第182話 女神の復活にゃ
「来人、遅いわよ。」
「エリス、理沙は、どうなったにゃ?」
「ごめん、まだなの。」
「後は、任せるにゃ!」
「うん、頼むわ、時間切れ。」
ポン!
エリスは、一瞬で元の小さな妖精の姿に戻った。
「ロン、ミック、俺があの氷の壁を壊すから理沙を助けてくれにゃ!」
「理沙のことは、任せろ!」
「ブリットは、俺のフォローをしてくれにゃ。」
「了解、御主人様!」
俺達は、氷の壁壁に向かって突っ込んで行った。
「行くにゃ、にゃんこローリングファイヤー!」
ドガーン!
俺のにゃんこローリングファイヤーは、シトロンの氷の壁を粉々に打ち砕いた。
魔法大学で学んだことにより、魔法の力と技の威力も前とは、比較出来ない程に強くなっていたのだ。
「私の氷壁が一撃とは!邪魔は、させん!氷槍!」
俺達を無数の氷の槍が襲う。
「こいつは、私に任せて御主人様、炎竜巻!」
ブリットの炎の竜巻が氷の槍を巻き上げる。
その隙をついて理沙の横たわる祭壇に駆け寄ろうとした、俺とロン、ミックの足下に大量の植物の蔓が生え、俺達を絡めと取ろうと襲いかかっていた。
「もう少し邪魔しないでね!」
祭壇の陰に潜んでいたのは、ベルガモットであった。
俺は、蔓を切り裂き叫んだ。
「ミック、ロン、頼むにゃ!」
しかし、その時、月の光が理沙の全身を照らしていた。
「光の女神の復活よ。」
グミライトライムが満面の笑みを浮かべた。
理沙の身体を青白い光が包み込む。
ロンとミックは、祭壇から理沙を降ろそうと飛び付いた。
しかし、理沙に触ることさえ出来ずに目に見えない力によって弾き返された。
そのまま、理沙の身体が光に包まれ、宙に浮かび上がる。
そして、理沙の目がゆっくりと開かれた。
理沙の黒い瞳は、ルビーの様な赤い瞳に変わっていた。
「理沙?」
理沙は、俺を一瞥しただけで返事もせずゆっくりと床に降りた。
「フェリシア様!」
グミライトライムが理沙の足下にひざまずいた。
コニャコフェリシアがふらつきながら立ち上がり、理沙に向かって言った。
「とうとう、甦ってしまったのね、アメイシア!」
「あら、フェリシア!あなたは、しばらく見ない間ちに、随分みすぼらしい姿になったのですね。」
理沙の口から出た言葉にグミライトライムは、自分の耳を疑った。
「フェリシア様、何を…。」
「グミライトライムかご苦労であった。お陰で三千年ぶりに復活することができたよ。」
「御復活、お喜び申し上げます。アメイシア様。」
シトロンが理沙の前に膝を付くと頭を下げた。
「シトロン、あなたまで何を言っているの?」
「愚かな女王さま!アメイシア様が復活した今、あなたの役目は終わったのですよ。」
「フェリシア様ではなくアメイシアですって!」
「フェリシアによって封印されたアメイシア様を復活させるためには、フェリシアの巫女としてのあなたの力が必要だったのです。その為に邪魔だった前王にいなくなってもらいました。世間知らずの甘ちゃんの女王を操るのは簡単でしたよ。」
「シトロン、あなたがお父様を殺したと言うの?」
「そうですよ。」
グミライトライムは、その場に崩れるように座り込んだ。




