第179話 神殿の罠にゃ
俺達は、キノットに案内させ、理沙がいるという儀式の間に続く階段を登っていた。
「さあ、そのまま、理沙の所まで案内するにゃ。」
「案内するって、このまま階段を登ったら一番上よ。」
その時、キノットは、侵入者に対する罠を発動する隠しボタンに気が付いた。
「来人、さっきは、よくもアフロにしてくれたわね。これであんた達も終わりよ。」
カチッ!
キノットは、壁の一部を押した。
「何をしたにゃ?」
ガチャガチャ!
階段の石段が次々と沈んでスロープを作り出す。
「うわっ、滑り落ちるにゃ!」
俺達は、滑り落ち無い様に足を踏ん張って耐えた。
「ホーホホホッ、いつまで耐えられるかしら!」
キノットが腰に手を当て笑った。
「にゃんて古典的な罠を。」
その時、俺の頭の上にしがみついていたコニャコがキノットに飛び付いた。
「キャッ!」
ズルッ!
キノットは、足を滑らせ俺達と一緒にスロープに腹這いになってしがみついた。
その間にエリスが飛んでキノットが押したボタンを再度押した。
ガチャガチャ!
再び階段の石段が元の位置に戻った。
「危なく、下まで滑り落ちるところだったにゃ。」
「ホホホ、皆、落ちなくて良かったね。」
キノットは、誤魔化そうと笑って言った。
ポカン!
「痛っ!」
「次、変な事したら容赦しないわよ。」
エリスがキノットの頭を蹴りあげた。
ガチャガチャ!
また、何かの装置が動く音が響いた。
「キノット、お前、また何かやったな?」
オルソンがキノット を睨み付けた。
「いや、今度は、知らないよ。」
「ごめん、おいらかも。」
メフトが壁についた手の下にはボタンらしきものが押されていた。
ゴゴゴゴゴッ!
何かが大きな音が階段の上から迫ってくる。
「何近づいてくるわよ。キノット、何なのよ。」
「だから、私、知らないって!」
ゴトン!
階段の踊り場から音の正体が姿を現した。
それは、大きな石の球だった。
「トラップのお約束にゃ!」
ゴトン、ゴゴゴゴゴッ!
階段の幅、ギリギリの大きさの意思の球は、俺達を押し潰そうと転がり落ちて来た。
「逃げろ!」
俺達は、階段一気に駆け下りた。
オスロの蜃気楼も既に効果が無く俺達の姿は、丸見えだった。
「騒々しいぞ、何事だ!」
騒ぎを聞き付けた兵達が俺達の前を塞いだ。
「何だ、お前達は?し、侵入者だ!」
「しまった!見つかったにゃ!」
しかし、兵達も俺達の後ろから転がり落ちて
くる大きな石の球に驚き、俺達の前を逃げ出した。
その時、ソーマが立ち止まり石と向かい合った。
「ソーマ!」
「破砕振!」
ドン!
ソーマの拳が石に触れた瞬間、石が粉々に砕けて砂となった。
「やったにャ、ソーマ!」
しかし、砕けた石の大量の砂が雪崩の様に俺達を押し流した。
「ソーマ、詰めが甘いにゃ!」
「うるさい、押し潰されるよりましだろ!」
砂は、俺達だけでなく兵達も巻き込み、階段を流れ落ちた。