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第172話 もう1組の勝者にゃ

ドスン!

 再び、金属製のボールがかごから落ちてきた。

「よし、残る席は一つにゃ、今度は、俺がゴールするにゃ!」

 俺は、ボールの元へ駆けつけようとした。

 ズブズブ

 俺の足元のがぬかるみ足が抜けなくなった。

 俺と同じようにボールに駆け寄ろうとしたオルソンも同じように動けなくなっている。

「来人、足元はよく見ないとね。」

 キノットが笑いながら言った。

 よく見るとボールを取り囲むように地面が泥沼の様になっている。

「キノットがこんな魔法を使えるなんて聞いてにゃいぞ!」

「当たり前じゃない、教えてないからこんな時に使えるのよ。ベル後は、お願いね。」

「任せて、バイングロウ!」

 ボールの下から巨大な植物のつるが生え、ボールを絡め取るとかごに向かって伸びていった。

「これで、残る席は、私達のものよ!」

「そうは、させるか!」

 ソーマのゴーレムがつるにしがみつき引っ張るがびくともしない。

「ブリット、頼むにゃ!」

 ブリットが飛んで蔓を追うが間に合わず、つるは、ボールと共にかごに飛び込んだ。

「しまった。やられたにゃ。」

 しかし、ゴールの笛が鳴らない。

「何でゴールでしょ?何で笛が鳴らないの?」

 ベルガモットは、困惑して叫んだ。

 ブリットが覗き込むとつるが引っかかってボールがかごからはみ出ていた。

御主人様マイマスター、ボールが引っかかっていますよ。」

「何ですって!」

ギチギチ、バキッ!

 ボールがつるを破って、かごから這い出ようとする。

「ブリット、叩き込むにゃ!」

「了解、御主人様マイマスター!」

ガシッ!

 ブリットは、ボールを上から踏みつけてかごに押し込んだ。

ピ、ピー!

「ず、ずるいよ。来人!」

「良し、ブリット、ナイスリバウンドにゃ!ベル、爪が甘かったにゃ。」

「勝負あった!残りの勝者は、来人、ブリット組に決まりじゃ!」

 俺達は、大した魔法を使った訳でもなく棚ぼたで決勝へと進出を決めた。

「しかし、良いのかにゃ?俺達、魔法って言うより体力戦だったにゃ。」

「まあ、良いのではないでしょう。ルールは、守っておりますし、私の存在自体が御主人様マイマスターの魔法みたいなものですから。」

「それもそうだにゃ。」

 俺は、前向きに考えることにした。

「来人くん達が勝ち上がって来るとは予想外だよ。」

「シトロン、そんな言い方無いよ。来人、おめでとう!でも決勝は、手加減しないよ。」

「いやいや、手加減しても許されるにゃ。」

 シトロンと理沙が俺達に声を掛けてきた。

「体力勝負なら私と理沙が君達に勝つのは、難しいだろうね。だから、次の競技がそうならないことを祈るよ。」

「シトロン、一言多いよ。」

「理沙、別に本当の事だから気にして無いにゃ」

 言葉と違って俺は、シトロンに一泡吹かせてやると心に誓っていた。

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