ。」

『ぐずぐず言わずにやりなさい!』

『フェリシア、段々キャラガ変ワッテキテイルニャン。』

『アメイシアの方が力もスピードも上の様です。御主人様マイマスター。』

「それは、そうにゃん。昔から理沙に運動で勝ったことは無いにゃん。肉体のスペックが劣っているにゃ。」

『それなら、皆で力を合せるのです。相手はアメイシア1人です。こっちは4人です。4人の心を一つにして肉体をコントロールをすれば、その力は100倍にもなるでしょう。』

「合体ロボを皆で操縦するみたいなものだにゃ!」

『合体ロボとは何ですか?右の蹴りが来ます!』

『マカセルニャ!』

 勝手にコニャコが俺の身体をしゃがませて蹴りを躱した。

『次は私の番です。御主人マイマスター!』

 次にブリットが勝手に右足でアメイシアの足を払った。

 アメイシアはバランスを崩し尻餅をついた。

「何なんだ、お前は?動きが読めん。」

 俺の身体は4人が好き勝手に動かしたい身体の部位を動かすことにより不規則で奇妙な動きをしていた。

 アメイシアはそんな俺の動きを読めずに混乱していた。

「ブリット、勝手に理沙を蹴るにゃ!」

『止めは私が!』

 フェリシアがアメイシアの頭にかかと落としを放った。

「そうは、させないにゃ!」

 俺は俺自身で放っている右足のかかと落としを左足の膝をつき、バランスを崩すことで阻止した。

ドスン!

「うっ!」

 バランスを崩した俺が尻餅をついたのは、転倒したままのアメイシアの腹の上だった。

 しかも、上手いことに俺は、アメイシアに馬乗りになって押さえつけていた。

「くそ、どけ。」

 アメイシアが俺を払いのけようとしてもがく。

『チャーンス!』

 その時、フェリシアが叫ぶと一気に俺の頭を下げさせた。

ゴチン!

 俺の顔面をアメイシアの顔面にぶつけたのだ。

 そして、その拍子にお互いの唇と唇が重なった。

 悲しいことにそれが俺のファーストキスだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ